2011年8月31日水曜日

Darker My Love


Hazy Chain Of Canyon Music

Aug 30, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Patrick Stolley
Translated by Teshi









ロスアンジェルスのバンド、Darker My Loveの最新作"Alive As You Are"に確かなものは何も無い。このアルバムは角を曲がったところで壁の裏から照らし出す灯りのように、日陰になっている木から現れる太陽の光のように、君に語りかける。サングラスを掛けていても、光の量がそれに打ち勝ち君の視界の一部を狂わせる。君は眩しい光の中下を向くけれど、この一時的な盲目をふさぐ事は無理だと気づく。でもそれはすぐに治る。木の葉や日除けが作りだす影の中に逃げ込み、視界を取り戻す事が出来た。Darker My Loveの楽曲--特にこのアルバムの楽曲では--に生息するキャラクターは常に不確かな表情を見せる。大体は自分自身や自分達が行くところに向けて。彼らは自分がどうやって振舞えばいいか、どういうリアクションを見せれば良いのかよく分かってない。話すチャンスが与えられても何を言えばいいか全く分からない。リードシンガーのTim Presleyはこういう拡散した放浪と不満に溢れる状況をアルバムを通して紹介している。まるで点線をつなげようとしている人々を表現しているみたいだ。次の点を探しているけど、そういう時は大体ここから見えない程遠くにある。そういう時(ブルースが支配する時)こういう人たちは80代のArt Laboeがホストをする深夜のラジオショーに局を合わせる。ラジオから流れる時にはシンプルで、時には痛々しい曲に耳を傾けると落ち着いた気分になる。でもそれが無理な事もある。彼はサンフランシスコのミッション地区を目標も無く散歩する事を歌いだし、道標をちゃんと建てられない女の子の事を考えている。"Cry On Me Woman"では「俺が戻ってから/前とは違う気分なんだ/夜に震えがやってくるとき/塩が君の目に入る/目が見えなくなってしまうよ/君が知っている生活に戻っちまう」と歌い、さらにこう続ける。「君が寄りかかった肩は/欠けて跡がついている/寒さを巻き上げて/まるで俺が知らない誰かみたいに/そこから見えるだろう/距離は短いって/君の頭の中に入っていけるんだ」Presleyは「正確な時間に絶対正確な場所にいれない」という物語を僕らに与えているようだ(例えそれがお気に入りのレストランでお気に入りの作家と長い会話をしたいっていう曲でも。いつになるかわからないけど)。彼らは物語を崖の上でしっかり完結させ、ギリギリの所で終わったりしない。ただ地上に辿り着くことはない。この男達そこでそよ風を掴みながら何かに連れ去られるのを待っている。そして彼らの音楽は冷たい風の中で連なる煙や大きな谷のような音楽になる。そこに留まって、空気の中でがたがたしながら目に見える範囲で広がってゆく。
Darker My Love Official Site

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Immediate Undertaking(2収録)
  3. Maple Day Gataway(Alive As You Are収録)
  4. Rain Party(Alive As You Are収録)
  5. Rhymes Of Goodbye(Alive As You Are収録)




2011年8月30日火曜日

Mister Heavenly


All Of The Ragged, Oceanic Summertime

Aug 29, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi





テキサス州オースティンは一年のどんな時でも秋は他の季節に比べてめっぽうに暑い。しかし去年の冬、街では季節最後のアウトドアショーの開催が予定されていた。北の方、温度は既に下落していて初冬の風は荒れ狂い始めていた。短い飛行機旅行を経て辿り着いた時、外はさわやかな天気で、その日の夜街ではCold War Kidsをゲストに休日前のチャリティラジオショーのが予定されていて、僕らのビッグオレンジスタジオの向かいにあるScott InnはMinister Heavenlyがヘッドラインを務める今年最後のアウトドアショーを企画していた。12月の始めの清清しい一日だったけれど、Honus Honus (いつもはMan Man)やNicholas Thorburn(いつもはIslands)、Joe Plummer (いつもはModest Mouse)とMicheal Cera (いつもは銀幕の中)の四人からしたらそんなこと関係なかった。彼らは前の晩にシアトルかポートランドでライブをしていて、このセッションのほんの数分前にここに飛行機で到着したらしい。昨日の晩は寝てなかったみたいで、みんなきっとそれぞれ10~12ドルの気分だっただろう。それ以上の値にはならないはずだ。4人の男がポケットのおつりを探って、ギターとドラムスティックを砂利道を通って引きずってきた。彼らはこのセッションが終わった後、スタジオの外にあるピクニックテーブルでメキシカンフードを頬張るのを待ちわびている。Honusの声はちょっとガラガラだったけど、Thorburnはシュガーハイだったのか、頭の中はふわふわの桃源郷にいたのか元気そうだった。彼にとっては昨日の晩のライブも、スタジオまで急いで来たこともあまり影響していないようだ。Ceraは基本静かだったけど、使い捨てカメラの事の事になると結構お喋りで、Cold War KidsのMatt MaustやNathan Willetが来たときも中々喋っていた。この二人はウォータールーレコードの帰りにJay-Zの"Decoded"というアルバムを取りに来くためにちょっと立ち寄っていたのだ。一度演奏を始めると--彼らのライブはネットで流れていた良し悪しが激しいライブ映像以外には殆ど謎だった--彼らの音楽は周りを巻き込む海のようなミクスチャーだった。これはThorburnとHonusが得意とする技だ。その時まだアルバムが果たして発表されるかどうかの詳細はまだ出ていなくて、オースティンでは(毎晩短いショーが開かれるイベントだった)Ceraが毎回ベースとして参加するのか、それともどこか映画撮影で席を外しているのかという憶測が飛び掛っていた。それだけでチケットは前売りで完売。会場は目玉をグリグリさせた女の子達がムービースターみたいに着飾って着ていた。音楽はこのスーパーグループ/ハリウッドの新星という前書きよりも輝いていたし、Ceraは真性のベースプレイヤーで、映画の合間のサイドショーなんかじゃなかった。彼は一度だけ観客の注意を惹こうと気まずくマイクに向かって「この街が気に入ったよ。僕のミドルネームはオースティンなんだよ」と言っていた。彼は観客を味方につける方法を知っている。そして"Out Of Love"というリリースされたばかりのアルバムで僕らもやられてしまった。そこでは真夏の音が聞こえるような恋の苦しみが優しい瞳とぼろぼろに打ち砕かれた拳と一緒に僕らを追いかける。天国みたいにいい気分だよ。

Mister Heavenly Official Site
Sub Pop Record 


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セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. I Am A Hologram(Out Of Love収録)
  3. Doom Wop(Out Of Love収録)
  4. Your Girl(Out Of Love収録)
  5. Pineapple Girl(Out Of Love収録)




2011年8月29日月曜日

Daytrotter 100回を記念して。 Part I


僕がDaytrotterの翻訳を始めてついに100回目を突破しました。
今まで毎日頭を悩ませながら、三ヶ月間、よく続いたと思います。

これを通して様々な面白い経験もさせてもらいました。
確実に何か素晴らしい事が起こっているような気がします。

という事で、今回は影響が多かったセッションや人気のセッションを
ここにまとめたいと思います。


大物

もうジャンル問わずに色々くるデイトロッターですけれども、「何やこいつらと」いう新人から「うわ、まじかよ!」という大物まで来ます。

まず


J Mascis (Jun, 6 2011)
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説明は不要。ダイナソーJr.の司令塔です。ふてぶてしい顔を良くとらえてますね。



Edwyn Collins (Jun 20, 2011)
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伝説的ギターポップバンド、オレンジジュースのリードシンガー。感動的なエッセイが記憶にすごく残ってます。
The Books (Jun 17th, 2011)
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フォークトロニカのベテランThe Booksも大変な評判でした。


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まさか

インディーロック以外にも何でも来ちゃうデイトロッター。まさかのアクトを三つ紹介します。




Mount Kimbie (Aug 21, 2011)
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ロンドンはダブステップを操る二人組。SXSWを訪れた時のストーリーも可愛かったです。
Shabazz Palaces (Jul 13, 2011)
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今年ピッチフォークでベストニューミュジックを獲得した話題のドープでディープなヒップホップデュオ。いきなり黒い嵐が現れてびっくりしました。


Kid Koala (Jun 27, 2011)
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カナダのターンテーブリストでカートゥーニストでもあるキッドコアラ。彼のムーンリバーに心を溶かされました。でもいきなり出てきてびっくりしました。

(続く)

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Themes


Chests And Heads Full Of Smoke

Aug 28, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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良い恋愛と悪い恋愛、醜い喧嘩で別れる場合と結婚に辿り着く場合(幸せでもそうでなくても)、両方に懐疑的な点がある。もやもやした所に全ての決断が並べられていて、どちらか選ばなければならない。こういう瞬間に君は思いっきり考える事になる。様々な選択が散らばり、それぞれの重みが量られる。そこで決断に踏み切ったり、あやふやして、尻尾を巻いてどこか違うところに行こうとなるべく早く走り去ろうとする。そうする事で誰が傷つこうが、自分がどれだけ辛かろうが関係ない。自分が一番だと思う決断が一番の選択だからだ。常にそれが君を動かす力になる。Themesの新作"The Phantom"のカバーには燃えさかる家が描かれていて、前庭にはドットで描かれた放牧のバッファローがいる。Jacy McIntoshとKelsey Crawfordの二人が奏でる音楽はまるで毒気づいた空気の中で生まれたようだ。そこに住む人々によって腐った空気は肺の中まで吸収されている。まるで朝起きて煙と炎に囲まれた家の中にいるみたいだ。でもパニックはしてない。こういうことも想定内だし、前にもあったから。今考えると、寝るときも煙に囲まれてたじゃないか。先週も、先月も去年もずっとこの部屋は煙に包まれていた。歯を磨た後とか、子供を寝かせた時に、こいつに「おやすみ」って毎晩言い続けていたじゃないか。これがずっと普通だった。でも毒の空気や煙は体に悪い。いつか彼らを殺してしまうだろう。McIntoshとCrawfordが描くのは、何か解決しなければ行けない地点までやっと辿り着いた時の感情だ。頬を赤くした鞭打ちや体罰は正気の無いトーンに差し替えられる。そこではこの罰がいつまでも続かない事を皆分かっている。孤独の道を降りて、心の中でそれを修正する必要がある。そこには乾いた唇と備えつきの消灯のように喉で引っかかってバクバクと点滅する心臓がある。僕らは今自分達のオペラの中にいる。誰もしゃべっていない。ただ問題をどう解決しようか考えて、次の動きを待っている。たとえどんな未来になろうとも。
Themes Official Site


