2011年7月31日日曜日

The Wooden Birds


The Act Of Lighting A Candle

Mar 10, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Kentarow

Download






The Wooden Birdsのリードシンガー兼ソングライター、そしてthe American Analog Setの主要人物であったAndrew Kennyが素晴らしい一束のクッキーを作り上げてくれたことによって、「Magnolia」や彼の新作である「Two Matchsticks 」を手に取って聞き入る為に、大した予備知識や聞く前の想像は必要なかった。彼はオースティンでの昼間の計算処理の仕事を終えて帰宅して、奥さんが不在の間、そのクッキーをこねて焼くのに、以前はButthole Surfer Gibby Haynesのであったキッチンで夕方を費やしていたのだろう。彼はまた、奥さんが帰宅した時には、一枚のレコードをリビングで聞き、暖かいそのクッキーを深夜のちょっとしたお菓子として、二人でソファーに腰掛けては奥さんに差し出して驚かせようとしたのでしょうね。彼はそんな男を音楽で表現し、実際に、彼はそんな男なのである。 
我々はそのいくつかのピーコンが付いたりウォルナッツの付いたクッキーをトラベル用のちょっとした袋に詰め込んでは、結局詰め込み過ぎたそのクッキーはよくみれば、途方もないほど、明らかに沢山の食材要素に富んでいることに気がついたわけだよ。クッキーは見た目通りに味もよく、その様はKennyの音楽にも共通する。彼はとてつもなくスウィートなサウンドをもたらす楽曲をいくつも書き上げ、それぞれの曲が持ち得る限りにスウィートな歌として生み落とす。その繰り返しとその過程の中で、そのほとんどが素晴らしいバイヴをも生み出してゆく。彼の楽曲のとても愛おしく、そしてそれは、みんながそれぞれ、人生で狂おしくも愛し、たじろぐこともなく心から身を捧げる事のできる人へと捧げる事のできるような、そんな素晴らしさが込められている。彼はそんな心情を察し、雷にでも打たれてその雷の力以外何も感じなくなってたとしても、その光の力に耐えながらもなお雷が起こした変化が何をもたらしてくれたかを表現するため曲を書く。そんな彼には"Struck By Lightning" (2011年6月リリースの新作にして2nd"Two Matchsticks"の方のTr.9に収録)という曲が新アルバムにあり、けれどその曲の中では暗闇が切り裂かれるように置かれており、アルバムの前半にあったような暗い場所から切り開いていくような一曲という感触すらある。
彼は美しく遊泳の途中で顔だけを覗かせるようにさりげなく鳴らされた音を彼の曲々にちりばめることに特化している。そんな楽曲達は、流れの止まった水面上を浮遊していて、その背中から耳から頭にまで水がまとわっていて、唇には空の空気が、そのまま空の端っこを見つめる事ができ、この世のすべてのものが、そのもの自身であるより大いなる世界の一部である事を感じる事すらできる。彼は私にRay Bradbury著の"The Veldt" (ザ・ヴェルト/「草原」の意。)の中のあるキャラクターを思い起こさせる、それはある夫人のことで、彼女は頭上高くにキャンドルを灯すのを好んでいて、その理由に「私が相当にキャンドルが好きなのは、キャンドルにはいつだって、吹かれて消えてしまっても、私がまた火を灯し直してあげる事ができ、私にきっかけをあたえてくれるからなの。」なんていうキャラクターである。我々にはKennyがそんなキャンドルの役回りを演じることを楽しんでいる様に思えてならないし、それはクッキーを焼く事とも、またそれぞれに愛をぎっしり詰めることをも楽しんでいる様に思えてならない。
The Wooden Birds Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Sugar (fr. Debut AL "Magnolia" 2009)
  3. Believe in Love (fr. "Magnolia")
  4. SevenSeventeen (fr. "Magnolia")
  5. Aaron & Maria (fr. The American Analog Set's AL "Know by Heart" 2001)



今回はこちらのページから訳を提供していただきました。thanks ken!「The Wooden Birds Daytrotter Session on March2010 "Act Of Lighting A Candle."」 (http://meltrick-newsworks.blogspot.com/2011/07/translationthe-wooden-birds-daytrotter.html

The Lighthouse and The Whaler


The Waters Could Be Cold, The Waters Could Be Warm

Jul 30, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Patrick Stolley
Translated by Teshi

Download






けっこうすぐ忘れてしまうような瞬間--もし心を許して考えてみようと思えば中々難しい事、そう、子供の目と瞼の間に入り込んだちくちくするまつ毛を取り除く事だ。下瞼を引っ張って、中を見てみる。子供がまつ毛を探して下を向いたり遠くから見てみたり、目に映る君の指を見つめている。君は「彼/彼女の目は今まで何を見てきて、何を見てこなかったんだろう」と考える。目の中のちくちくは今までに彼らが感じたことが無いイライラ感だった。白目の部分を見つめる不思議、頭の中から不確かなことが出てきた感覚。君はこれから子供達が何を経験して、何を見て成長するのだろうと想像すると泣きたい気持ちになってくる。僕らはもうあの気持ちには戻れないし、かなりのことを経験したし、見てきた。オハイオからきたThe Lighthouse and the Whalerは僕達の何にも囚われていない、風化していない時代を思い起こさせてくれる。まだ駆け出しで、エネルギーが満ち溢れていた頃だ。彼らは、まつ毛が目に入っているけどどうすればいいか分からなかった頃を思い出させてくれる。この五人の男達が奏でる音楽は新たな発見と理解から生まれるような、素晴らしく純粋な気持ちを表現している。子供達が楽しい音楽を聴いていると喜びながら自然に手を叩いたり、歌ったりする時の感覚だ。彼らの顔は明るくなり、音楽に即座に影響される。

リードシンガーのMichael LoPresti, ヴァイオリンとピアノ奏者Aaron Smith,マンドリン奏者Mark Poro,とパーカッションMatthew LoPrestiと何でも屋Steven Diazの五人がこういう瞬間をメイン、バーモント、ニューハンプシャーにある美しく紅葉した木々のように奏でる。季節的なものだけれど、いつ見ても人々に感動を呼び起こし、息を呑ませる--まるで初めて見たかのように。Freelance Whalesを思い出させるような、自然なフォークポップだ。読書家が書くような歌詞は真実の愛と新しい発見が描かれる。登場人物たちは今年初めての雪のなかに戯れたり、燃える薪や紅葉する葉っぱの匂いに包まれている。彼らの曲を聴くとなんだか自分自身の発見があるようで、それでその後どうなるか考えさせる。このセッションの中でMichael Loprestiが「知らないものも、まず好きになってみたら?」と促している。おしつけがましいお願いではなく、川の先に立って水の流れが君の手を掴んで「飛んでごらんよ?どうなるか見てごらんよ。」という感覚と同じだ。そして彼らは飛び込む。水の心地よさを感じながら、水は弾け飛び、静寂を打ち破る。良きにしろ悪きにしろ、多分記憶に残るような飛びこみだっただろう。
The Lighthouse and The Whaler Official Site


試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Wekcome to Daytrotter
  2. The Adriatic Sea(未発表)
  3. Pioneers(未発表)
  4. Venice(未発表)
  5. White Days(The Lighthouse and The Whaler収録)

気ままに訳詞1

PJ Harvey
"Last Living Rose"

















畜生、ヨーロッパ人め
私をあの美しい故郷(イギリス)に帰してよ
あの灰色でしけった
汚れた時代と、くたくたになった本

そして霧が山の背中を
あの墓場と死んだ船長達の魂を包み込む
酔っ払いが奏でるビートに合わせて
あの臭い小道を歩かせてよ

きらきら輝くテムス川をさっさと通り越す
まるで金が即座に売り飛ばされてしまったように
意味もなく
意味もなく 

川に夜が訪れる所をまた見たいの
月が昇り、銀のように水が輝きだす
雲が動いて
海がきらめく
生け垣が最後のバラを
ぶるぶる振るわせる

※Rose(バラ)はイギリス人の事を表します。Hedge(生け垣)は障害、障壁というネガティブな意味を含むと思われます。
The Last Living Roseは直訳すると「生息する最後の生きたバラという」意味です。
これらを考えるとまた違った解釈の仕方が出来るかもしれませんね。
この曲が収録された"Let England Shake"というアルバムには第一次世界大戦でイギリスが受けた被害や葛藤が多く描き出されています。歴史的背景と照らし合わせるともっと考えが深まるかも知れないです。

2011年7月30日土曜日

The Ettes


The Boot's Got The Upper Hand

Jul 29, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi







ナッシュビルから来たThe EttesのCoCo Hames, Poni Silver, Jem Cohenは自分達が気に留める物のリストを持っているみたいだ。それは何か特別なことが起こったときに、常に更新される。彼女達の前に現れ、親密な関係を持ち、間違いを犯した被害者のリストだ。やり返した後はリストから消されている。こういう人達は今はただの面影だけを残して、簡単にこき使えそうなタイプに変わってしまった。正直に言おう。Ettesの歌は男らしい。実際どんな性的なアピールが展開されているか、それは分からないしどうでもいい。賭けてもいい。全ての曲、「こそこそした女達に全身ズダズダに傷つけられる男達」について歌ってると考えるとしっくりくるのだ。どことなく情けなかったり、すぐに神頼みするような男達が描かれている。そんな男達を目にしたら、女達はよだれを出して、男を簡単に操って、自分が望むことをさせ、欲しい物を手に入れ、用事が済んだら捨てる方法を知りたいと思うだろう ---それかそういう男が仲間内でしたことを歌にする方法を。Ettesの女達はつんつんに尖った靴を履いて、地面を踏みしめる。1マイル先まで振動が響き、ガソリンとマッチの組み合わせのように危なくてギトギトしたガレージロックを鳴らすのだ。バンドの最新作"Do You Want Power?"や発売予定の"Wicked Will"には何の怖れも、何の手加減もない。そこからの新曲が二曲今回のセッションで初めてライブバージョンとして演奏されている。"My Baby Cried All Night Long"は彼女達の悪意に満ちた微笑が見て取られる。登場する女は数々の悪行を繰り返し、ある現場(大体わかるだろ?)を見られてしまった...にも関わらず、これはかわいそうな男が赤ん坊のように一晩中泣き明かす歌なのだ。Hamesはこう歌う。「私がジョーって男と踊ってるとこ見たのね/薄暗い明かりの中抱き合ってキスするところを/私がルークって男といちゃいちゃしてるところを見たのね/あんたみたいな赤ん坊にはLukeみたいな事できないわ」男はこうやって打ちのめされているけれど、僕らは「まあ自業自得だよ」って思わされる。彼女達の楽曲ではこういう強い意志を持った女達の数々の挑発が描かれる。「あんたやってみなさいよ。どうなるかわかるから」女達は男の上をいっている。彼女達に脅しは効かないし、嫌な事はしないし、利用もされない。やらなければならないことをするだけだ。使える男、良いと思った男を捕まえて、もう求められていないと分かると彼らを蹴り飛ばす。腹に煮えくり返る怒りを原動に生まれる彼女達の音楽は、熱いブランド物のアイロンで肌を痛めつけるように熱く、どうでもいい男の部屋のドアを先の尖ったブーツで蹴飛ばす。糞みたいな男達には良いクスリになるだろう。
The Ettes Official Site


試聴・ダウンロード
セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. No Home(Do You Want Power収録)
  3. One by One(Wicked Will収録)
  4. My Baby Crying All Night Long(Wicked Will収録)
  5. Walk Out the Door(Do You Want Power収録)

The Black Swans


The Ups, The Downs, The Ups, The Downs, Etc.

Jul 29, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi





Black Swansの曲で現れるキャラクター達は足を引きずってとぼとぼ歩いている。ズボンの膝の所には穴が開いてしまっている。靴もはき潰して汚く、穴が開いている。曲中を何年何年も歩き続け、小便が出来る場所も限られている。彼らは「このグラスワインを飲む理由はいくつでもある」と言う。起きたり、疲れて休んだり、また歩き始めたりを繰り返す。寝て起きて、また寝て、あっちへ行ったり来たり。こいつらは夜中に起きていられないような奴らだ。体は肉体的疲労と精神的疲労疲れ果て、奥さんや彼女と簡単な食事と軽い会話を済ませた後、どこでもいいから倒れこむ。毎日繰り返すいやな仕事、すこし寝たらまた始まる。

オハイオからきたバンドのリードシンガー、Jerry DeCiccaは何も包み込まない。彼は中東の人間のように聞こえる。経験から物を言うジェントルマンとか、白髪混じりの農業コミュニティに参加するタイプの人間。天気予報を気にして、雨がどれだけ農作物に降るとか気にしている。彼らにとって天気はとても重要な問題だからね。物事は変わっていくし、雨雲は増えていき、あちらこちらにしとしと雨を降らせたりドンときつい大雨を降らせたりする。どこにどれだけ雨が降るかなんて分かるはず無い。だから僕達は予測し続けるし、それが話の話題をいつも与えてくれる。

Black Swansの曲に登場するキャラクターは常に暗い人生を送っている訳ではないようだけれど、いつもポジティブに物事を考えている訳でもないみたいだ。人生はそういうものだ。それは至って実用的な考えだし、毎日の生きるヒント(紅茶に入れる蜂蜜とか良いよね)とかそういうものは信じていても大体踏みにじられる。実際に"Little Things"という曲はそういう考えを歌っている。「ちっぽけなものを信じてるんだ/種を信じている/タンポポで願い事する/これ花だっけ?ハッパだっけ?」曲中の登場人物たちが信じ切っている美しい人生のヒントの両面性を描き出している。そして、リスナーは彼らの人生の洪水を経験する。ベースメントまで水が流れ込み、苔が壁に生えてきて、ぐちゃぐちゃになったフォトアルバムを捨てなくてはいけない。次に何が起こるのだろう。多分綺麗で青々しい芝生を手にいれるのだろう。洪水の悲しみは消えないけれど、そこには光がある。時々うんざりさせられる小さな光だけれど、手に入れられるものはゲットしておかなければ。
The Black Swans Official Site


試聴・ダウンロード


セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. Don't Blame the Stars(Don't Blame The Stars収録)
  3. Rooster(Words Are Stupid収録)
  4. Mean Medicine(Don't Blame The Stars収録)
  5. Little Things(Don't Blame The Stars収録)




2011年7月29日金曜日

Zeus


All Of The Lovely Transgressions

Jul 28, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi








あの女の子はあれをやってる。あの男の子はあれをやっている。あいつはやり方まちがえてるし、他の奴らは騙されていることさえ気づいてない。失礼な態度が溢れかえっていて、最終的にはクソみたいなことが起こってると気づく。でも考えてみると、そんなことは日常茶飯事だ。トロントからきたZeusというバンドはデビューフルアルバム"Say Us"でこういう所に頭を突っ込んだらしい。横獲られた愛とか、計算され、利用された愛、そして侮辱を和らげようとする事。僕達はいつもいろんなタブーや罪に我慢しなくてはならない。それか孤独で寂しい人間になるしかないのだ。"Say Us"では他のどんなレコードより、「完璧に近い人間なんていない」事を証明してみせ、「そして、未完成の人間達はお互いを必要としている」と教えている。みんなあちらこちらで裏切って何の教訓も得ることが出来ずに、秘密として隠してしまう。何を隠して、どれだけ真実として伝えればいいのか、それが問題になる。結局、苦しみの窮地には本物の愛があるかもしれない。でも君は愛に幻滅して気持ちが消えかかっている。もう何も良い所を探すことが出来ない。それでも愛は生かされている。その汚れた小さな心はまだ鼓動を打ち続け、救命機器に取り付けられエネルギーを供給されている。心が腐った女達がこのアルバムの中にたくさん現れる。彼女達はカナダの吟遊詩人Jason Collettのバックバンド(時々Bahamasのサポートもする)として活動するこの四人組によって作られた。でも男達はお互い様!とでも言うように浮気を仕返したりする。女達は男達をお腹が痛くなるような気分にさせるよね。だから彼らはやり返そうと考え始めちゃうんだ。ChinaskiがBukowskiの酔っ払い愛の仕返しポエムを歌にしようとしているのと同じように。"The River By The Garden"で登場する男は「毎朝心は打ち砕かれて、泣くのも疲れちゃったよ」と歌い、浮気中の彼女がどれほど彼を傷つければ気が納まるのかを考え、代わりにどうすれば彼女を傷つけることが出来るか頭ではずっと考えている。彼女は彼の計らいなんて気づいてもいない。Zeusはベッドルームで仕上げ、バーで語られるような音楽を作る。ちょっぴり酔っ払った後、非難や暴言が飛び回る。君はどんな噂が本当でそうじゃないのか聞こえてしまう。誰が誰とヤッただとか、誰が一番不幸だとか、どんなに傷ついたとか。悪い噂が一人歩きするとこうやって止められない爆発が起こるのだ。みんな針の山に捕まって、体は傷だらけ。傷を長袖で隠して荒野での休憩時間から元の場所へ戻る。みんなが仲良くしなきゃいけない場所へ。"Marching Through Your Head"で彼らはこう歌う。「君はずっと自分に嘘ばかりついてきて、それがずっと君の頭の中でマーチしているよ。」何が間違った行動か、何が乏しい判断か、誰だって分かってる。けど誰もどうすることも出来ない。犯した罪は永遠に心の中に残り続ける。
Zeus Official Site 


試聴・ダウンロード

セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. At the Risk Of Repeating (Say Us収録)
  3. Marching Through Your Head(Say Us収録)
  4. The River By The Garden(Say Us収録)

2011年7月28日木曜日

Grimes


The Tender, Smokey Whispers Of The Dance Floor

Jul 27, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi

Download





Clair Boucherは握手するときいつも手をへにゃへにゃにして力を入れないような女の子だ。君はその手を握り締めるが彼女はゆっくり自分の手を引き戻して、背中に回したり、ポケットに突っ込んだりする。彼女はとても小さい女の子で....弱々しい感じだ。ジャージや一回り大きいセーターを着て、何週間も何ヶ月もソファーで寝転がっていられる。自分の好きなことに浸かって、自分の頭の中の声以外何も聞こえなくなる。明らかにここではカナダの音楽家、Grimesとして奇妙で超ムーディーなエクスペリメンタルエレクトロニカとR&Bを融合した音楽を体の内側からそっと引き出している。彼女はもしかしたらラバライトの中身で構成されているのかもしれない。騒々しくゆっくり動く、ひらひらした灯り。それがまるでおばあさんが腸の中を運転するようにゆっくりゆっくり彼女の体の中を通っている。彼女の音楽の中で吐き出されるのがその光り輝く物質なのだ。暗闇で物が見えるくらい明るい光だけれど、常に僕らを不思議な気分にさせる。どうなるかは分からない。

最新作"Darkbloom"を聞いていていつも感じるのは、何か非常にパーソナルな領域に首を突っ込んでいるんじゃないかっていう事。突然誰かが裸でいる時に部屋に入ってしまい、それでもその人は気づいていなくて、そっと静かに背中から抜け出そうとしている。だから裸の人物僕らが部屋の中にいたなんてこと思っても見ない---そんな感覚。そこにある葛藤、あの遠くから見てとても魅力的だったあの裸、実はもっと見たいって思ったあの裸は社会的恥になりえるのか。もし僕らが見つかっても構わないって思っていたら?もし、恥をかくのが相手側だけだったら?未知の領域にある生々しい肉体と髪の毛を僕らが手に入れられたとしたら?それは絶対問題になるよね。でも、そういう感覚をアルバムで聞くことが出来る。そういう説明がつけられない状況が宙を飛び回っている。「僕らはどうすればいい?どうすればいい?」あの裸の人も同じこと考えてるよ。