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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. The Ballad Of Salt And Sand(The Phantom収録)
  3. Valdez(The Phantom収録)
  4. Truth Is...(The Phantom収録)
  5. In The Church of Nobody(The Phantom収録)
  6. Sanctuary Roat(The Phantom収録)

2.VALDEZ by THEMES MUSIC

2011年8月28日日曜日

Mustard Beards


The Sweetest By And By

Aug 27, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi







The Mustard BeardsはSamantha Crain(オクラホマのSSW)が僕にお勧めしてくれて、実際に好きになった初めてのバンドでは無い。でも彼女が教えてくれたバンドの中では一番好きだ。彼女がある日ミズーリ州のPerryvilleから来たバンドの事をランダムなメモに書いて送ってくれて、僕はすぐに夢中になった。リードシンガーのMacky Smithは作詞家としても歌手としても魅力的で、改装されていない家の反対側にある大昔の台所みたいな場所を舞台に執筆している。台所は網戸で外に繋がっていて、厚い窓敷居で実際に熱いパイを冷ましたり、花瓶を置いたりしている。物語はこういう古い部屋で始まる。何度も何度も、数え切れないほどの年月使われ続けた場所。色んな家族に入れ替わり使われてきた。床には至るところギザギザがあって、多くの人たちに使われてきた木の靴もある。Mustard Beardsの曲にはなんとなく「過去の形」を感じることが出来る。まるで何世代前から使われてきた道具のようだ。まとまったコレクションという風では無いけれど、すべて同じ感覚を持っている。祖父や祖母、祖祖父や祖祖母の指紋と一緒に彼らの親戚や家族、近所の人たち、友達の指紋が曲の至るところに刻まれている。彼の曲はまるで昔覚えていたような記憶が蘇ってくるように響く。あの頃は色んな事を約束したけど、どれだけ大切なモノだったなんて、無くなるまで今まで気づかなかった。突然思い出した時には、僕らはもう若くない。でもまだヨボヨボではないし、ある人は僕らはまだまだ子供だって言い聞かせてくる。でも間違いなく年をとった。最低でも、年老いた気分になっている。過去がどんな風に変わってしまったか考えるようになる。Smithは"Blankets of Sin"という曲で、窓から無理やり差し込む明るい光を見て、「いろんなことを知りすぎた。」と思いを馳せる。日よけはしまっている。けれど、中には自分だけで苦しまなければ鳴らない事もある。彼は昔活き活きしていた頃はどうやって思い出されるか歌う。「ああ、あの時は若かったな」と言って、物の感じ方が変わったと気づき、それを寂しく思っている。「君の髪は長かった」時代もあり、こんなちっぽけな事も昔の新鮮な日々に現れてくる。でも何かポジティブな感覚もある。それはSmithが、レモンヘッズの曲を"At Dawn"の頃のMy Morning Jacketがやっているようなスタイルで物語を語るからだ。彼は低い声で錆びつく空の事を昔はこんなんじゃなかったと歌う。昔の空はこれより錆びついて無かったし、青い時すらあった。The Mustard Beardsは昔の美しさと何のヒントも無し僕らにやってくる明白で新鮮な感情を懇願している。何の見返りもいらない。昔手に入れたものは確かに僕達の物だったのだから。今まで以上に記憶は薄れているけれど、まだこの時代を覚えてる。彼らの曲を聞いていると、知らぬ間に何かを無くしてしまって、なかなか前に進めない人たちの事が浮かんでくる。だからもうちょっと昔の事を思い出そうとしているのだ。
Mustard Beards Myspace Page

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セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. Animal Sprint(未発表)
  3. Passengers(未発表)
  4. Blankets Of Sin(未発表)
  5. Cavern(未発表)

Kina Grannis


Love Like Old Times

Aug 26, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Patrick Stolley
Translated by Teshi

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Kina Grannisにとって愛とは、僕らみんなが恋愛の始めに考える事と同じだ。恋愛がうまく行こうが行かまいが、最初の期間はそれをずっと考えてる。うーんと不思議に思う。みんな誰かを愛そうとしている。何の制限も無しに笑って、ハグして、キスをする。全ての素敵な人達に好意を示す。愛を見つけるにはこういう事をしなくてはならない。誰だって人に優しくされるのは大好きだし、優しくされるとその良い人だなって思う。でも子供達は最高の事を期待して、事態は最悪になっていく。喧嘩ばかりする父親と母親がいて、お互いに物を投げ合い、酷い事を言っている。愛し合って、支えあうべき二人が毎晩の様に腹を立てながらベッドに入っていく。二人は朝も怒ったまま、手の届く範囲内に嫌な雰囲気を振りまいている。これは愛が人を試すような違いを認めようとする瞬間だ。カリフォルニアから来た美しい26歳のGrannisは愛を砂糖や暖かい毛布だと考えている。愛とは、人が夢中になって、実際手に入れてみると素敵な物だと。結構簡単な事なのだ。そこには「真実の愛」と「永遠の愛」がある。確かに彼女は失恋の曲も書くけど、それよりも彼女は愛の最高の高鳴りを頭に入れている。「この瞬間は起こりえる。信じなくちゃいけない。」と。Grannisの最新作"Stairwells"に登場する、恋に落ちたキャラクター達はみんな良い感じにやっている。お互いの事を考えてうまくやっているみたいだ。こういう事は完璧に理解されなくて良い。感じるだけでいい。ちゃんと念頭に置いておけば、全ては自分達でうまくやっていく。質問もしちゃいけない。小屋の隙間に毛を逆立てて生きようとキーキー言っている子猫たちに接するように、優しく慎重に近づいて行かなきゃいけない。もちろん、心を痛めるようなことがあってはいけない。良い事だけ起こりえるのだ。でも実際みんな傷ついている。いつかはノコギリや粉砕機を持って壊さなきゃ行けないかも知れないけど、彼らはそれに躊躇している。Grannisは愛のリハビリ施設に行こうとしている人の救世主を曲の中で演じている。"It's love"で彼女はこう歌う。「みんな何で物事がうまくいかないのか理由を探そうとする/笑顔であるべきなのに、それを否定しようと戦っている/一緒に終わらせましょうよ/一度だけ私にキスをして/どうやってやるか教えてあげる。たとえ今全てがうまくいっていなくても/もしこんな状態から抜け出したいなら/乗り越えなきゃだめよ/落ちていく事に恐れて」彼女はアルバムの中で何度も「私にやらせて」と尋ねる。この願いは自分ではない誰かにされなくてはならない。彼女は側にいて、君の手を繋いで一緒に問題を乗り越えようとしてくれる。何の害もない君の心に触れるような歌声で彼女は「あなたを傷つけたりしない」と約束してくれる。時に君に必要な言葉だ。時にはこの優しさを感じなきゃ行けない。そうすれば昔みたいに戻れるはずだよ。それを感じなくなるまでは。
Kina Grannis Official Site


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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Valentine(Stairwells収録)
  3. The Goldfish Song(Stairwells収録)
  4. It's Love(Stairwells収録)
  5. The One You Say Goodnight To(Stairwells収録)




2011年8月27日土曜日

Femi Kuti


Plea For A Land Always Divided

Aug 25, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered and mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


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Femi Kuti最新作の"Africa For Africa"のタイトルトラックを聴けば、伝説的なFela Kuti(ナイジェリアの音楽家でアフロビートの創始者と言われる)の息子でもある彼を理解する事が出来るだろう。この曲はダンスホール/レゲェシンガーで何十年もレコードから伝えられたメッセージ。これが彼らの使命なのだ。そして、Kutiファミリーのミッションでもある。このメッセージは彼らが音楽で表現しようとしている全てのテーマになっている--兄弟愛を教え込ませ、アフリカを何世代も渡って苦しませた暴力と流血をやめさせようと人々に伝えようとしている。どんなアフリカ人もきっと、心休まることなくこういう心配をしているだろう。しかし、スーダンや他の食糧不足の国々の状況は現在新しいレベルを迎えている。世界中で一番苦しんでいる国だろう。そして、状況は急速に悪化している。そこでの生活は毎日が生存のための闘いだ--にも関わらず、Kutiの母国の人々はほとんど助けもらえない。なぜならば、ほとんどの人は一日を生き抜こうと意識していないからだ。それに比べたら他のものは容易いものだ。彼はいつだって残酷で人間性に薄れた事を問題に戦ってきた。打ちひしがれた国々の苦しみを誰もが経験する必要はないけれど、音楽は続いていく。この苦しみが終わるように願っている。アフリカでは大きい銃を保持している人ほど毎日食には困っていないようだ。銃器を持っていないと、君は餓死してしまう。国から運ばれてくる君への供給はカットされるだろう。供給と言っても、何千万もの栄養不足の国民を助けるには全く足りていない。今まで以上にKutiの音楽が求められている。ステージを通してメッセージを伝え、マイクから流れる言葉が人々の心を変えていく。僕らは過去にこういう瞬間を何度も見てきた。僕はここでエッセイを止めようと思う。みんなKutiの言葉に耳を傾けるべきだよ。彼が受け継いだ父親の偉大さとメッセージを受け止めて、国を誇りに思う、苦しんでいる人々の事を考えるべきだ。僕らはどうすればこの問題を改善する事が出来るか、考えるべきなのだ。
Knitting Factory Records