Grimesの音楽は本当に生々しくてエモーショナル、そして言葉に出来ないほど優しい。Boucherは殆ど何言ってるか分からない、もごもごとスモーキーな影と霧に包まれたような囁き声を発する。どれだけ痛々しい言葉を使おうとも、アロマオイルのように僕らを和ませる。落ち込んでいる人達を慰めて、立ち上がって踊りたくさせるかもしれない。他の人は彼女の音楽を聞くことで、心拍数を鎮め心を平常に保ち、叫びたくなる衝動を抑える。僕らはこれからも生き続けるのだから。

Arbutus Records

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Crystal Ball(Darkbloom収録)
  3. Heart Beats(未発表)
  4. Vanessa(Darkbloom収録)

2011年7月27日水曜日

A Lull


Beating Heartbreak With Unsound Methods

Jul 26, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi

Download









彼のホームタウンの新聞Alarm Press紙のインタビューでA LullのリードシンガーNigel Dennisが言った言葉がある。何ヶ月か前の記事で、彼の詩のスタイルについての質問だったんだけど、うまいことDennisの作家としての素質や、バンドの可能性を表現していた。彼の複雑な歌詞は、シンプルな人間性や思想の中に入り込むために彼がする事を描き出している。「うん、心が打ち砕かれる瞬間ってとてもリアルな感覚だよね。でもどうやって乗り越えるかは別だよ。」そして話を終わらせるためにこう続けた。「ただ深い思想を並べてるだけじゃないんだ。じっくり見つめると、とても文学的ってことが分かるはずさ。」そして僕らを心が躍るほど真っ暗でミステリアスな洞窟の中へ誘い込み、僕らには、歌詞の中に描かれた感情を紐解く力があるのだと信じさせる。一方で、血が滾ってドキドキしている心を理解するには、いつまでたっても野生のガチョウレースに参加しなければいけないなんて感じさせるのだ。僕らはいつまでたってもこのレースや白内障の目から逃げられない。真っ白な目と、霧がかった心。バンドの最新アルバム"Confetti"の中に登場するキャラクターは水ぶくれに覆われ、低い地位に追いやられている。彼らは昼と夜を掻き毟るように過ごし、頑張って天辺まで登ろうとしている。彼らを馬鹿にした者達の上に立とうと進み続けるのだ。彼らは誘惑に屈したりはしない。外に出て、重力のしぶとく、粘着質な力に勇気を出して抗っている。沈んだりしないように頑張っている。彼らは自分達が絶対勝つことが出来ない闘いを挑んでいることを知っている。強さの差はどんどん広まるばかりだ。Dennisは、心が打ち砕かれる瞬間はとてもリアルで、それをどう乗り越えて対処するかは「別の事」だと言って、僕らに「物事を正当化したり、シンプルな感情を消化する人間の性質には何か非常に神秘的な所がある」と信じ込ませる。今日僕は四歳の娘をあやさなければならなかった。家路までレースしているときに、誰かに裏口をとられて二位になってしまったのだ。かなり凹んで、絶望的になって落ち込んでいた。彼女の心は傷ついたと言い、また彼女が泣いているのはただの癇癪ではなく、純粋な心の乱れだと言う。本当の悲しみと破壊に彼女は泣き続け、これ以上何をしても彼女をもっと傷つけることはできないだろう。小さい子供達の心がこうやって傷ついてしまったとき、「なぁ、慣れるしかないよ」と言いたくなるけれど、それでは打ち砕かれた心には何も響かない。リアルで、抽象的な方法で対処しないとダメだ。彼らがこのセッションの最後に録音した"Some Love"という曲でDennisはさらに心を引掻く様な、感情に訴えるメロディーを歌い、それがまるで魔法のように僕らに降りかかる。彼を取り囲むバンドメートが、周りの暖かい水を漕ぎ回し、色んなクリエイティビティの波がバンドの特徴的なグルーブを生み出している。その中でDennisは僕らの価値観、あるいは感知された価値観が引き起こす欲求不満を歌にする。そこでは頭や脚が地面に強く打ち付けられている。自分の力を信じるもの達や上に挙げたような物語の中で失墜した人達がゴミ袋のように窓の外から投げ出されている。そして山を洗い流すような大きい音の波が現れる。僕達はまだ終わってない。まだまだこの先ハートブレイクが起こるだろう。僕らは何とかで対処できると信じている。でも、しつこく言うけど、行き先はなかなか不安だ。

A Lull Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Weapons For War(Confetti収録)
  3. Dark Stuff(Confetti収録)
  4. Spread it All Around(Confetti収録)
  5. Some Love(Confetti収録)

2011年7月26日火曜日

James Apollo



Love's Problematic Terrain

Jul 25, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


Download





ガラスの破片をダイアモンドを使って切り裂いてみたいっていつも思うんだ。実際に可能らしいし、なんだか等身大のガラス窓を引き裂いて、反対側に進んでいくのは、エレガントな事をやっているような感じがするし。言うことを聞かない鳥達は窓に体をぶつけて死んでいく。ガラスが綺麗過ぎて気づかなかったんだろう。リビングの中に入りたい気持ちもわかる。だからダイアモンドを使って野生の鳥達を中に迎え入れてあげようと思った。北西のArkansasの途中にあるコロラドとその間にあるいろいろな場所から来た、James Apolloが僕をそういう気持ちにさせたからだ。"How Hard"という曲、ここに登場する一人の男が「美しい黄金の心はどれほど硬いのだろう」と不思議に思っている。どうも偽りの無い悩みのようで、これを単なる安っぽいポエムみたいに軽視してはいけない。限定された美しさと良心を考えさせてくれるいいチャンスだ。良心は特定の人間には理解してもらえるし、美しさは目で感じるもので、いつもそれが正しいとは限らない。クィル※とギザギザの刃で決まった人間に襲い掛かることがある。良心も美しさも遠くから見ると何の汚れも無いけれど、すぐ隣まで近づくと汚さに気づく。そして僕らに塵をなすりつけようとするのだ。

Apolloが書く音楽は僕らを暗い廊下へと連れて行く。美しさと良心が自然に振舞っているように見える場所で、見せかけを許さず、僕らに正面から対峙する。こいつらはえり好みする所があることに気づき、ついに美しさと良心の価値を見出すことができた。僕達はプリズムのように反射するダイアモンドを破壊的なものだと捉え、もう美しく輝く物質とは思わない。そう、こいつは破壊的になって傷跡を残し続けている。家が「我が家」と呼べなくなったとか、冷たさとか気難しさのせいで、優しくて暖かくて愛に満ちていると思っていた心が信じられなくなったとか、そういう事が耳から聞こえてくる。深みではなく、密度を感じる。

Apolloは愛とその形に疑問を投げかける。なにか最高の計画を立てていたとしても、「誰も僕をうまく愛することが出来ない」なんて歌いだす。黄金の心が登場する同じ曲でだ。彼は最新作"til Your Feet Bleed"の中で感情がどれだけ長続きするか、恋愛の終わりがいつ来るか分かるか、分からないか深く考えたりしている。そこには悲しみがたくさんあふれていて、どうすることも出来ないし、何も変えることが出来ない。でも、なぜかApolloのフォークの魔法にかかると甘い旋律が流れ、僕らに慰めを与える。そして、多分彼が心の奥で本当に感じていることは、彼が歌うように「幸せは笑顔、心臓が打ち付ける胸」。そう、きっとそんな感じだ。だからガラスの窓から穴を丸く切り取って、鳥を迎え入れようじゃないか。
James Apollo Official Site

試聴・ダウンロード


セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. Morphine & Wine(Angels We Have Grown Apart収録)
  3. How Hard(til Your Feet Bleed収録)
  4. Beauty Bird(Hide Your Heart in a Hive収録)
  5. I've Got It Easy(Born Lucky収録)
  6. Happiness(til Your Feet Bleed収録)

James Apollo - Happiness from Papa Escalante on Vimeo.

The Death Set


Tear The Basement Down By Dance, By Golly

Jul 25, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi

Download






憂鬱な人たちや、何かに呆れてがっかりしている人は結構時間を楽しめる人が多い。もう諦めてあれこれ言わなくなると、転機が回って可能性を発見したり、何が自分をイライラさせていたか理解できるようになる。酸っぱいブドウですら収穫して、ワインを作って熟成させる。それをジョッキで一気に飲んで酔っ払う。泥酔状態で、君は頭や拳を薄っぺらくて汚い壁に打ち付けたりする。車もボコボコにしてしまう。その破壊行為の中誰も傷つくことは無いけれど、君は短気になって乗り物を痛めたくて仕方が無くなる。あのワインが自意識や、手に入らない幸せ、いろんな種類の不公平な怒りを昇華させたのだ。ぐちゃぐちゃなエレクトロパンクバンド、The Death Setはもともとオーストラリアからやってきた。今はニューヨークのブルックリンに拠点を変え、心地悪さや精神の病気から来るような汗臭い演奏で僕らをダメにする。彼らはこの感覚をいつも自覚しているわけではなさそうだが、疫病のようにどんどん悲しい現実的な残酷さを身につけてしまっている。もう同じような間違いを起こし続けてはいけないし、夜から夜へ、色んなパーティーを行ったり来たりも出来ない。何の必然も感じずに、ただ目の前で起こった全ての事に大して文句をつける。そんな必要がしてならない。この三人組の最新アルバム”Michel Poiccard"に収録された楽曲はバンドの凶暴な態度を色濃く出し、少し振り返って、彼らの人生観を変える小さな希望を提示している。「何が起こったかわからないから、何か変える方法なんてわかんない」という感覚。”We Aren't Going Anywhere Man"で彼らが理解しているのは「毎日毎日最高のミスを起こす/諦めちゃった仲間もいる/全てを差し出した仲間もいる」という事だけで、それでいい気分になっている。今まで感じたことの無い、最高の気分だ。リードシンガーのJohnny Sieraはいつも絶望したような声で歌う。けれど、こうべを垂れて斧を片手に誰かを傷つけようとはしない。代わりに彼は手を振り上げて、壁を壊そうとする。「そんなの知るかよ」と言って、知っているようで知らなかった事や、一度でも感じたと思った感情の中を突き進む。それがバンドのパーソナルで、手を振り上げて自己嫌悪に陥るようなアティチュードを作り上げている。悪いことは行ったり来たり。いや、時には立ち止まって素晴らしく悪意に満ちて、ジョイントを引き裂くような、地下で流れるダンスミュージックを聞かせてくれる。
The Death Set Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. We Aren't Going Anywhere Man(Michel Poiccard収録)
  3. Can You Seen the Light?(Michel Poiccard収録)
  4. Slap Slap Slap Pound Up Down Snap(Michel Poiccard収録)
  5. Negative Thinking(Worldwide収録)

2011年7月25日月曜日

Mountains



Leading To The Maddening Disintegration Of Spirits

Jul 24, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi

Download







うざいくらい毎回、僕は飛行機の外から出るときにこう考える。もし僕が乗っていた飛行機が他の機体とぶつかって真っ二つに引き裂かれていたらどんな気分になってただろう。そんな悲劇的な爆発は起こりはしないだろうけど、もし現実に起こっていたらどんな感じがしただろう。丸々太ったレーズンが冷たい水の中にボトンと落ちる感じなんだろうか?たくさんの目には見えない生き物達が泳ぎ回って、足の裏を押してくるのはどんな感じなんだろうか?跡形もなく消えてしまった飛行機の機材にしがみついて、命からがらによくある無人島まで漕いで辿り着くのはどんな感じなんだろうか?助けを待つか、喉が渇いて弱々しくなっていくしかない場所で、何を思うのだろうか?こうやって一瞬で全てが終わってしまう瞬間、最悪の展開を考えてしまうのはよくある。それでも僕が無人島で耐えられないって思うのは、Mountainsのレコードを聴くことだ。無人島でのサバイバルを乗り越えるために持っていくレコードのリストを挙げる人がいるよね。今こうやって砂とやしの木に囲まれた孤立した場所で、リストに挙げた音楽を聴きポータブルプレイヤーの最後のバッテリーを消耗している。自分を元気づけるために。

MountainsのBrenden AndereggとKoen Holtkampは、君が海の真ん中でひとりぼっちになった時に聞こえるような音と感情を凝縮させたような音楽を作る。孤島にある音の中に僕らを連れて行く。慌しい音やシューっとした音、沈黙、狂った魂がどんどん分解していくような止むことの無い感情の錯乱..人を穏やかな気持ちにさせるような波がビーチを打ちつけ、それが他でもない人を苛立たせるような優しさに変っていく。.この気の乱れと感覚を音の中に聞くことが出来るだろう。気持ちの良い音は、実は襲い掛かるタイミングを待って、爪を尖らせているだけなのだ。よだれかけをつけてフォークを持って待っている。そう、まるでアニメの狼が幻覚の中、錆びたガスタンクを回転焼肉機についた肉厚でジューシーな鶏肉だと勘違いして見つめているような感じだ。Mountainsはどんどん荒れ狂う罪を許すことが出来ない海だ。彼らはそれを容赦しない攻撃と裏切りを通して表現する。しかし、無抵抗の慈悲を通して同じものを表現するため、僕達はそれが彼らの本当の姿だと信じてしまうのだ。
Thrill Jockey Records


試聴・ダウンロード

セットリスト

  1. Unknown 1(未発表)
  2. Unknown 2(未発表)

2011年7月24日日曜日

My Education/Theta Naught


The Dark, Icy Road Runaway Frenzy

Jul 23, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi









オースティンのバンド、My Educationが作る音楽は誰かに教えてもらうようなものではない。酒と一緒に飲み込むものだ。ピッチャーやゴブレットの中に注ぎ込まれ、口から吸収するのだ。目から飲んでも構わない。緑や茶色や青の眼球が輝きに満たされ、表面が常に跳ね回り、応唱や対比旋律を返してくる。この音楽は構築され、変化していく。目指す目標ははっきりしていなく、次どうするかアイディアを出し合いながら、この集団の圧倒的な原動力を作り出すためのバンドのビジョンを色々吹奏している。君は滝に飲み込まれたり、逃走中の大型貨物自動車の上に捕まえられているような気分になる。運転者はそこにいなく、ちょうど幻覚剤が効いてきたときに、地面が凍りつくように寒く忙しい高速道路を混乱させている。彼らは崖の端まで君を追い詰め、蛍光色の水の中に飛び込ませる。そこには色々なものが君の足首の周りを泳いでいて、君の踵を使って体を擦っている。はにかんだり、噛み付くわけじゃないけれど、君が一人ではないことを教えてくれる。馬一頭を素手で殺せそうなくらいアドレナリンは高まった。毛穴から汗が噴き出して、勢い良く背中を流れていく。まるでスプリンクラーにでもなってしまったみたいだ。ウェストバンドが全ての汗を受け止め、すぐに君の体の部分が勇ましく(あるいは悲劇的に)紙ふぶきのように爆発して飛んでいくような気分になる。まるでシダレヤナギが火に燃えているように。今回のセッションで演奏された"End Masse"という曲は弛むことのない動きとカオスを九分近く鳴らしている。最後の二分間で熱から冷めたように落ち着きを見せ、まるで全てが脅し作戦であったかのように僕らを優しく地面に降ろす。彼らは僕達の足首を掴み30階の建物の窓の外に吊り下げた。そして震える僕達を中に戻し入れ、「本当に落とすって思ってたの?馬鹿いうなよ。ぜったいそんなことしないよ」と言ったのだ。いや、世界が何て言おうと、あいつらならそうしてたと思う。この人たちが狂ってることは分かってるし、僕らも人を信じきれないタイプだから。

My Education Official Site

試聴・ダウンロード
セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Careful with That Saw, Ryan(未発表)
  3. Dingerland(未発表)
  4. End Masse(未発表)

2011年7月23日土曜日

Dominant Legs


The Buried Hurt Of Polite Love

Jul 22, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Shawn Biggs
Translated by Teshi








Dominent Legsが表現する切望と心酔の感情は客観的でこの上なく礼儀正しく鳴らされる。確かにそういう親しみやすさや感情が見られるけれど、まるで深夜に泣き続ける犬を黙らせる飼い主のように感情は抑えられている。、あんまりうるさいと近所の人が迷惑するからね。Ryan LynchとHannah Huntは80年代のディスコ風のデュエットスタイル、Jackson 5っぽいギターのフレーズと跳ね回るシンセサイザーをバックに抑えきれない感情を歌いだす。しかし、なるべくうるさく聞こえないように多大な工夫がなされている。この古風な愛情と欲望のセンセーションは部屋の角に住み着き、灰に覆われたウサギとともに生活している。この爆発しそうな感情の塊はパジャマを着て、コンタクトレンズを外し、ランプの光が睡眠と共に夜の中へ消えていくまでメガネをかけている。こいつはそこに留まって君の体を焼き、体の内側から君を蝕んでいく。そこに何もなくなり、体が恋愛以外の他の事を心配するまで。もっと一般的なこと...借金とか体の健康とかさ。ゆっくりと育んでいく、長く続く恋愛のことを考えていると、そういう心配はどうせ後回しにしちゃう。LynchとHuntはこういった曲をまるで波が堤防に打ち付けるように、強いバックビートとやさしいシンセの波動で作り上げる。切迫した様子はなく、全てがうまく言っているわけじゃないという、ただ一つの認識があるだけだ。彼らの曲の中で起こる全ての事、そしてそれに対応する人々は問題を解決しなければならないし、それはいつ終わるか分からない。まるで氾濫する水のように、あちらこちらに静かに留まり続け、まるでストレッチをするように、少しずつ波紋を立てている。Linchは少しだけSunset Rubdown/Wolf Parade/Moonface FameのSpencer Krugのような声で、歌詞を喉の下のほうから奇妙にキーキー歌い上げる。まるで彼が歌うときにコンプレックスを抱えているようだ。「うん、僕背は高いほうじゃない。だから男らしくないって事もわかってる。」と”She Can Boss Me Around"という曲の冒頭で歌う。彼は何かを捕らえようとしているわけではなく、言葉を自分に投げ返して自分の一番弱い部分を守ろうとしているのだ。彼はどうも星に照らされたロマンティックな夜や、小説に書かれた夢のようなロマンスをよく考えてるみたいだ(最低、彼の欲求の真髄でそういう事を考えているだろう)。でもいつものように夢見るロマンスの実現は失敗する。苦しみは周りに拡散されないけれどね。痛みは辛抱される。LynchとHuntのキャラクターはその痛みをどこかに埋め、踊りに出かけ、動き回って他の事を考えようとする。その痛みはどこかフロアの上で動き回っているかもしれない。でも踊ることで最高の気分になるんだ。

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. 2 New Thoughts About You(未発表)
  3. Already Know It's Nice(未発表)
  4. Take A Bow(未発表)
  5. She Can Boss Me Around(未発表)