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Dem Bobo(Africa For Africa収録)
  3. Africa For Africa(Africa For Africa収録)
  4. Nobody Beg You(Africa For Africa収録)




2011年8月25日木曜日

Princeton


Sways Of The Scenic Runs Of Breath

Aug 24, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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多くの場合、僕らは体がどう動いてるかなんて時間をかけて気にしたりしない。でも一秒でも良いから想像してみてほしい。あんまり良いイメージでは無いはずだ。頭の中には、数秒の間に何回も息を与え続ける肺が浮かんでくるだろう。人生の内でひと時も休むことなく肺は膨らみ続ける。冷たい野外に出た途端、寒さに嘆きながら鼻水が外に出てくる。君は心臓の鼓動や肺の活動について考えて、過呼吸を始める。どうして失敗も無いまま、続けていられるんだろう。こいつらが一度でも失敗したら、それは死という事なのだ。ロスアンジェルスを拠点に活動するこの素晴らしいバンドは今回で三回目のデイトロッターセッションだ。Barnstormer 5 (Daytrotter主催の移動型フェス)にも今年参加してくれる。Princetonが作る音楽は、どうしようもないけれど心を奪うような、内側から生まれる同情の言葉を信用しても良いと教えてくれる。非常に実験的で、ゴールが見えないような音楽が素晴らしいフルアルバム"Cocoon Of Love"で生まれている。ここで披露された三曲を聴くと、良心の消失に髪を逆立たせたり、心をドキッとさせるには何が必要か感じさせる。血管の間をあっちからそっちに血が行き渡っていくのはどんな感じだろう。まるで血管は景色の良い道路で、血はだだっぴろい道を何マイルも、実りがもうすぐのトウモロコシや麦畑、並木道を通り過ぎながらシンフォニーとなって動き回っているようだ。また、彼らは電気を思わせ、彼らの音楽で灯りを点けられたらどんな気分だろうと考える。部屋の中にビーチや雪が積もった山の頂上を引き込み、この二つの景色を並べて飾り立て、「真剣に考える事は出来ないんだよ」と仄めかす。彼らが与える景色(楽曲)はほとんど裸な状態で、君が住む事ができる。彼らが君に何を与える事が出来るか、考えているのだ。
Princeton Debut Session
Princeton Second Session
Princeton Official Site


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セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Oklahoma(未発表)
  3. Phase(未発表)
  4. Utah(未発表)

2011年8月24日水曜日

Cotton Jones


More Out There, To Everything

Aug 23, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recordings engineered by Patrick Stolley and Mike Gentry
Translated by Teshi


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Michael NauとWhitney McGrawが新しく生まれた赤ちゃんに教え込む事は、僕らがどんなに子供達に教え込もうと絶対に敵わない。ああ、確かにそれは巨大でつかみ所が無い意見だ。でも彼らが一人ではなく二人で、また様々な人達と一緒に作り上げる音楽はがっしり地を張っている。でもこの意見はあながち間違っていないような気もする。Nauが歌っている内容はもともと彼がPage Franceでもやっていた事だ。しかし、特にCotton Jonesでは空気の薄い所から生まれた感傷のようになっている。僕にはそれが黄金で出来ているようでぼんやり輝く月の柔らかな囁きの様にも聞こえる。彼だったら「ミルクの水滴」と表現するだろうけど。まるで頭の中や、いつか現れる他のソングライターより二倍も三倍も豊かな、詩的なイマジネーションから生まれているような感じがする。いや、何もあれとそれとを比べているわけじゃないんだ。でも、もしNauと他の有名で、素晴らしいソングライターや作詞家を並べてみたら...このMarylandから来たみずぼらしい男。服は洗ってないし、爪や髪の毛は汚いまま、新しく子供が出来た愛妻家---彼の勝ちだろう。彼は名の知られていない達人で、彼の言葉は誇張になんて聞こえない。真実を語りとても誠実だ。Cotton Jonesの新作フルアルバム"Tall Hours In The Glowstram"や"Sit Beside Your Vegetables"というEPをしっかり聴いてみるとそれが良く分かるだろう。彼はとても多才で、君が出会うどんな曲よりも、切望、愛そしてホームシックの物語に魂と心を込めて歌う。Nauは満足しているけど心が苦しんでいる男に起こる柔らかな頭痛のような、とても個人的な世界に入り込んだ気分にさせる。まるで彼が世界に広がる痛みを全て受け入れているようだ。自分の物ではなくて他人のもの。その痛みを彼は心が躍るような、スピリチュアルなものへと浄化させる。ただ頭に思い浮かぶような思想を受け止める訳ではない。誰かの頭の中に長年にわたって積もってきた詮索好きな好奇心と勤勉さから生まれているのだ。ヴァン(トラック)の中で詰め込まれて、疲れて頭はくらくら、それでも一人じゃないのに孤独な気分がする---こんな時に現れる。目的も無いまま長い散歩をしている--こんな時に現れる。フィルターを介して君の口の中に入っていく細長いタバコからこのような思想はやってくるのだ。Nauはかなり小さい問題を取り上げて、彼の息子がいつかこういう風になってほしいと願っている。彼はパパのぼろぼろになったGジャンを受け継ぎ、こういう瞬間を見れるようになってほしいのだ。"Man Climbs Out Of The Winter"で彼はこう歌う。「君が部屋をうろうろしてる所を見てるのが大好きだ/君は僕が座ってる所が好きなんだね/ああでも太陽が僕らの窓を焼き尽くしている/外に出ておいでと嘆願しているんだろう/多分、今夜くらいは…わかんない、多分ね/ここから立ち上がったとき/たぶん今夜、多分今夜は外に出よう」息子はお父さんが教えてくれたことをいつか言えるようになるだろう。そして世界には出会えるモノ意外にも素晴らしいものがあると言う事をいつでも理解できるようになる。お父さんが言うには、ね。
Cotton Jones Debut Session
Cotton Jones Second Session
Page France Daytrotter Session
Suicide Squeeze Records


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セットリスト

  1. Welcome To Daytrotter(Mike)
  2. Egg On Sea(Sit Beside Your Vegetables収録)
  3. Down Beside' Em(Sit Beside Your Vegetables収録)
  4. Dream On Columbia Street(Toll Hours In The Glowtream収録)
  5. Man Climbs Out Of The Winter(Toll Hours In The Glowstream収録)
  6. Welcome To Daytrotter (Whitney)
  7. The Place By Which(未発表)
  8. Splitting Drams(未発表)
  9. Heart Goes Overflowing(未発表)
  10. Sunset West Virginia(未発表)


2011年8月23日火曜日

Mika Miko


An Unwashed, Raw Bite From The Crypt

Aug 22, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi






残念な事に、時々一つのセッションが故意も無くどこかに埋められて、ごちゃごちゃになってしまって、僕らはバンドの不満とかエネルギーについていけなくなる。何か成功が近づいている矢先に、バンドは蔓に絡まりながら死んでしまったとか言うんだろう。だから大人になったロスアンジェルスのバンドMika Mikoが人気が出始めたとき、Smell in L.A.は怒りを、HEALTHのようなグループがどんどん奇妙な、流行の音楽サークルの中で悪名を広げていた。汚らしいステージは皆の目を惹いていたし、攻撃的でかき鳴らされる、イライラして怒り狂った女達の音や、吠え立てるギターサウンドがジーンズに穴を開け、シャツの肘を裂いた。あれはまるで濡れてベタベタしたキスだった。ギリギリの所までラフになっているこのバンドが上限まで汗まみれで狂気に満ちた夜を盛り上げていた。バンドはツアーが終わった後に解散をしてしまった。このセッションはツアーの間、2009年の夏に収録され、いまここで聞くことができる。もしこれがバンドが作った最後のレコーディング作品でなければ...彼らはここでバンドの鼻持ちのならない感じと短気さを今まで以上に生々しく、あの悪名で知られたライブスタイルで披露している。

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Johnson R. Cool(We Be Xuxa収録)
  3. Beat The Rush(We Be Xuxa収録)
  4. Blues Not Speed(We Be Xuxa収録)
  5. Turkey Sandwitch(We Be Xuxa収録)

2011年8月22日月曜日

Mount Kimbie


In Spite Of It All, We Feel Alright (Read: Mostly Calm)