The Coathangers


Watch Out Where You Nestle, It's A TRICK

Jul 22, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


Download




The Coathangersが僕らを手招いてなにか挑発しているようだ。彼女達は綺麗なお世辞を使い、餌の様に相手を引き寄せ、鉄で出来た危険な罠に誘い込む。この甘い罠に引っかかる人たちは結構決まっている。タトゥーがたくさんあって、眠たそうな目をしていて、癇癪持ちで、自分に自信がないような人たちだ。ヤクもやってるかも。彼女たちはまるでくるぶしにロープを引っ掛けるように君を足から引きずり回す。体は切り傷や擦り剥けだらけで歯もいくつか欠けてしまう。でも君はそれも魅力の一つと思ってしまい、バッタの大群の鳴き声が欲望を制圧する警報のように鳴っている。まさかこんな事を欲するなんて思っても見なかった。君は腕を見つめ、まだ何か足りないと気づく。タトゥーをもっと入れて、肌を隠さないと。もうちょっと自信をなくして暗い感じにならないと。でも君はまだ眠たそうな目をしているし、彼女たちが何をしようと厭わない。きっと物を投げてくるだろう。壊せるものならなんでも壊してしまうだろう。タイヤを引き裂いて、君の事を弱虫野郎と蔑んで、スクリーンドアから誰かを放り投げて、金玉を蹴り上げるだろう。もしかしたら、金玉をつぶされるのは君かもしれないよ。The Coathangersの魔法にかかってしまったら、君はみんなに向かって「気をつけるように!」と警告を言い渡すだろう。「私のおっぱいに横たわって/とっても心地いいわよ...私のおっぱいに愛を見せてよ」Julia Kugelがこうやって歌うとき君はきっとこう自分に言い聞かせる。「やってもかまわないよ。僕のおっぱいへの怖れを無くしてくれるならなんでもいいや」かなり大胆で、肉食系な行動だけど、それは罠だ。ジョージア州のアトランタからきた4人の女の子達--Kugel, ドラマーのStephanie Luke,キーボードのCandice JonasとベーシストのMeredth Franco--が集まってうんざりするような女の不満と欲求を混ぜ合わせた。もし君の態度、小さい人間っぷりが気に入らなかったら、彼女達は面と向かって文句を言う。君の馬鹿さ加減やアホっぷりを歌にして、君の事を最低な奴(アスホール)と呼び出す。彼女達は「お前は自分のしたことで地獄に落ちるだろう」と言ってくるだろう。「もう絶対に私達のおっぱいを枕にすんな!絶対だぞ!」
The Coathangers Official Site

試聴・ダウンロード 


セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. Hurricane(Larceny and Old Lace収録)
  3. Shake Shake(Shake Shake 7inch収録)
  4. Johnny(Larceny and Old Lace収録)
  5. Pussywillow(Scramble収録)

2011年7月22日金曜日

Baths


For The Deepest Quiet, It Beats

Jan 18, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi



Download







Will Wiesenfeldの印象的なデビューアルバム”Cerulean"の中でそれを聞くのはそう難しくない。けれど、今回のセッションではさらに簡単にその感動を聞くことができる。4曲中3曲は実際にレコーディングをせず、ライブのみで披露された楽曲だ。WiesenfeldのプロジェクトBathsは時として娯楽のような楽しい音が鳴らされる。しかし現実では彼は体が大きい軟弱な人間のようだ。彼はきっと枕に詰めるようなふわふわしたプラシ点の素材で出来ているのだ。彼はきっと涙もろくてすぐ泣いてしまうだろうな男だ。多分今は亡き愛する人たちのぼろぼろになった写真を財布の中に入れていて、落ち込んでいるときに時々見返しているんだろう。Wiesenfeldが蘇らせる物語の攻撃的で活発なビートの中には何か心の闇が潜んでいるように感じられる。しかしここではシンプルにピアノとちょっとしたビートが加えられているだけで心が晴れることはあまりない。闇が年老いた犬のようにどっしり腰をすえているのだ。犬は君の体の上にだらしなく、締りの無い丸太のように横たわり、いずれ足が痺れてくる。こいつは頑固強く長い間居座り続け、時々重みを軽減させようと動くけれど、ずっとそこから退くことはない。Bathは僕らをイライラさせたり、困った立場に追い込もうとするもの達をギリギリまで追い詰めようとする。僕らは心が折れ、精神的な痛みに苦しむ。そうする以外に選択肢が無いからだ。そういう風に生まれてしまったからどうすることもできない。悲しみを全て飲み込んで、孤独な灯火が宿るまで、苦しみに心を打ちひしがれる。

”The Water”という曲で彼はツアーメイトのMartin Doshとコラボレートした。この曲を聴くと、寂しい夜、何の明かりも無い静かな森の真ん中で会話している気分になる。外に設置された床の足音がまるで大砲の放火音に聞こえる。窓を開けて、こういう夜の中へ出かけたいと思わせるのだ。もしかしたら外は寒くて、帽子や手袋が必要かも。片手には懐中電灯を持って、ガラスで出来たたくさんの目が木々の隙間から照らし出されて、君を覗いている。でもそこには目的もなくそぞろ歩く彼らを落ち着かせる静寂がある。アウトドアのホットタブから引っ張り出されたかのように彼らからは湯気が立っている。身を切るような寒さの中風が吹き、彼らは体温との寒暖差に弱弱しくなっている。Wiesenfeldは”Plea”の冒頭でこう歌う。「愛する人よ、ここは暗い世界で、僕はフォーカスを無くしてしまったよ」そして僕らは混乱の中へ迷い込み、真っ暗な闇の中、道も分からずうろうろしている。彼はこんな世界を真剣に捉え、もっと詳しく知ろうとかなりの時間を費やしているようだ。彼がこのセッションの終わりで「闇の世界」についてまた歌いだす時、僕らは彼の言っている事を無視をしてはダメだと感じる。これは一時的なものではないけれど、何か母斑のように跡がつき、消すことが出来ないものだ。彼はなにか急かされるようにこう歌う。「ここにある静寂は愛が無くても底が見えないほど深い/水が僕らの一部だって感じずにはいられないよ」そうして僕らを深くどす黒い水の中に連れて行き、足から水の底まで引きずりこませる。そこからは何も見えないけれど、体は10倍以上も感度を増す。
Anticon Records

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Plea(Celurian収録)
  3. Reminisce(未発表)
  4. 1149K(未発表)
  5. The Water (Feat. Dosh)(未発表)

Willの解説

Plea
--ちょっとした知識ね。今回、デイトロッタースタジオにあった三つ違った種類のピアノを使ったんだ。そうすることでそれぞれ違うサウンドがうまれるだろ?

Reminisce--この曲は三年前に書いたんだけど、ライブで演奏するのは今回が初めて。レコーディングもしてない。

1149K--ツアーに出ているときに書いたんだ。プラグが引き抜かれるときの音一つだけをサンプリングしてある。今回のセッションで生まれて初めて演奏するよ。

The Water--九月にツアーに出るちょうど前に書いた曲。でもDoshが演奏するドラムパートをつけたのは今回のデイトロッターセッションが初めて。

Anamanaguchi


Disco Ball Kisses For The Sky Jumpers

Jul 21, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


Download




Anamanaguchiが生まれたのは人類最大級のシュガーハイ(糖分の採りすぎでハイになる事)の最中に違いない。あ、マ○ックマッシュルームもあったかも。けどきっと、キビ砂糖を水に溶かしたり、キューブ型のをまるごと食べたり、グラニュー糖や加工された形で無茶苦茶採ったに違いない。ジョルトソーダ※、ケーキ、アイスクリームとキャンディ、そこら辺を食べ散らかしたんだろう。それは太陽が一番に照り輝いている時期で、全ての色が焼けるように鮮やかで活き活きしていた。参加した全員が色々持ち寄って、この新しい生命系の創造の責任をとった。それは長い長い夜中の睡眠から生まれ、先が広がっているオープンエンドの世界があり、彼らはそんな世界を寸断し、制覇していった。子宮の中からバラのように鮮やかな頬をした小さな生き物が生まれ、陽気な産婦人科のドクターがこいつの尻をパシっと叩いて、ヒステリックに笑い始め、ディスコボールの下でするようなキスを、今まで経験をしたことがない恍惚の中投げ飛ばしている。このNew Yorkからきたインストエレクトロバンドは任天堂のゲーム機やアーケードゲームから飛び出す電子のポロンという音や、ハイスコアをゲットしたときの音に心を奪われた。耳の中に魔法のように鳥がささやくような音だ。ゲーム機にインスパイアされた彼らの音楽はスカイダイバーやパラシューターが、空からジャンプする時にBGMとして流されるようなミックステープだ。あまり知られていないことだけど、地上から何千フィートも上からジャンプする時(理由がなんであろうと)にAnamanaguchiの音楽が耳の中に響き渡るんだ。彼らをポジティブにさせる大きい音が鳴っているなんて地上で安全に過ごしている人たちは全く思っていないし、ジャンパー達もそれを内緒にしている。絶対機密のAnamanaguchi協定をパラシュートを開く前に結んでいるからね。バンドが作り出す日に焼けたような音楽はこのような命の危険がある出来事で流される。部分的に。なぜかというと、彼らがビーチや何も無い高原に着陸するときに、5分か10分着陸で跳ね回るときに奇妙なダンスを激しく踊りたいからだ。音楽は(契約どおり)止まずにありえないボリュームで鳴り続ける。その間、彼らはあの踊りを繰り広げる。
Anamanaguchi Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Airbrushed(Airbrushed収録)
  3. My Skateboard Will Go On(未発表)
  4. Don't Save Us From the Flames(M83カバー)
  5. UNME(未発表)