Aug 21, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi






僕らが今春SXSWのためにオースティンに訪れたとき、空港でマイク・タイソンに出くわした。彼は僕らが一週間続くフェスティバルの前の日曜日に最初に見た人物だった。逞しいマイクはSXSWのフィルムフェスティバルから街に出て行く所で、僕らはちょうどそこに向かっていた。それからあの週ほとんど見かけなかった。ささっと出て行ってしまったみたい。彼は僕らの側でターミナルの何も無いところを歩いていた。少しの間僕らは何が起こったかよくわからなかった。あの夜、僕らはぐっすり寝て、次の日の録音には完璧なスタートだった。まあBBQやって、ビール飲んで、何ヶ月もご無沙汰だった太陽に挨拶をしたくらいだったけど。それは次の日だった。あの火曜日から、本格的に始まった。最初に録音したのはロンドンのダブステップデュオ、Mount Kimbieだった。彼らには、仲間のJames Blakeのように、しんどい週が待っていた。休める時間も少なく、まるでその週の中で彼らをスタジオに呼べるのはその時だけな気がしていた。だからそのチャンスを掴んだ。Kai CamposとDom Makerは僕らの様に数日前から街には来ていて、前の晩はフェスの前夜祭でライブをしていた。ありがたいことに、彼らが借りていた小屋は、ビッグオレンジスタジオのあった所からすぐ近くで--文字通りスタジオのフロントドアから約15メートルくらいだった。あのゴミ置き場みたいな小屋は新しいオーナーがついて、聞いたところによると彼女は猫の小便の臭いを何とかして取り除いたようだ。僕らが泊まったときあの臭い酷かったんだけど。彼らが初めてここに来たとき何だか少し無理している感じだったし、多分彼らを見るのはこれが最後だろうなと感じていた。これから骨の髄まで働いて...。でも実際、去っていくタイソンを僕らのために見つけてくれる以外のことなら何でもした。彼らは僕らの庭の椅子でよく寛いでいたし、ホースシューズ※のゲームもずっと見ていた。椅子に凭れて砂と土を蹴り上げながらサングラスをかけて、太陽の光を楽しんでいた。僕らが外でBBQしてタバコをふかす昼食時にCamposとMakerは良くやってきた。彼らは食器やお菓子がどこにあるか分かっていたし、僕らも彼らと一緒にいるのは楽しかった。彼らは僕らにとって遠いロンドンからやってきた信頼できる都会の青年達だった。この一週間本当に良くしてくれた。焼肉してる時とか、靴投げ、日光浴の最中に彼らの音楽が外のスピーカーから流れていたら楽しかっただろう。そう、オースティンの混乱した五月蝿い下町から離れたこのオアシスで。いや、全部が酷いってわけじゃないけど、街は人でごったがえしてるし、ほとんどの事は避けたくなるよ。ここで演奏された"Carbonated"という曲は女の子の話し声がサンプルとして使われている。彼女は僕らを打ち負けた気分させるけれど、何となく心は凹んでない。良くある、劣等感をお腹の中に引き留める感じだ。最初に現れる音のコラージュが次第に自らを後退させ、エコーを強めて長い影を敷き始める。まるで遠くからプールの中で会話しているような、遠くにあるハイウェイのがちゃがちゃ音みたいな感じで彼女はこう言う。「私、風船が膨らんで爆発してみんなが驚くのが大好きよ。私パパのことをよく聖ニックって呼んでたの。だってデブでいつも赤い帽子を被ってうろついてるんだもん。地球なんてでかいアホみたいな存在よね。だから恐竜が死んじゃったのよ。私らもいつか死ぬし。だからタバコが超好き。でも長生きしたい。まだ見たいものがたくさんあるんだ。この街つまらんない。くたばれ、こんな街。」CamposとMakerがこの個人的な思想の輪と一緒に作り上げる音楽は、ささやかな無関心の心を表現しているが、想像力に富んでいる。まるで、植物が自分の力で生え抜いて、普段よりすこし実りを得るような感じだ。多分僕らの庭で椅子にもたれかかって彼らは彼女みたいに風船の事とか、恐竜やタバコのことを考えていたのかもしれない。僕らが作ったハンバーガー食べてそんな事考えてたなんて。でも、結構楽しかったよ。

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Field(Crookes & Lovers収録)
  3. Carbonated(Crookes & Lovers収録)
  4. Before I Moved Off(Crookes & Lovers収録)
  5. Maybes(Maybes収録)

2011年8月21日日曜日

My Gold Mask


The Arrows In The Dark Land

Aug 20, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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Gretta Rochelleの全てを知るには隅から隅まで彼女の詳細なデータを目を細めて読みつくさなければいけない。そのデータは水性のインクで書かれていて、水、或いはウィスキーのショットのこぼれた跡がついている。インクは(これ、僕らの風刺ね)あちらこちらに血を流し、彼女の特徴や属性は川やその流れのような性質を持ち始め、徐々に平らな紙の大地を進んでいる。ね、彼女はまるで制御が利かない危ない人みたいだ。何でも試そうとする。彼女が夜の街でふわふわしたゴージャスな長髪を振り回している所をみても驚かないだろう。誰もが可愛がる素敵な子で他の女子がみんなうらやましがる感じの女性だ。でも次の日彼女が君の前に現れるとき、髪の毛は全部剃って、一束だけ残しあとは真っ白にブリーチしてしまっている。たぶん迷いも無しに気まぐれでそうしたんだろう。剃ったらどんな見た目になるだろう?って思って何の警告もなしにやってしまった。彼女にとってはそれも正しい決断なのだ。実は心の中で変えられない現実や、闇の中に隠されたよろめいた感情に傷ついているんじゃないか、と僕らは想像する。でもそれは彼女を刺激し続け、頭の中にどんどんアイディアが沸いてくる。My Gold Maskという二人組みのバンドの中で、Rochelleはフロントマンとしてドラムキットの後ろに立ってる。ギターはJack Armondo。二人は彼女の詩的な恐怖心と、それに続く恐怖心の無さを曲の中に詰め込み、Bjorkがするようなセラピーセッションのように僕らに届けてくれる。まぁ、彼女の言っている意味が分かればだけれど。僕らはハゲワシの様に彼女の頭の中をぐるぐる飛び回っているぐちゃぐちゃに混ぜ合わさったアイディアを耳にする。ハゲワシは食物を発見したときに地上に降りてくる。大きな音を立ててて目標に向かって地面を揺るがす。けれど息をする余裕は沢山ある。ArmondoとRochelleは洞窟の様に広がりのある音を作っているが、フルアルバムと最新のEP, "A Thousand Voices"に収録された曲はベッドルームで鳴らされているような感じがする。Roachelleは音域の広い歌声で顕現の瞬間や、大切な人だけにするような耳の中への囁きを与えてくれる。この二つはあまり変わらない。これらは"Violet Eyes"や"Shooting Arrows in The Dark"や"Rain Upon Your Window Pain"を好む人から生まれる。人々の幽霊を追いながら。まるで"A Thousand Voices"という作品はゴーストハンティングに出かけてるみたいだ。何か知っている事や詳しい事に体は流されてしまう。そしてRochelleが全てに対してあまり慣れすぎないように注意している。
My Gold Mask Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Violet Eyes(A Thousand Voices収録)
  3. All Up In The Air(A Thousand Voices収録)
  4. Ghost In Your Bed(未発表)
  5. Your Coo Ka Choo(My Gold Mask収録)

My Gold Mask - Violet Eyes - Official Video from Jim Newberry on Vimeo.

Fresh Millions


Invited To Get Here, Then Get Carried Away

Aug 19, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


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パーティーが待ちどおしい!なんてこと僕にはほとんど起こらない。パーティーにはあんまり行かないんだ。僕の人生はパーティーとは無関係。誘われないわけじゃないよ。いつもどこかで誰かが騒いでるし。でもここら辺では起こらない。だからもしパーティーに行く事になったら多分それは普通とは違う奇妙なヤツだろうし、それでも僕は絶対に行かなきゃ!って気分にはならない。でも次のパーティーまでかなり間があるだろうし、ちょっと遅れて行ってみようかな。騒ぎの中に「全然面白くない」っていう素振りで入っていって、様子をみてみよう。もしかしたら最近の記憶の中で一番楽しい事になるかもしれない。どうせただの企画事だし、楽しいに決まってる。雌鳥が朝を告げるまでノンストップにこの最高のパーティーは続いていく。オースティンを拠点に置くFresh Millionsは、僕が色んなパーティーを見逃している事に罪悪感を感じさせる。バンドのセルフタイトルのデビューアルバムでは、まるでシロウサギ(※アリスに出てくるウサギ)の様になにか重要な約束事に遅刻しているような感覚を覚える。急がなきゃ何か楽しい事を見逃しちゃう!ドアまで走って、車、電車、それか地下鉄に乗って何時間か前に知らない宛て先から届いたメールの住所に駆けて行く。「今夜ここに来てね。君の知ってる人がみんな来るし、誰も何が起こるか分かんないから、来ても後悔はしないはずだよ。」この音楽は何か実態が無いモノや、あらゆるムードやエネルギーを引き起こすモノが詰まったパーティーへの招待状だ。そして音楽が始まった途端僕らは夢中になってしまう。まるでパーティー会場の扉を開けたとたんに、親しみやすい感じの知らない人がコップに入ったビールを頭に投げつけて来る感じ。Fresh Millionsの音楽は、彼らが演奏している所ならどこでも聞きに行かなきゃ!と思わせる。これに参加すればきっと限りない可能性が待っているはずだ。そこにいれば、何が起こっても音楽が助けてくれる。音楽が正しい場所に連れて行ってくれて、大丈夫だって背中を押してくれる。もしたった一晩の事だとしても、運命は決まると。確かにこの音楽は先が見えないし、必要なときに手助けをしてくれる感じがあるけれど。歌声はちょっぴりクリスタルの様にへヴィーなエレクトロニックの楽しさの爆発に透明な色を添えている。これは夜の笑顔や踊る楽しみを演出する逆転のエレクトロニックミュージックのようだ。「さぁ、僕らの音楽をうまく利用して今夜を楽しもう」と君を誘っている。
Fresh Millions Band Camp

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Forever(Fresh Millions収録)
  3. The Helicopter(Fresh Millions収録)
  4. Hot New Jam(未発表)
  5. Monty(Fresh Millions収録)

2011年8月20日土曜日

Disappears


The Woozy Corruption Of Evening

Aug 18, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi




いつだってそうだ。僕が何か聞いている時、誰か何聞いてるのかわかるかな?って周りを見渡すんだ。どんな感じかわかるでしょ。何かに夢中になると、頭を音楽にあわせて激しく振ったり、脚をリズムに併せてどたばたさせたり。まるでキックドラムのセットを荒々しく叩いてるみたいに、体の一部が音の波に流され、動いてしまう。それか車を運転していて、窓を全開、ステレオはボリューム一杯に上げてる時。肺の奥から大声を上げて楽しんでいる時は夢中になって周りの事なんか何も考えられない。もし信号で止まって、ちょうどラジオがRonnie MilsapとかDolly Partonを大音量で流し始めた時てもそんなに恥ずかしくない。でも隣に止まった車の運転手が、どこから音楽が聞こえてるか顔を出して、変なヒゲの奴が下手糞に歌ってる所とか、たとえ静かに昔のカントリーを大音量で聴いている所を見ても、「なにこいつ?」って思うだろう。なんで流行ってるBlake Sheltonみたいなカントリー聞かないの?って。

例え僕がこうやって周りから変な目で見られて、Dolly Parton in the Heartlandを聞いて恥ずかしい気持ちになって、何となく自分が男として度胸が無いのかなって感じてる時でも、Disappearsは聞くことができるのが何故かこれでわかるだろう。Disappearsはシカゴに拠点を置く、Case of the Ponysと90-Day MenのBrian Case、CoachwhipsのJohn DwyerとSonic YouthのSteve Shellyで結成されたスーパーグループだ。僕はもっとタフにならなきゃ。もっとムーディーで感情的にならなきゃ。テーブルをひっくり返したり、テレビを窓から投げ出すくらいにならなきゃ。でも僕のジーンズはゆるゆるだし、タトゥーなんて絶対入れないし、今はちゃんとしっかりした時間に寝る事が出来る一日のサイクルを保ってるし(多分ね)。Disappearsのデビューアルバム"Lux"と最新作"Guider"の音楽を聴くと、自分が劣等な人間で、彼らがエレクトリックに表現するこういう恐ろしくて酔っ払った感じの堕落には立ち向かう事が出来ないと思わせる。


全ての曲の隅から隅までが、深夜にあふれ出すエネルギーの炎の中に今にも爆発しそうだ。力はどんどん蓄えられていき、それを全て解放したあとでも、それは再び違うエネルギーの蓄積なんじゃないかと思ってしまう。君は絶対にストリートに溢れる危険から逃れる事はできない。危険はいつも見えない所から現れて、実際現れなかったとしても、最悪の恐怖を頭の中で想像してしまう。Disappearsはそういう可能性を夜の中に持ち込むのだ。君の胸は彼らみたいにもじゃもじゃじゃないし、実は女の子のソックスとか下着をこっそり着てるかも。そして今考えてみると、なんで彼らが君ととうまくいっているのか良く分からない。この人達は絶対に女性用のソックスとか下着は着ないだろうから。
Disappears Official Site

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セットリスト

  1. Welcome To Daytrotter
  2. Superstition(Guider収録)
  3. Not Romantic(Guider収録)
  4. Brother Jolene(未発表)
  5. Old Friend(Lux収録)

2011年8月19日金曜日

Grouplove


The Sum Of The Sunny Parts

Aug 18, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


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素晴らしい人生はまず君に噛み付いてくる。最初から、良い人生のことを考えただけですぐに良いことが起こるわけが無い。まずは問題をちゃんと解決してからじゃないと、何をやっても心地良い気分にはならない。多分猫とネズミ、泥棒と盗人の追いかけっこみたいな試合や、物乞いや貸し借り、盗みみたいなことがたくさん起こるだろう。体を殴られたり、自分の目を啄ばまれたり、皮を剥ぎとられている間に肌を刺すような冷たい風が吹いたり、良い人生へ強制的に変えるまでにはいろいろな事を耐えなければいけない。シャンペンをすすりながら美しい海岸線を見つめる事が出来るまで。いやもしかしたら美味しい地ビールかもしれない。とにかく、ごみとか汚らしいものから、悲しさや傷から遠ざからないと。ロスアンジェルスのバンドGrouploveは良い人生はみんなに訪れるものではないと知っているようだ。いや実際は良い人生っていうのは人が逃れようとしているものだ、と。多くの人が、股間に蹴りを入れられたり噛み付かれたりするのに我慢して、これはただの仲間入りの証だとか、この辱めもすぐに終わるだろうと信じている。いつか、車三台いれたガレージ付の家を手に入れて、裏庭にはプールも設置するなんてことを夢見ている。たぶん色んな夢があるだろうが、Grouploveによると、こういう人達は入り江やビーチで過ごすのはどんなに素敵な事だろうと想像しているらしい。普通だったら仕事しているときに水着を着けて海の中へ駆け出す。友達や君を愛する人、君が愛する人と一緒に過ごして、他の事に対して「くたばれ」と叫んでいる。

バンドのセルフタイトルEPは遠出をして休暇時間を探すような楽曲が沢山実っている。たとえそれが実現しなくても。大人になって就いたつまらない仕事から逃げだしたい。青い海に巻き込まれたり、トップダウン式のハイウェイをバイクで駆け出したい。「みんながもし努力に身を投げ出せば、美しさをシンプルな形で楽しむ才能を生まれてから持っている」というアイデアにこの音楽は支えられている。"Don't Say Oh Well"はポール・サイモンの"America"と対になっている曲の様だ。Christian ZucconiとHannah Hooperは「お母さんの優しいほっぺをキスしたよ/お父さんには「友達でいれて嬉しい」って伝えたんだ。」と歌い、サイモンの「タバコをくれ、多分レインコートの中に一本残ってたと思う。最後のやつは二人で一時間前に吸っちまった。だから僕は外を見つめていた。彼女は雑誌を読んでいた。そして月が高原へ昇っていった」と比べたら反骨精神はかなり少なく感じる。この歌では若者達がもう耐えられない生活から抜け出そうとアメリカに自分達の場所を探そうとしている。Grouploveは反対に月が昇り高原へ沈んでいくところを見て感動している。彼らは様々な色が感情に影響する事や、思っても見なかった場所で生まれるストレスの無い友情関係に驚いている。楽観的なピクシーズの奏でる音楽のようで、夏を永遠のものにしようと思わせる。もう半分終わってしまったけど。
Grouplove Official Site


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セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. Colours(Grouplove収録)
  3. Gold Coast(Grouplove収録)
  4. Don't Say Oh Well(Grouplove収録)
  5. Naked Kids(Grouplove収録)

2011年8月18日木曜日

Love Inks


Of Mint Cool, Of Hot Mint

Aug 17, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


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今週、家の中は先週よりも熱く感じる。サーモスタット(温度自動調整器)はずっと24℃に設定してある。でも、先週は毎日38℃を越えていたし、今週はちょっと落ち着いたところだった。だいたい30℃くらいで、確かに違って感じた。でも、外から家に入ると、あんまり心地よくない。空気はむっとしてるし、暑さと冷たさの差も全然気持ちよくない。それでも、前の週は24℃設定で全く問題なく生活する事が出来たのだ。今週はなんか嫌な感じだ。すごくイライラする。もっと部屋の温度下げようかな。たぶんそうするべきでは無いんだけど、結局疲れてしまうだろうな。テキサス州、オースティンのLove Inksはエアコンの事と、僕らの心のエアコンの事を考えさせる。どれだけ耐えられるか、何を生き延びる事ができるか、「これを乗り越えられる!」と感じるには何に囲まれていればいいのか、そういう事を感じさせるのだ。リードシンガーのSherry LeBlancはまるでミントの様に言葉を発し、何の努力も無しに冷たく爽快な風を吹かせる。彼女自身が空気調整の中心部。でもこのミントは中心部で少し燃えながら、ここよりもちょっと熱い場所で風を送っている。このバンドのデビューアルバム"E.S.P"に収録された楽曲は「最初は落ち込んでいたけれど、少し時間が経てば物事は綺麗に片付いて、悩みも忘れてしまうだろうという」感覚から生まれている。僕は最近本で、マルコムXが1965年に暗殺されたとき、公共の管理人が来て血とかを片付ける前に警察と調査団が四時間も現場を調査してた事を知った。管理人は若者のダンスパーティーが同じ部屋でその日の夜にちゃんと開催できるように掃除したんだって。いや、LeBlancが歌う事は殺人とは全く違うものだよ。血なんて流れないしね。彼女の歌は感謝の気持ちを無くした世界の無関心さとか、精気を感じなくなった体とか、今すぐここから出て行かなきゃ!という強い思いから生まれている。でもこれらの楽曲の軸にあるのは、何が起こったとしても、それが一度も起きなかったかのように忘れて、抜け出す事ができるという感情だ。このとても落ち着いた感覚を絹の様に滑らかなダンスポップソングの中に聞くことができる。TennisやSummer Camp、そしてCultsみたいな最近生まれたバンドとはまた違う。まるで「きっと大丈夫」とリスナーにに語りかけているようだ。体は涼しくなってきたし、これ以上幸せなものはない。これはサーモスタットのせいじゃないし、こいつが何言おうと関係ない。
Love Inks Official Site

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セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Blackeye(E.S.P.収録)
  3. Rock On(E.S.P.収録)
  4. Leather Glove(E.S.P.収録)
  5. Wave Goodbye(E.S.P.収録)

2011年8月17日水曜日

Des Ark


The Very Prettiest Pain

Aug 16, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Patrick Stolley
Translated by Teshi