2011年7月21日木曜日

Yuck


All The Old Is All The New

Apr 11, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Kentarow


Download






ペプシとコーラの缶がまだクラシックデザインだった頃を覚えてる? そんなに大して昔の話ではないよ。こうした有名ブランドのマーケティング部の野郎どもだって、今その商品がもっともホットな流行のど真ん中にあり、世の中のそんな流行をいつも楽しんでいる消費者、もしくはそんな流行や商品には目もくれない人々にこの商品が如何にホットでセクシーなのか、そしてだからこそこの商品は風通しがよく誰の側にも必要なものだとアピールし、似たり寄ったりの 世界からの差別化を図る為に、そんなに大層な時間を費やしているわけじゃない。それは僕らの朝食のシリアルや、ソフトドリンクに、ビールに、洗剤に、そう僕らが買い求める今僕らが手にするすべてに「新登場!でも変わらずの素晴らしい味!レシピ!定番!秘密のソース!」なんて相変わらずのベーシックさで記されていて、誰もが無限のリサーチによってより世の中にマッチし精通したものをこれでもかって程に心底欲しがっているのに、、なんて局面に実際僕らは面していたりする。 
送り手の誰もが新しい方法でこれまでと同じ”昔ながら”をさがしつつ、でも同時に、今コレにはこれまでとは違うものがつまっていると僕らを安心させる必要性も感じていて、それはただ僕らの僕らが興味を失ってしまっている新しいものに対して、きちんと僕らのニーズに応えようとしている証拠でもある。イギリスのバンド YUCKは、日に日に新しい契約アーティストで列を伸ばしているミシシッピ州はオックスフォードのファット・ポサム・レコーズと契約したバンドの一組で、そんなクラシックデザインの缶にカテゴライズされるバンドの一組でもあり、そんな"壊されてないんやったら、直す事なし"といった音楽の、そんな時代の再来ともとれるバンドのひとつでもある。 
リードシンガーのダニエ・ブランバーグは、幾度も、若者であり、混沌とした少年期の、プラシーボが昔書いてくれていたような感情風景を、そんなエモーショナルかつドラマティックな曲達で僕を気付かせてくれる。彼は無論、他に(*おそらく"アメリカでは"という意味で)そうした90年代のあまり人目を引かなかったけれど活動をやむ事なく続けているイギリスの優れたバンド達の一組である、アッシュ(Ash)のティム・ウィーラーの軌跡をも辿っているようだ。Yuckは、90年代の10年という時代をほとんど丸ごと綺麗に駆け抜け、そんなクラシックな缶に詰め込まれて揺らし混ぜられたインディー・ロックンロール・ミュージックの天才的なブラックカラーそのものである。そしてそれは、まるごと皆が忘れられなない、もしくは"そんなに遠く過ぎ去ってしまったわけでもないのに忘れてしまった時代、10年の音楽”が、今ここに、しかもされるべき賞賛を言うほど丁寧には受けずに鳴らされている。そしてそれは恐ろしく人並みならぬ領域で、1980年代やそれ以前にあったもの以上に、何よりもスマートでそれでいて触れ易いひとつのDIY (Do It Yourself)精神の固まりである。  
現在は突如としてレコード(*デジタルリリースを含みむ一般的な音楽媒体を、くらいの意味でしょうか)を人々の手に渡し易くなってしまった最初の10年である。そうだね、それはたとえ今すぐこの場でってだけでなく、一代のコンピューターが君をグランドパーティの一員と見なしてくれるような場所であればどこでだって可能なはなしで、膨大な音楽を発信していく可能性があるわけだし、僕らはその豊富な音楽に聞き入っていたわけだ。そのいくつかがまったくのくそだとしても、他のいくらかはとても素晴らしいし、ほとんどはまあまあな物で、その中でただふるいにかけられて流れてゆく物ばかりさ。Yuckに関しては、その全景的(パノラマ的)でかつだらしない感じにも広がってゆくギターサウンドに、ダイナミックでいて思慮深くけれどどこか楽観的な(イージーゴーイング)アレンジに、パンキッシュなリフレインの嵐と全ての音楽ジャンルにカテゴライズできないようでいてジェネラルな感覚を持ち合わせつ、すべてが新しさと古き良きな面と改めてごちゃ混ぜられたり、全てが指先一つでかなえられるような一つの時代を例証していたりもする。
Yuck Official Site
Fat Possum Records

試聴・ダウンロード
セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. The Wall(Yuck収録)
  3. Shock Down(Yuck収録)
  4. Suicide Policeman(Yuck収録)
  5. Holing Out(Yuck収録)

MEN


Dancing Off The Ill-Fitted Times

Jul 19, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


Download




MENが作るダンスミュージックは君の両親が聞いて育ってきたものと違う。これは真夜中のいたずらの前に聞きたくなるような音楽だ。外に出て、郵便箱を野球バットで叩き壊しに行く。このダンスミュージックはちょっとした復讐を仕掛けたり、口げんかを始める前に聞くような音楽だ。これを聞くと、ストリートに出かけて悪さしたり、比較的被害が少ない破壊行為をしたくなる。わかる?卵を何かにぶつけたり、タイヤを一つか二つ引き裂いたりしたくなるんだ。Le TigreのJD Samson, Michael O'NeilとリードシンガーのTami Hartで結成されたMENを聞く時、なんだか恨みやストレスを晴らさなきゃいけないような気になる。彼らの曲はクラブで香水を振りまくキツそうな安いドレスをきた女の子や、ボタンがかかってないシャツを着たサラサラヘアーの男の子たちを弾きつける様なダンスチューンではない。MENが演奏してそうなダンスクラブは社会から外れ、のけ者にされ、空腹で病気っぽい人たちのいる所だ。こういうダンスクラブではみんな人の視線や何か暴力沙汰につながる事から逃れようとしている。ダンスフロアの角から送られるその視線は多くの場合正気が感じられず、いつもギリギリの所で生きて、欲しいものが見つからないという感覚は消し去ることが出来ない。だから言いたい事を言い切った時に、踊って忘れようとしているのかもしれない。Hartの毒気に満ちた歌声や人を近づけないようにシッシッという感じ、そこには何か代償が必要なのかもしれない。それは現金でどうにかなるものかもしれないし、もっと面倒なものかもしれない。先に述べたように、"Double Dare Ya"は喧嘩を駆り立てるアンセムだ。「ガールフレンド」に喧嘩を挑む曲なのだが、彼女は絶対に「友達」なんかじゃない。確実にそれは「敵」であり、ずっと敵であり続けるのだ。毛皮やつけ爪がそこらじゅうに飛び回るだろう。どうもバンドの1stアルバム"Talk About Body"には結構な量のボディタッチが活き活きとした曲の中に含まれているように思える。なんだか胸につかえたイライラを吐き出したくなるような感じ(多くの場合彼らは吐き出すのだが)。また、自分たちはかなりの数のアホに囲まれていることや、「ビルは栄えて潰れる。人間もそれは一緒」という事実を思いださせる。まるでどこにも心から信頼する人はいないのだと僕らに教えているようだ。"Boom Boom Boom"では「争いはあらゆるところで起こっている」と戦争について投げかける。「家でも外でも戦って/あんたとそこらへんの木とどこに違いがあるのよ」と歌い、その怒りがどこからくるのか知ることがないまま攻撃を始める。それだったらタイヤを引き裂いたり、踊って忘れるほうがいいじゃないか。多分そんなこと選ぶ必要も無いのかもしれない。胸を張って両方やってしまえばいい。きっと気分が良くなるはずさ。
MEN Official Site

試聴・ダウンロード


セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Simultaneously(Talk About Body収録)
  3. Life's Half Price(Talk About Body収録)
  4. Boom Boom Boom(Talk About Body収録)
  5. Double Dare Ya(未発表)

2011年7月20日水曜日

The Caribbean


The Malaise Of The Curious, Restless People

Jul 19, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


Download









脳の半分は自分のことだけ考えてると信じている人は多くいる。自分が特別な人間だと感じていて、人生を通して手に入れた物にどんどん磨きをかけようとする果てしない好奇心を持ち合わせている。頑張ってるんだけどね。そういう人たちのほとんどが、知識を積んで、学べば学ぶほど、知らないことが広がっていく事に気づいている。知識に終わりが見えないからだ。インテリな人間には絶対なれないことは運命で定められている。まるで新しい本を買うときみたい。下調べもしっかりして、カバーアート、著者(本に貼られているポートレイト写真とか)、点字を使った配慮、活字の種類など全て高得点だ。何年も前に買って読まず終いの他のタイトルと一緒に結局本棚の奥にしまいこんで、切ない気持ちで見つめ直す。忙しい中、貴重な時間をこの可哀想な本たちに費やそうと思っていたなんて恥ずかしい。そしてその本の事を忘れる。他のものに目が移って、延々と情報を頭にインプットし続けるけれど、どれだけ難しい本を読んでも学び足りない。アホみたいだ。Washington , D.C.のバンドThe Caribbeanは同じように個人的、或いは音楽的な苦労をしている。

リードシンガーのMichael Kentoffも動く歩道に歯向かって歩くような、こういう種類の競争の中に巻き込まれてしまったと感じているのだろうか。前は嫌になるまでこれを続けていた。欠伸する口を手で押さえ、どれだけやっても無駄で、不公平でどうでもいい知識の追求をしていたのだと気づいた。それでも彼はどんどん賢くなっていく。彼らのアルバム"Discontinued Perfume"の中には進行中の出来事に飛び込んだ曲がいくつかあるが、全てが"Thank You For Talking To Me About Israel(イスラエルのこと教えてくれてありがと)"と同じバリューを共有しているわけではない。これらの曲は本当の感情を隠そうとして感情的になっているような忙しない人々や、馬鹿げた事が起こるのを待っている人々について歌われている。不条理なことが彼らに降りかかり、不快なことから脱出だせてくれることを祈っているのだ。

アバンギャルドで奇妙なポップを奏でるThe Caribbeanの楽曲にはKentoffの変なよそよそしさが表れている。彼の声からは得意そうな笑い声が聞こえ、彼がまだ諦めずに足を踏ん張っていることを証明している。なにか自分を楽しませるものがあれば、他の孤独で疲労した仲間たちを救ってあげることができれば、彼はまだまだ頑張るのだ。彼は歌う。「まるで延々と行列で待っているようにずっと言い続けるよ/暴力のクーデターをする挑発を/まあ塔の上には悲嘆はないだろ/なんの保障も、救命もないよ/あと少しで僕らが必要になる 5...4...3..2..」"Mr. Lets Find Out"のラインだ。まるで僕らの居場所は大丈夫だと言っているように聞こえる。失敗が至るところに伝染する僕らの居場所。
The Caribbean Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト

  1. Welcome To Daytrotter
  2. You'd Smile Back(未発表)
  3. Supply Lines(Discontinued Perfume収録)
  4. The Go From Tactical(Populations収録)
  5. Mr. Let's Find Out(Discontinued Perfume収録)

The Go From Tactical - The Caribbean from georgia perris on Vimeo.

2011年7月19日火曜日

Parts and Labor


Oh, That Sweet Punishment

May 25, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Kentarow

Download








アーノルド・ロベル (Arnold Nobel) 著書「マウス・スープ(Mouse Soup)」という絵本の中に、一匹の腹を空かせたイタチが一匹のねずみをつかまえ夕飯になるように言い聞かせる、という面白いお話があります。ネズミはイタチの、いかにイタチのスープになる事がネズミであり続けて得る事よりも著しく素晴らしいかという話に耳を傾きかける。
ネズミはイタチに、それならスープによりおいしく煮込まれる為にストーリーが必要だねと教える。そしてネズミはそのストーリーの一つとして、とあるネズミがある夜に窓から一匹のコオロギがさえずっているのを聞こえてくるため、うとうとと眠りに付こうとしているのを邪魔されているのため、窓を空けてはそのコオロギにどこかへ行くように言う、という話しをし出した。そしてそのコオロギはそのネズミのいい分を、もっと他のコオロギの仲間を連れ立ってさえずりのハーモニーを重ねて合唱してくれという、要望と聞き間違える。ネズミはもう一度その音楽を止め速やかに遠くへいってくれと言いい、コオロギもまた・・・互いになんて聞き入れの悪いんだろうね…コオロギもまたそのネズミの声をコオロギが助長していくことえの不満だとは気付かずに、合唱する為にもっと仲間のコオロギを呼ぼうと勤める。このやり取りはその後4度は繰り返され、最終的に集まったコオロギ達はネズミが合唱を求めてはいなかったことを理解し、「それそうと、なぜ初めに言ってくれなかったの?」と言ってはその夜のセレナードを演奏するにふさわしいところを探しによちよち歩いていく。

NYのバンドParts & Laborはまさにそのコオロギの楽団を凝縮したようなバンドだ、というのが丁、彼らのブレイク作となった素晴らしいアルバム「Stay Afraid (ステイ・アフレイド)」をリリースしたばかりの時期に初めて彼らが我々Daytrotterのスタジオを訪れたときの印象であった。(*恐らくこの翻訳の前に↑で紹介した2006年のセッション時でしょう。)そしてそれはDaytrotterを初めてほんの数週間後の時期でもあり、彼らは、Wilderness (*P&Lと同じJagjaguwarレーベルメイトのバンド)と一緒にデイブンポートのダウンタウンにあるとあるコーヒーハウスで、ある春の夜に夜が暮れるのを待ってプレイしだし、演奏はちょっとわんぱくだったし、終いにはミシシッピ川沿いに泊めた真っ暗で何もないバンドのバンの中で夜明けを迎えていた。パーツ&レイバーはステージの側のコンセントをフルにプラグで塞ぎ、ボリューム最大で、記憶が定かなら、ポリスが来て演奏を止めろ!って言うまで続けていたし、明らかにそれまでの間はその晩の神架かった時間だったよ。そんなねじ切ったような日の彼らがスタジオに到着してきたときにはもう、正に彼は"Parts &Labor"のほか何者でもなかった。わかるだろ、P&Lには彼らの(ノイズを表現するだけの)ボリュームが必要なんだ。Parts & Laborには絶対的にあの耳を劈く凶暴性を更に奇想したようでいて母の様に豊かな音の源泉が必要なのである。それが彼らが彼らなりに音を心地よくならす為になくてならなくて、その為のセッティングには、また、そのすべてが上手くいくようにひとりのメジャーな誘導者も必要であったのだ。いくつものその轟音の波に必要とされていた要素はその部屋にあり、といってもただのひねくれ若しくは果敢な抵抗があってのものでもなく、けれど我々は、P&Lのシンガー達であるダン(Key/Vocal)とB.J. (Bass/Vocal)、--今回のセッションでプレイしているドラマーのジョー はまだ初めのセッションの時にはバンドに加入していなかった-- 彼らの「君たち(リスナー)が僕らに与え得てくれるものをもっともっと与えて欲しいんだよ!」という言葉を信じている。この言葉はまるで、もしParts &Laborが必要とされていなかったとしても、彼らの音を鳴らし続けていたこと、そう正にあのコオロギの様なものなのさ。(でも)それは釘を刺してしまった。このDaytrotterの五年間で彼らのセッションはそれっきりだったし、結果的にそのセッションは上げることが出来なかった。その「やりすぎ」は規格外だった--Daytrotter全体的にってわけじゃないけれど--けれど、それもまた他と異なる事でもある。みんなまだ Parts & Laborのその耳に対しての妥協される事のない罰を聞くことができるだろう。それはただ気を許す事なく打ち続けている連打パンチみたいなものさ。そしてそれはもし好かれようとしていたことに対して厭になってしまったとしての、最大の非難ってことだろうね。ただひとつ、誰もこのウルトラ・クリエイティブなトリオを拒む事ができないのは、たとえそれが死への20回ドラグレース(アメリカで生まれた、4分の1マイル(約400m?)の直線路で加速力を競う自動車レース。通常2台ずつ走る。)を走り込み、同時に、彼らのケツの音のデシベルで窓を付き破って、彼ら自身のそして我々リスナーの服を輝かせて、そのフィールドを輝かせて、そのすべての中で起こるバーンズ(衝突断面積の単位)も輝かせて、そのモンスターの様な不協和音で100マイル先の人までも起こしてしまいかねない不協和音を鳴らすようなもで、そしてそれは僕らにもやってきて、でもとっても優しかったりする。
Parts &Labor Official Site


試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Constant Future (Constant Future収録 ) 
  3. Never Changer (Constant Future収録 )
  4. Hurricane (Constant Future収録 )
  5. Changing of the Guard (Stay Afraid収録)

Mona


Catching Time's Fiery Lust

Jul 18, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered and mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


Download









同じナッシュビル出身のKings Of Leonのように、この四人組のMONAは「心に訴える曲を書くには、やっぱりストレートに、正しい心で挑まなければとダメだ」と理解している。変なにおいのする怪しいトラックに乗って広大ですぐに把握出来ないアメリカの田舎道を制覇するよりは、UKで最初に存在感を見せつけ、アメリカだと何年もかかったであろう注目を獲得するに至ったのだ。海外侵略は本国へ帰ったときみんなを唖然とさせるような狡猾な技だ。いや、タイトなジーンズとサングラスをずっと着用している彼らは「変な人たち」と思われるだけかもしれない。当人達は絶対気にしないだろうし、何マイル先のイギリスではそれでキャラが通っているんだけれど。きっと彼らはこう思っただろう。「なんだよこのとんまな奴らは?何でみんな僕らの音楽をわかってくれないんだ?」と。そしてあらゆる種類の不健全な考えが頭をよぎる。本当に長い間、このFollowill兄弟(Kings Of Leonの事)の母国の彼らに対する残酷までな無関心さを嘆くインタビューを読んできた。彼らはグラミー賞で注目されてからやっと大衆に認識されるようになった。MONAのメンバーも同じように長い旅の準備ができている。UKで何かいい機会があったとしても、彼らは何曲か準備してここに来てくれた。

Austinでこのセッションの曲が録音された日、音楽界の話題は今年のSXSWで持ち切りだった。MONAはUKの音楽雑誌CLASHの作家や写真家に引っ張りまわされ、彼らの初めてのSXSWの様子が密着ドキュメントされていた。この記事の焦点はメンバーの決意に当てられた。MONAはこれからの長い旅の覚悟が出来ていて、ハードワークと一丸となって活動することが成功への道だと信じている、といった内容だ。雑誌はMONAについて、楽曲を聴けば彼らの事が分かるし、あらゆる種類のアリーナ級のバンドのレベルに近づいていて、バラードやアンセムの魅力を理解している、と示唆している。これらを頭に入れてうまく活用していると言うことも。リードシンガーのNick Brownは元レスラーみたいな体系をしていて、着ている服を変えたらいつかボノっぽく変身してしまうんじゃないか。彼の歌い方と歌のテーマ、目の輝きと落ち着き、それでもチャンスの瞬間を見逃さない所は、昔の若く貪欲だった頃のU2を思い出させる(Coldplayのクリス・マーティンの要素もあるけれど)。"Trouble On The Way"はピアノナンバーでBrownは目の前で血を流すように熱く激情する。欲望は燃え盛り、酔ってふらふらになった体で昨夜夢中になった女の子に腕を差し伸ばしている。PitballとNe-yoにも同じような曲あったよね。この曲で、たった一晩の出来事だけれど、何か特別なものがあったかもしれないというアイディアを提示している。"Listen To Your Love"は足を踏み鳴らし、ライターを空に掲げ「バルコニーの下で待ち続けている君の思い人に気づいてやれ」というメッセージを送っている。「ほら、君の事を誰よりも大切にするよ」とBrownは歌う。まさに生々しい感情の表れだ。もしこれが真新しいもので無かったらね。
Mona Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome To Daytrotter
  2. Listen To Your Love
  3. Lines In The Sand
  4. Troubles On The Way

2011年7月18日月曜日

The Breezes


High-Fiving A Whale Of A Wave

Jul 17, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


Download






モントリオールのThe Breezesは今いる場所とは違う別の場所へ行きたいと思わせ、しかも急に彼らにそこへ連れて行かれるような感じがする。Lettermanで昨夜キャメロン・ディアズがサーフィンが好きだって事をヒッピーっぽくアホみたいに語っていた。彼女は日中に起きて、セブンイレブンに行き、栄養を摂るために冷凍のブリトーを買うために小銭を漁って、海に向かい一日過ごす。クジラが水の中から現れて彼女を歓迎し、さらって行くのを待っている。他の人もやっているように、彼女もまたサーフィンをスピリチュアルなレベルで楽しんでいる。神に近づく事が出来るかもって事で。彼女は何マイルも離れたハワイの岸で波に乗るのがどんな感じだったかを話していた。波には全ての情報源や経験が詰まっていて、あらゆる生き物と無生物を膨大な水で乗り越し、サーファーは笑ってハイタッチをしながら最終地であるビーチへ辿り着く。まるで4人のカナダ人、The Breezesは僕らとディアズと一緒にこの波に乗っていて、岸に導いてくれているようだ。日没の光が優しく海面が下がった最終地点へ僕らの背中を押している。誰か僕らの写真を撮ってないかな。Hispstamatic※でオシャレに撮った写真は僕らに後でメールしてくれるといいんだけど。僕らはthe Breezesが最初言ってくれたように、違う場所へ辿り着いた。厄介事は後にまわして、今は新鮮なポップミュージックに身体を委ねよう。ゴムボートの上で寝転がりながら、頭上に見える雲がアイスクリームサンデーみたいだなって考えている。そう言えばアイスクリームが食べたくなったな。