Des Arkのレコードを聴きおわると色々大変な事を経験した気分になる。ほんとに、Aimee Agoteはただの一曲だけで、君をお腹一杯にさせるんだ。一人の若い女性の問題やトラブルが聞こえるだけじゃない。他の事も同じくらい真剣で、傷ついてボコボコになっている。そして彼女の問題は君自身の問題へと乗り移っていく。どうしてこうなるのか君にはよくわからないけれど、すごい速さで君を破壊する。無茶苦茶泣きたくなる。毛玉みたいに丸まったり、歌に現れる女の子達に「本当に残念だね」と慰めたくなる。彼女が実際何を経験したかはわからないけれど(歌の中で聞いたとしても)、何をしてもあまり彼女の手助けにならないことは分かる。こういう時、彼女にハグをして「誰か必要だと思ったら、僕を頼って」と言うしかない。君は実際、Agoteに彼女の問題を君に向かって歌ってもらいたいと思っている。弱弱しく痛々しいスタイルで自分に向かって彼女に歌ってほしいのだ。永遠に彼女にこうしてもらいたい。こういう悲しくて..いや超物悲しい人生の瞬間を、彼女のスタイルで聞くと、君はこれ以上シリアスな事は自分は絶対経験する事は無いだろうと感じる。どんな人間関係の問題も"Don't Rock The Boat, Sink The Fucker"に比べたらちっぽけなものだし、問題にすら感じないだろう。Agoteが書く美醜の物語に比べたら全て青ざめてしまうだろう。もしこの物語が全て本当だとしたら、物語自身も長年かけて書かれて、全て揃っていきなり彼女に圧し掛かってきたりしていないだろう。だってもしそうだったら、絶対に耐えられない悲劇だもの。魂は消費されて、暗くなってしまっていただろう。Agoteが対峙する痛みは息を呑む、まさに天才の成せる事だ。まあ、そんな事に認定証をあげてもアレだけど。彼女が歌にする痛みは正に耐え難いのに、それを手にかけるなんて、自分自身に驚くべきだよ。君だったら死にたい気分になる。でも、これは彼女の物語の一ページなのだ。これは彼女の生み出したもの。「あんたが彼女を愛してるなんて素晴らしい事ね。でももしあんたが彼女とヤッた後に、その子が泣き始めたらどうする?『あなたの毒みたいな愛が私を死に追いやってる』って言ったら?私があんたにこう言った時そう感じてたのよ。/こうでもしないと、私『愛してる』なんて言えないから。」と"Battle of the Beards"のアルバムの曲でこう歌う。"Lord of the Ring & His Fascist Time Keepers"はポエティックだが、彼女の心は平穏ではない。"Peace To You Too, Motherfucker"では、将来彼女の痛みが子供達に受け継がれないか心配している。「もし私に子供が生まれて、娘の目の中に私が感じている痛みを感じたら/悪魔は一回では済まさないことは分かってる/もう二回来たもの」でもしかし、Des Arkの曲の中には痛みより美しさがもっと輝いている。綺麗な部分のほうがもっと目立っている。曲の終わりの方で君の手を掴んで、その綺麗な部分と一緒に逃げ出したくなる。静かに、頭の中では何から逃げているか考えながら。でもすぐに座って休みたくなる。ちょっといきなり全てと対峙するにはキツ過ぎる。何かお酒をくれ。
Des Ark Official Site

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セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. Lord of the Ring & His Fascist Time Keepers(Battle Of The Beards収録)
  3. Peace To You Too, Motherfucker(未発表)
  4. Every Place I Leave, I Leave My Travel Mug(未発表)
  5. Untitled(未発表)

2011年8月16日火曜日

Beady Eye, Andy Bell Interview Part II


ENTERTAINMENT SPOTLIGHT

Andy Bell glad to finally bring Beady Eye to Japan


By SHAUN CURRAN
Special to The Japan Times
Translatd by Satoru Teshima




Part II


「驚く事は結構あったね」ベルは、このオアシスの因集が新しいバンドをどのように影響したかという質問にこう答えた。「僕がショックだったのは、みんなが僕らの事をどうせゴミっぽい仕上がりになるだろうって思ってたことだ。」嘲っている訳では無いだろうが彼は鼻から笑い声を出した。それはするどい一言だった。ノエルがいないオアシスが、作曲の中心人物無しで活動する?バンドをイギリス一番のモンスターバンドにしたあの男無しで?驚きを見せる人も、すぐさま馬鹿にする人も少なくなかった。私はなぜそうなるのか聞いた。「まあ、答えは分かってるけど。」彼は言う。丹念に考え、少し怒った素振りを見せた。「ノエルがオアシスを去ったから、他の人達がやるのは絶対にクソみたいな仕上がりになるって!?これが一番の驚きだった。だって、リアム・ギャラガーと僕と、ゲム・アーチャーとクリス・シャロックの四人組だよ?そんなのすごい作品になるに決まってるじゃないか。僕らもバンドだったんだ。リアムがバンドの声だったんだぜ!?」そのあとベルは一つの仮説を提案した。ノエルの報道を操作するスキルだ。

「ノエルが報道や記者陣を担当していて、いつも彼の観点で物事が語られていたんだ。」ベルの声には落ち着きが戻ってきた。「彼はバンドメンバーに対するパーソナルな意見を言って、バンドに悪い影響を与えていたんだ。あれは全部彼の考えだったんだよ。僕らは何も言う事が出来なかったよ。みんなは10年間もノエルの偏った意見をオアシス全体としての意見だと捉えていたんだ。それで僕らはカッときた。まるでバンドの中でまともなのはノエルの考えだけだってみんなが思ってるみたいだって。彼は自分の正しい視点を報道で伝えるんだ。」

最高のタイミングで、僕らの対談はノエルがメディアが多く参加し、かなり自愛的なロンドンの記者会見でソロ活動の発表をした二日後に行われた。その時ノエルはリアムの喉頭炎は偽りで、オアシスに彼のファッションブランドPretty Greenのために不公平な要求をしていた事を責め立てた。バンドを解散に追いやった議論の原因がこれだったと主張したのだ。ベルはこの会見を見ていたのだろうか?
「ああ、見ていたよ」

どう思いましたか?

「アホくさかった。」彼はすぐに答えた。「いろんなこと嘘ついてたね。Pretty Greenの口論なんて嘘だ。Vフェスティバルでの喉の炎症を偽ったとかも嘘だ。」彼は急にしりごんだ。「でもわからない。多分、彼はそれが真実だと思っていたのかもしれない。彼の頭の中で何が起こっているかわからないよ。彼の事はよく知っているし、呆れているわけではない。ああいう奴なんだ。記者陣をどうやって回すか良く分かってるんだ。何年も利用してきたからね。僕らにとってインタビューも会見も二の次。あれは彼の役目だ。」
記者会見の中でノエルはベルについてあまり良い印象を与えなかった。

「あれはただノエルがノエルらしくやってるだけだ。」 彼は『別に何も期待してなかった』というような印象で答えた。「全部のクソみたいな事。部屋の中には僕ら三人いて...何回も言うけど、Pretty Greenとは何の関係も無かったんだ。もう火に油を注ぐような事は言わないよ。でも、結局僕はリアム、ゲムそしてクリスと、(オアシスの時と)同じマネージメントと、ツアーメンバーでバンドを結成した。」ベルは話を逸らしたが、明るくこう言った。「それでもね、彼にはうまくいってほしいし、幸せになってほしい。」

パリでの解散劇の余波がすぐさま伝わり、その中でBeady Eyeの結成は実質上構想された。結成メンバー、ポール・”ボーンヘッド”・オーサーズとポール・”ギグジー”・マクギガンに代わり、ベル(シューゲーズのパイオニアとなったライドの元メンバー)とアーチャーが1999年にオアシスに加わった。硬派でオアシスの仲間である二人がリアムと再びクリエイティブな活動を始める事に疑問は無かった。「僕らはホテルに戻って、ビールを何杯かかけて、一緒に座って「だからってまた一緒に演奏出来ないはずが無い」と言ったんだ。ノエルが去ったからって僕らの終わりではないって事にみんな賛成した。」オアシスが何かして生き残る可能性はあったのですか?「それは僕が考えることじゃない。後ろを振り向く事はしたくないんだ。」ベルは言った。

「じっとしている」事が出来ずに、彼らはイギリスに戻って一週間のうちにデモトラックを録り始めた。曲がどんどん生まれて行く中、2010年の三月スティーブ・リリーホワイトによって新たなバンドBeady Eyeのアルバムがプロデュースされる事が発表された。彼らが障害を乗り越えて作られた作品が生まれようとしていた。

「アルバムが終わった後、みんなが息を落ち着かせた時にこう言った。「俺達は最終地点まできた。みんな気に入ってくれるかな。」僕らはそういう所まで来ていたんだ。グラスゴーでの初めてのライブステージに立ったとき、広大な安心感と興奮を感じて、大丈夫だと確信した。誰もオアシスのTシャツを着て現れなかったし、誰もオアシスの曲を叫んだりしなかった。みんなBeady Eyeの曲を一緒に歌ってくれた。気に入ってくれたんだよ。」

劇場のべニューで行われたショーはオアシスがずっと慣れてきたスタジアム級のサイズでは無い(「そんな巨大なレベルで開催する事はないって分かっていた。」が、勝利の音が鳴り響いていた。原始的で、直球で、耳が割れるほどでかい音量。「僕らがステージに立ったら自然的にこうなるんだ」バンドが彼らの状況に対して何の苦労もしていない事を物語っていた。

あなたたちはここ最近よりも新しいバンドの曲にうまく従事しているようだけど。特にリアムは。

「リアムは完璧に新しい曲に共鳴している。(バンド始動の)一日目から、リアムの声が全てだったんだ。声を下げたけれど、音の壁から下げた訳ではない。リアムの声が音の壁を成していたんだ。そのまわりに僕らが音を組み立てていった。彼が青写真だった。彼はすごくエネルギーが充填されているんだ。」

リアムが監視していないからか、騒がしい事件や非難返しも全て過去の事に思えてきた。そしてリアムは--Beady Eyeとしてのバンドはこれ以上の満足は出来ないだろう。

「彼は幸せそうだし、僕らもみんな幸せだよ。」ベルは言う。「つまり、オアシスにいても楽しい事ばかりだった。10年間とても素晴らしい時間を過ごしたよ。でも、僕らは最高の演奏をするし、今まで以上に良くなっている。Beady Eyeは一緒にいることを楽しんで、ロックンロールを鳴らすバンドなんだ。」

Beady EyeはZepp Tokyoで9/5, 11, 12にライブ([03] 3444-6751)、Zepp Nagoyaで9/6にライブ([052]936-6041)、そしてZepp Osakaで9/8にライブをする([06]6535-5569)。詳しい情報は www.zepp.co.jp と www.beadyeyemusic.com.で