※HipstamaticはiPhoneのカメラアプリケーション。付属のフィルターを使って様々なオシャレスナップがとれる。現象に時間がかかるのが特徴。

The Breezes Official Website


試聴・ダウンロード

セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. Promethean Eye(未発表)
  3. Anywhere(未発表)
  4. On Again(未発表)
  5. Warm Wind(未発表)

Holy Shit


For The Bad Days And The Semi-Bad Days

Jul 16, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Shawn Biggs
Translated by Teshi



Download





Matt Fishbackは何かと取り残されている。彼がそんな事を考えたりしないからかもしれない。また、それを気にするのも全く健康的なものではない。しかし、彼のバイオグラフィーの悲しい遍歴との関連性は無視出来ない。今ここに才能にあふれたロスアンジェルスの作曲家がいる。彼はAriel PinkやChristopher Owensと一緒に暮らし、彼らのバンドに参加して驚く程器用なLo-Fiポップソングを作っている。この二人のルームメイトが他のプロジェクトで忙しい時に(Ariel Pink's Haunted GraffitiとかGirlsとかね)彼は家に残って自炊生活を行っているのだ。その間にHoly Shitとして作った楽曲(元々三人のコラボレーション作品とだった)は変わらずにシャープな輝きを放っている。Fishbeckが仕上げたのだけれど...それ以外にする事も無かっただろうし。この疑い深くて身体の細い青年、彼はパフォーマンスの最中にふわふわの前髪を後ろに振り払う。彼は、子供達が悪い連中とつるんで、最終的に孤独な夜を過ごしていないかを恐れる母親の気持ちを曲にしている。そういう恐れは臭い雑草が大量に繁殖している所から来る。そういう恐れは誰か正常じゃない考えを持つ人と遊んでないかバレないように、あまり目立たないようにしている子供達から生まれる。モップを持ったFishbeckは(かなりCass McCombsっぽい風格だ)哲学的な討論を挑んだらマズいような相手だ。結果的に君をかなり落ち込ませるだろうし、君もそうなることはわかっていたはずだ。何週間は憂鬱な気分にさせられ、頭の中には彼の言葉が渦巻き、彼の言っていた事は全部正しいと思い始めるだろう。彼はきっと調子の良い日も悪い日も繰り返しやってくるようなタイプだ(それは僕らも一緒だ)。けれど彼の場合調子の悪い日は本当に最悪で、良い日はギリギリ「良い」と呼べるくらいだろう。全部相関的な問題かもしれない。彼は「この狂気はいつか終わるはずさ」と歌う。生きている事や静かに死んで行く事で何か起こるなんて確かなものはないというのに。まるでそれが起こるまで待つという意志があって、最期がどうなるか見届けようとしているように聞こえる。そして、彼が特定の誰かの事を歌にした時よりもいい気分だと歌い、「みんなの言っている事が怖くなったんだ/でも僕が曲を書いている数日間は/もう世界の終わりじゃないって感じた」これは彼の進歩であり、このおかげでまだ生きていられるのだろう。

試聴・ダウンロード

セットリスト

  1. Unknown
  2. Unknown
  3. Unknown
  4. Unknown

2011年7月17日日曜日

Tera Melos


Tell Em We've Gone

Jul 15, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


Download







僕らが死んだ時、主催者には葬式でちゃんと場にあった曲を選んでもらわなくてはならない。それってタフな仕事だよね。言いたくても言えなかった事はたくさんあった。それは僕らだけの問題じゃない。君も、あの男も彼女も同じだ。まるで僕たちの歴史は内に秘めたわだかまりを吐き出す前に、省略化されて忘れられてしまったみたいだ。僕らの知人一人一人に悪いニュースを伝える電話が鳴るだろう。フラワーアレンジメントの事も話し合わなきゃいけないし、葬式ではみんな泣いたりするだろう。簡単な式典と食事会のために誰かがデビルドエッグやベイクトビーンズ※を作ってこなければならないし。そこには棺桶があって、「死んだあいつらはどんな思い出の品を一緒に埋めてほしいか」と、真剣な話し合いが行われる。結局誰もそれは解明出来ずに、命が切れたただの塊は永遠に箱の中でちょっとかっこいいシャツやビールホルダーと一緒に土に埋められるのだ。家族が幸運を祈って入れたシャツとビールホルダー...。これを聞くとさっさと腐ってしまいたくなる。こんな状況で唯一耐えられるのはカリフォルニアのSacramentoから来たTera Melosの曲で、彼らは僕らが腐っていく時も側にいてくれるようなバンドだ。バンドの最新作"Patagonian Rats”に収録された短い二つの曲、"So Occult"と"Kelley"のマッシュアップはまるでお互いに狂わしい愛で結ばれていて、この世界にもう存在しないような劇的な愛の駆け引きをしているようだ。Nick Reinhartと、Nathan LatonaとJohn Clardyがこう歌う。「今夜僕らは脱皮してみせる/なにかが僕らを夢中にさせたんだ※」これはサイケデリック(ドラッグ)への一差しかもしれないし、主人公に悲劇が降り掛かる前触れかもしれない。彼らは「あとできっと電話するよ」とさらに続けるが、彼らの歌詞には全く焦って電話する感じがないし、多分そんなチャンスも無いだろう。まるで死が彼らを迎え入れようとしているように聞こえるのだ。「作曲もする歌手は自分が正しいと知るのが大嫌い」と歌い、それは僕らが椅子に座って死を考えている時に聞きたくなるような一言だ。多分歌手や作家は自分たちのキャリアを終えるタイミングが正かったと周りから言われることを嫌うっていう意味だと思う。終わりが近づいた時、やっと僕らは色々な問題に直面し、考え事に耽るのだ。

デビルドエッグベイクトビーンズ
※実際の歌詞は"We are jumping out of our skin tonight/Something took my brain for a ride"で、ドラッグの使用を示唆させる内容になってます。

Tera Melos Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. So Occult/ Kelley(Patagonian Rats収録)
  3. Frozen Zoo(Patagonian Rats収録
  4. Melody Nine(Untitled収録)




2011年7月16日土曜日

Hamell On Trial


A Man Full Of Snow, Out Of It

Jul 15, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi



Download






Ed Hamellは多分この日の録音のためにわざわざRock Islandまで来るべきではなかった。危ない道で滑り落ちて、雪の中に閉じ込められて、残りのガソリンを使って車内を暖め警察官の助けを待っている、そんな状況に陥っていたかもしれないのに。この日はクソ寒い冬の日で、そのせいで全てが閉鎖されてしまう(マクドナルドでさえも)ような日だったし、自動車で出かけようなんて絶対考えない方が良かった。誰もが家の中にいる事を期待する、そんな珍しい日だった。会社の仕事、行かなきゃいけない学校、ディナーデートはもう2日間くらい先延ばしだ。全くの自由な日。何の努力もしなくていいし、誰もそれを期待していない。獣のような嵐の中、遠く東からHamellが何時間もかけてHamellが来てくれるとは僕たちは思っていなかったし、恐れていた。でも長い旅だし、もし彼が途中で来れなかったらがっかりしてた。彼が着いた時とても疲れていて、寒さで手は白くなっていた。ミーティングでHamellのHamell On Trialの音楽を聴いている時に、彼がどんな人間かしっかり知る事が出来た。この人はどんな酷い吹雪の中でもやってくるような男だ。他の男が諦めてしまうような天候でもやってくるだろう。彼だったら弾丸のように突き抜けてやってくる。それが使命なのだから。絶対に弱虫なんかではない。彼はこういう危険な状況の中で感じる事が出来る不確かな存在感を得るために生きているような男だ。真っ正面からこんな経験をして、それを乗り越えた時に何か全く違う、爽快な気分になる。彼の、吹雪の中安全運転する感じは、Hamellのどこか雲の中にあるレコードでずっと鳴っているようなアティチュードだ。彼の音楽は、ある男が命の危険に晒されている時に頭の中で暴走する考えを表現しているように聞こえる。まるで走馬灯のように昔の思い出が目の中でフラッシュしていき、何十年も前に忘れてしまった細かいディテールまで映し出す。自分がした全ての事、愛した人たち、愛を返してくれた人たち全員との思い出が蘇り、こんな経験出来てラッキーな人生だったと記憶を再生する。まるで彼の頭は飛行機のようだ。穏やかに決められたルートをとび、突然飛行機のトップの胴体がへし折られ、観客全員の目の前には優しく青い空が広がっている。まるで二酸化炭素と荷物に引き込まれるように、青い空、雲、致命的な寒さと突き上げる風が機内に吹き込む。Hamelleはこのような事を考え歌うのだ。彼の場合、飛行機の胴体は大分前に飛んで行ってしまって、この危険な感覚が気に入ってるから絶対胴体の継ぎ接ぎ修理はしないはずだ。彼は深い穴の中を去って、前に進んだ。彼は、今直面している多くの事を考えるようにしている。上手に、または不器用にやっている事。例えば家族を養うとか、食べて行くとか、ドライブの仕方とか、あの会話をどう切り抜けたとかね。でも最後には全て彼にとって大事な事に鳴るのだ。

Hamelle on Trial Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Happiest Man on Trial
  3. 7 Seas
  4. John Lennon
  5. When I Cry
  6. Inquiring Minds

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...