Beady Eye, Andy Bell Interview Part I












Friday, Aug. 12, 2011

ENTERTAINMENT SPOTLIGHT

Andy Bell glad to finally bring Beady Eye to Japan


By SHAUN CURRAN
Translated by Satoru Teshima
Special to The Japan Times


Andy Bellは今ストックホルムにいるかもしれないが、彼の気持ちはまだ日本に残っている。このギタリストの新バンド、Beady Eyeは二年前、オアシスのノエル・ギャラガーの刺々しい脱退後に残ったメンバーで結成された。東日本大震災が発生したとき、この四人組は再び初々しい姿で登場する準備をしている所だった。

「津波が起こったとき、僕らはツアー中でずっとニュースを見ていたんだ。」

ベルは思い出しながらこう語った。

「日本のツアーを計画していたし、これではもう行けないかもしれないってわかっていたんだ。日本は素晴らしい場所だし、そこで演奏するのも大好きだ。オアシスではたくさん行ったよ。10回くらいかな。だからただキャンセルして、チケットを払い戻しして無かった事にするのは間違っている気がしていたんだ。」


唯我独尊のフロントマン、リアム・ギャラガーが率いる、Beady Eyeの返答は、どんな方法でも日本に何か手助けをすることだった。4月3日にロンドン・ブリクストン O2での日本災害チャリティショー(Japan Disaster Benefit Show)での演奏後、バンドはダウンロード限定でビートルズのカバー曲、「アクロス・ザ・ユニバース」を配信。収益は英国赤十字津波アピールの活動の支援のため募金された。

「あのライブを出来るだけ特別なものにしたかった。全て同じ事のためなんだ。あの曲はカバーしようと以前話していたもので、その時に発表するのが一番フィットしていると思ったんだ。一週間のうちに急いで仕上げたよ。僕らは日本が大好きなんだ。日本への愛はどんどん増していった。人々も大好きだ。僕は日本の人達を理解しているし、彼らも僕らの事を分かっていてくれる。僕らも地震を感じたよ。あれはただ世界のどこかで起きた災害じゃないんだ。」

善意の気持ちは相互的に与えられた。Beady Eyeは今週末サマーソニックで日本デビューを飾る。他にもRed Hot Chili Peppersの復活や各国からのバンド演奏が国民の興味をそそっていた。"Different Gear, Still Speeding"はロックの歴史を代表するモンスターバンド(ローリングストーンズ、ザ・フー、そして間違いなくザ・ビートルズ)の影響を多々に受けながらも、良質で、刺激的な瞬間を含み、過去のオアシスの作品に肩を並べる作品となった。

もし音楽以外の注目がなかったら...。間違いなく、ギャラガー兄弟の関係とその皆が注目する二人の崩壊が影を与えている。ベルはこの兄弟の事を「名物」と呼び、二人について人々の想像は膨らんでいくばかりだ。パリでの着替え室での争いが二人の口げんかの有様を語っている。ノエルはすぐさま痛烈な声明を発表。「俺のバンドメートからのサポートと理解不足」を嘆いた。リアムの事を「暴言と暴力の脅し」と言い、ベルは「怒ったね。だって、彼がそう考えてるんだって目の前で聞かされたんだから。」彼の癇癪は変わることが無かった。

原文:http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fm20110812r1.html

Part II

Zola Jesus


Dark Waiting, Light Standing

Aug 15, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Patrick Stolley
Translated by Teshi







Nika Roza Danilovaのバイオグラフィーを読み通すと、かなり無茶苦茶な人間の人生の過程を覗き込んでいるような気分になる。もしかしたら子供の頃からの悪夢をまだ見続けているのかもしれない。彼女はどこか違う。社会の規範から少し外れている。彼女の父親が鹿の頭を庭の木から吊り下げてたというエピソードは、彼女や他の中西部の田舎の子供達が経験するものと同じ考えを与えた。まだそんな強烈な光景をみる準備は出来ていなかったかもしれないのに。彼らは小さい子供の頃から狩りに連れて行かれる。パパが鹿の死体から皮を剥ぐ所や、マスクラットが突出した水道管に吊下がっているを見せられる。後ろ足には古い靴紐が結び付けられている。毎朝学校に行く前にシャワーを浴びる場所のすぐ隣でこいつがぶらさがっているのだ。彼らは農場を動物や鳥類を手伝わせたり、狩りで殺したりする。そこには命の素晴らしさがある。彼らは農場で生まれ育ちそれを身につけた。テレビゲームや映画の映像を見ただけではなかなか理解できない。ニュースレポートやビデオ映像で生々しい暴力の現場、死、そして破壊を見ても、でっちあげみたいだし、画面上の事だ。ほんの数フィート先にいる豚が食肉用に処理される所を見たり、父親が高齢の弱った犬や猫を小屋の後ろでライフルで撃ち殺す音を聞いて育つのとは違う。Danilovaは古びれたウィスコンシンの100エイカーの森の中で育ち、こういうことをたくさん経験してきた。これが彼女がダークな思想に傾倒する原因だと言う。Zola Jesusがセクシーで冷たい風を乗せた田舎のゴシックだ。秋の風は、閉鎖的な木々の中を通り抜ける事は出来ないが、隙間の中にこっそり隠れ、太陽が沈む夕暮れの中を抜けていく君の息を掴もうと待ちかまえている。"Stridulum"と"Valusia"という彼女が去年リリースした二枚のEPの楽曲で、僕らをぞっとする気分にさせることはなかった。代わりに、かなりマイナーで、それでも僕らがよく考える人間の心配事の気味の悪い部分を強調していた。それは、「置いていかれてそのまま忘れ去られる事」だ。"Stridulum"に収録された"Trust Me"でその要素は一番凝縮されている。彼女が他の人達に「そこにいるから」と言って、彼らはそれを単に信じるべきだ、という曲。でも、人間ってそんなに簡単に他の人を信じられる生き物かな?多分違うよね。僕らは警戒してるし、そうあるべきなんだと思う。慎重に、光を消して闇の中で閉じこもっているべきだ。一年の内、夕方夜が長くなると、今まで知っていた事や慣れていた事のバランスが崩れて色々信じられなくなる。鹿の用に立ち尽くして、仕留められるのを待っている。でも実際に撃たれるなんて考えてもいない。
Zola Jesus Official Site


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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Avalanche(未発表)
  3. Trust Me(Stridulum収録)

2011年8月15日月曜日

Aushua/Pacific Hurt


Men Out In The Winds

Aug 14, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi






これは故人への弔いではないし、出生の告知でもない。Aushuaを失った僕らが感じる小さな事だ。彼らはまだ終わってないし、今ここに新しいキャンバスにアイディアを描き出そうとしている。Aushuaは死んだ。カリフォルニア州のSanta Anaのバンドが深い納骨庫の中から蘇り、長い間漬かっていた隠されたエーテルから抜け出してきた。Aushuaよ永遠に!その後、Phil Newyear, Nathan Gammill, Eric NewyearとLee Newyearはバンドネームを変えて、Pacific Hurtという新しい形でスタートを切ろうと考えた。彼らにすごく似合っている、とても良い名前だ。外に出て打ちのめされ、失望して気力を失っているけれど、諦めたりしない。そういう男の生き様の探求をこのバンドはまだ続ける。Aushuaの楽曲から聞こえるのは衰弱した、改善が必要な危ないところまで立たされている人生の物語だ。いや、もしかしたら神の顕現がすぐそこまで近づいていて、海水塩から空気中に、あるいはぼやけた光の中に現れたのかもしれない。なかなか気づき難いだろうけど。そこで語られるのはもっと安全なところを目指す男達のストーリーだ。絶望に嘆いているわけじゃない。でも何かを求めて、苦しんでいる。呆然としているのだ。彼らはどこに向かっているのか、どこからやってきたのか、これからどんな人間になっていくのか、誰と一緒になるのか、様々な答えを探し出そうとしている。頭を壁にぶつければきっと時間は早く過ぎていくだろう。頭の中もクリアになればいいのに。まるで何か強力なモノが岸辺に風を吹きつけ、曲の登場人物に降りかかっているようだ。罠に嵌ってしまったわけではないけれど、身動きはとれない。そこから逃げ出す事ができない。ここにいる人達は重々しい心を持っているのだろう。まるで、心の中に巨石のように頑丈で重たいものが詰まっていて、記憶や、面白い事の責任を背負っている。心が躍るような事も、時々面倒な事に変わるんだ、と。見た目はとても情熱的で面白そうなんだけれど、地面にこういう感情は隠される。目に見える力や、どうしようもならないものと闘い、精神を疲れさせている、でも痛みはどこにも消えていかない。こういう風の中に他のものと混ざってまた吹きつける。
Pacific Hurt Official Site


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セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Tuck (How It Feels Away)(Limbo EP収録)
  3. Hiding Place(Limbo EP収録)
  4. God In Search Of Men(Limbo EP収録)
  5. Sister Saves(No Harm Done収録)

気ままに訳詞3
























John Wayne Gacy Jr./Sufjan Stevens


父親は酒飲みで

母親はベッドで泣いていた

彼がブランコで頭を打った時

John WayneのTシャツをたたんでいた

近所の人は彼の事を可愛がっていた

ユーモアがある彼と話すのは楽しい

家の下を見てみろよ

なにか生き物がいるぞ

死の眠りの中早々と腐り始めている

27人か?多分もっとだ

車を乗り回したり、夏に仕事する少年達がそこにいた

あぁ神よ


君もその内の一人なのかい?

彼はよく人前でピエロみたいな格好をしていた
顔を赤と白く塗りたくっていた
暗い部屋、ベッドの上で全員にキスをした
彼は巧みな方法で
何十万もの人を殺したんだ
遠くへ、死人の下へ早く行かなきゃ
彼らの服を脱がしてあげた
唇に布切れを置いて
静かな動作で、静かなキスを
唇に

でも考えてみると
僕も彼と同じなんだ
床下を見てごらんよ
僕が隠してきた秘密がそこにあるから


解説:
"John Wayne Gacy Jr."はデトロイト出身の個性派SSW、スフィアン・スティーブンスの2005年に発売されたコンセプトアルバム「イリノイ」に収録されたナンバーです。
John Gacyはアメリカの連続殺人者で、よくピエロの格好をしていたことからキラークラウンというあだ名がつけられました。父親へのコンプレックスが強く、彼はよく「オカマ」「ホモ」と罵られていたようです。
アルバイト料なので呼び寄せた子供達に性的暴行を加え、殺害。軒下に埋めた死体は29名にも及び、そのうち4人は川に捨てたそうです。被害者の多くは20代の男娼、最年少は9歳の少年だったそうです。





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2011年8月14日日曜日

Teen Daze


Lost Out In The Golden Span

Aug 13, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


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Teen Dazeは時々自分の曲を隠してしまう。作曲、レコーディングを経て、滑らかなダンスミュージックを雑音まで味方につけて演奏する。夜出かける準備が殆ど出来たときに、誰かの気持ちとかが耳に入ってくるけど、あんまり気にならない。そういうのも夜を楽しませる要素にして、唇をゆるませる。そして今度は夜を見方にする。そう、敵じゃない。自分を解放するのは気持ちいい。次に何が起こるか心配しすぎることもないしね。"Four More Years"が奏でる音楽の波に身を任せてるのもいいじゃないか。バンクーバーのブリティッシュ・コロンビアでセリフリリースされた作品群は君をうまく波に乗せてくれるはずだ。よく、ボーカルは音楽の二の次で、それが狙いだったりする事が多い。でも、この消え去っていく太陽のような曲は、太陽の部分が二の次にされ、他の部分にもうちょっと焦点が当てられている。霞んでいく空気に自分の年齢や、自分が今人生の中でどこにいるのかわからなくなる。そして君は歌詞の中に入り込む。彼が12月にオースティンを通り過ごしたときに収録された、この特別で珍しいバージョン--ギター一本、あるいはピアノの弾き語りで演奏された--の楽曲の中に吸い込まれていく。時が急速に進んでいる。まるでこの現象を信じられない人に向かって体当たりしているようだ。この人が最後に思い出すのは新しい場所への到着と荷下ろし。でも気づけばもう違う所に去らなければならなくなった。この時、憂鬱だけれどスリリングで共感できる、曇っていく日々を歌った楽曲を突然聴きたくなる。人々はみんな新しい生活へ進んでいくし、前と同じ事はずっと続かない。でも、こういう人生の摂理を拒否する登場人物が曲の中心にいるみたいだ。この登場人物にはなんの思い入れもなしに全てを経験してしまったみたい。これが君に心地悪い安心感を与える。でもそれは輝いて、喜びに溢れた音がする。まるでもっと最悪な事が今確実に人々に降りかかっていると理解しているように。"The Harvest"という曲は、薪が集められ、冬に備えているシーンから始まる。でも薪は机の椅子と置きかえれるし、それが"Gone For The Summer"という曲に繋がっていく。もうどうしようもできないからと言って、よくある感傷が心の中で展開しているようだ。"The Harvest"という曲で、男がバスに乗って街から出ようとしている。君はこの登場人物が死んだような荒野を切り抜ける、これからの永遠に続くドライブで読む本を持ってくるのを忘れて、頭の中で静かに考え事をして、何時間も何時間も架空の人物に話しかけている所を想像できるはずだ。頭の中を整頓して、いつバスを降りようか考えている。自分がいまどこにいるかわかってていても。このボーっとした状態はこういう風にやってくる※。

※原文はThis is how this daze works. Daze(ボーっとする、幻惑する)という単語で、バンドの名前が言及されています。

Teen Daze Official Site



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セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Gone For The Summer(Tour EP収録)
  3. Violence(未発表)
  4. For Paulina(未発表)
  5. The Harvest(Tour EP収録)

Thieves And Villains


Journeying For The Particulars

Aug 12, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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僕達は睡眠と起床の時間を分別する。その二つの違いは「警戒」と「認識」だ。寝てる間はみんな一緒なんだけれど、この二つをどう過ごすかで人の違いがわかる。起きている時間に、自分のやっている事意外に色々頭の中に入ってくる人達は、物事の深さまで考えようとする。気取っているわけじゃないんだ。時間をちゃんと計算して、零れ落ちる「時」の一瞬までをフル活用しようとしているのだ。なにも無駄にせずに、歩道やタンクの中に置き去りにしない。たとえ死神がドアを叩いて、ちょっとの間だけでも、入りこむチャンスを探していていようとも。多分、自分の優しさや、他人への思いやりを人々に覚えていてほしいっていうレガシー(遺産)を残したいだけかもしれない。でもそのほとんどが毎日の嫌な日々の憂鬱を搾り出したいという願いに代わっていく。それはかなりの数になるかもしれない。Thieves & VillainsのリードシンガーSergio Otaeguiは、上の様な、物事が分岐していく所に立たされた青年の様に聞こえる時がある。でも夜楽しく騒いだら、少し頭の中が整頓できるような、そんなタイプの若者だ。彼は、楽しい事や無料でもらえるちょっとした物をありがたむ。でも満足した数がもらえるわけではない。彼はニューヨーク州のHudson Valleyで友達と結成したこのグループを旅へ導いた。人生の最後まで、過去の埋め合わせをする道を探しに。長いドライブで、たくさんの苦難があるだろう。でもそれよりも幸せな思い出を基に、誇りに思う部分を記録に残し、大事にとっておく。"South America"というバンドの最新作にはたくさんの「旅」が含まれていている。たとえずっと同じ場所に留まっていたとしても、タイヤや羽が要らない魂の旅に焦点をおく。Otaeguiは"Some May Call It Rain"という曲の最後にこう歌う。「ポケットにタバコも無いまま街へふらふら帰ってきた/誰も聞き入ってない時に話し始めるなんておかしい人達だ/まあ、ずっと探してたトーストにありつけたからいいか。」きっと旅の中、家で食べていたような心温まるトーストを探していたんだろう。仲のいい友達や、おいしい食べ物、素敵な家族や、いままでみんなで分け合ったものを探していたのだ。泣いたり笑ったりした思い出。僕らを大人にしてくれた、大切にしたい時間や思い出。正しい場所に光を見つけたり、自分を成長させるやさしいポップソングがここには詰まっている。毎日毎日を誠実に生きようと語りかけている。そして、大切にしたい思い出を信じてあげる事がどういう事か、ここには詳細に示されている。
Victory Records Official Site


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セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. 16 Hits(South America収録)
  3. South Street Hymnal(未発表)
  4. Autobiography(未発表)
  5. Some May Call It Rain(South America収録)

2011年8月12日金曜日

The Luyas


The Low Blows And The Anguish Dance

Aug 11, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Will Kreinke
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi










Luyasの曲を聴いていると、止む事の無い吹雪の中に捕まってしまったような気分になる。みんな家の中から出られず外に出なきゃと、不安になっている。雪をかいて外に出て、以前の生活に戻るために。彼らは自然の災害に閉じ込められた。天気なんかコントロールする事が出来ない。そして部屋の中で、思っても見なかった事を話題にしはじめる。彼らは浄化を始め、みんなが違った光の中に照らされた。自分達は色々心配してるんだ、と他の人に投げかけている。多くの人、そして自分達もまさか考えても見なかった事を心配し始めていることに気づく。でも今、冷たい所から今まで黙っていた事が、ひっそり、そしてはっきりと明らかにされた。傷口は開かれたのだ。Jessie Steinはまるで幻影みたいに生きる人々、内の中で引きこもって働く人々に乗り移るように曲を書く。そうすることで、彼女が偏見や、外の世界の事実に影響されず彼女自身を観察することができるからだ。怖くなるくらい赤裸々で未調整。全てを差し出して、どんな落し物も拾われない。彼女の曲を聞いて、経験してほしい。それはまるで家が真夜中の間に逃げ出してしまったかのようだ。床の足跡はまだ暖かく、指紋がドアノブにぺっとりくっついて、夕食はまだ調理中。スイッチ式のペンが電話の”B”のところにギザギザを作って、真下にあるメモ帳を探している。生活のあるがままを映し出し、気になる所もたくさんある。モントリオールのバンドの最新作"I Need Mirrors"は今のところバンドの最高傑作だ。"Too Beautiful To Work"はかなり赤裸々な曲で、痛々しいほど正直に主人公が描かれている。「時々、自分のことを顔を背けたくなるような人間だと思うの/スプーンでくりぬかれて、変に広がっちゃったわ/壁を見つめてこう考える/毎月あいつらにお金を払っているのに、なんで私はもらえないのよ/私の心のうちを話す努力をしたから、いいよね/何かが私を生きさせる/死なせてもらえないの/考えてみると面白いわね/まるで銀行で働いているみたいなんだもの」この曲のように、レコードの中で彼女は欲望的で、深く考えず、幻滅に囚われ、何かを探している。こういうのに彼女は固執的に引かれている。アルバムタイトルトラック(アルバムの一曲目)でとてもパーソナルな家族の死が描かれているようだ。それが他の曲に色を与え、アルバムの前書きとして機能している。なぜ彼女の頭の中は曲を書くことで占領されているのか、なぜ「いま何がどうなってるの?」を解明したいのかが説明される。こうじゃないなら、なんなの?それでどうなるの?なんどもなんども問い返す。彼女はこういった疑問を引き上げて、音楽はピカピカして陰鬱な忘れられないものを見つけ出す。"Worth Mentioning"という曲で彼女はそれらを思い起こさせる。「私を信じて、頭に覚えておくのよ/報われない思想なんて無いんだから」そして自分に言い聞かせる。関係ないものは無いし、感じられないものはない。痛んで、慰められる。でも全ては理性にかなっているのだ、と。
The Luyas Official Site

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セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Cats In A Bag(Faker Death収録)
  3. Spherical Matters(Too Beautiful To Work収録)
  4. Too Beautiful To Work(Too Beautiful To Work収録)
  5. Unknown


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