2011年6月30日木曜日

Bjork "Biophilia"

Björk Reveals Full Scope of <i>Biophilia</i>

Bjork "Biophilia"プロジェクトの詳細が発表!Pitchforkより)

BjorkのBiophiliaプロジェクトが野心的になるとは分かってたけれど、ここまでやるとはおもってなかった。広報によると、Biophililaは「スタジオアルバム、アプリケーション、新しいウェブサイト、手作りの楽器、ライブショー、教育的なワークショップ」からなるプロジェクトのようだ。そしてドキュメンタリー映画も発表されるらしい。

Biophillaは十曲収録され、One Little Indian/Nonesuchから9月26日に発売されると噂されている。前のニュースでBjorkがBiophiliaを「アプリアルバム」として発表することをお報せした。10曲それぞれのiPadアプリが作られ、曲の科学的音楽的テーマを基にしたインタラクティブなゲームになり、曲調にあわせたアニメと、スコア、歌詞、そして学術的なエッセイも含まれるという。

新曲"Crystalline"のビデオが長い間コラボレートしてきたMichel Gondryと製作中だ。こちらがカバーアート。



以前に報告したように、Bjorkは現在Biophiliaライブの最初のショーをイギリスのマンチェスターで行っている。彼女がこのアルバムのツアーを将来行うという示唆だろう。これから3年間で、彼女は8つの都市で6週間ずつ滞在し、観客数2000人以下の小さいベニューでショーをする計画している。このパフォーマンスで彼女は専用のアプリを使って、一週間に二回、Biophiliaをフルで演奏する予定だ。彼女の滞在の間、ベニューは地元の学校と交流して、音楽教育のためのワークショップも開く。

今回のライブのために、Bjorkは新しい楽器をたくさん製作した。広報によると、「そのひとつは四つの10フィート振り子式ハープ。振り子運動が弦を弾いて、曲の重力に関するテーマを描き出す。他にもユニークなシャープシコードと名付けられた10フィートのピンバレルハープ、Midiで操作できるパイプオルガンとセレステ、対になったテスラコイル、ハング演奏者※、賞に輝いた24人の女性合唱隊も。」

Pulse Filmsが現在90分のBiophiliaプロジェクトのドキュメンタリーを撮影していて、映画はBjorkのアルバムのパフォーマンスでクライマックスを迎えると言う。


※セレステ







※テスラコイル






※ハング



以前紹介されたガムラステです。

Keegan Dewitt


Bound To The Thumping Spirit

Jun 29, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered and mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi



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かなり稀に、今やってる事を立ち止まらせて、君という人間の本質を評価する誰かに会う事がある。分かってる、僕らみんな自意識高いよね。でも自分のキャラや、生活に関わる重要なものとか、資産や家の大きさ以上に大事な事を極端に心配するほどではない。多分僕らののキャラがちゃんと自分の事は自分で始末してくれると感じているから、自意識過剰になるのかも。こういったことは自分達で解決する必要があって、その後ズダズダになって唇はひび割れて、目は黒ずんで顔は腫れてしまう。まず、自分達のファッションや、髪の見え方、匂いを気にする。僕らが秘密にしている所にはあまり時間をかけない。まあ、特別な人たち(ラッキーな奴ら)には教えてるけど。何の解決にもならないため息と、聖母マリアへの挨拶を一回。厄介事を終えた後、僕らもラッキーな一人になれる気がする。何も秘密にする必要がなくて、誰かと干渉しなくても他の仲間の中で弱々しい存在になれるし、優しい人間になる事ができる。みんながやってるからって、いろんなものを蓄えておくのが疲れてきた。面倒だし厄介だよ。

Keegan Dewittは男として、作家として、そして新郎として、絶対的な秘密を隠している。彼は自分の周りにいる人たちにも同じ事するんだから。彼の優しい奥さんも同じだから、どっこいどっこいだね。彼は活気のない恋愛はあってはいけないと思い出させてくれる。時々「心」は間違った事するんだと教えてくれる。そして「心」はいつも間違いを認めることも。今月の初めにあった結婚式の写真は数枚しか見てないけど、まるで写真では表現できないような素晴らしい日だったみたいだ。新婚旅行の写真は見てないけど、Dewittは思い出を顔に刻み込んだみたいに、誰にも見せた事が無いとびきりの笑顔で、仲のいい友達と海と砂浜に囲まれた所で一週間に飲めるだけの冷たいお酒を飲んでいたようだ。きっとこの一週間でいろんな願いが叶ったことに感激していただろう。平和で落ち着いていて、彼が歌の中で何年も探していた理想の人物と実際に手に取り合って。

彼は生まれてからずっと「心」を追いかけて、自分に合う理想の人を探していた。彼の曲は闇に覆われて、たくさんの失敗を描き出していたが、回り道がいつも分岐点になる必要はない。彼は"Two Hearts"で失敗の一つを歌っている。「僕らがこんなに離れているなんてしらなかったよ」と二人がベッドで一緒に寝ているところを仄めかしている。そして急に気づくのだ。この二人はお互いの事何も知らないし、もうはやくここから出て行きたいと思っているかもしれない、と。彼はこう続ける。「ずっと寝ていろ/(彼女に)触れたら全てが終わる」と、何も失う必要は無い、「心」が離れていればいい、早ければ早いほどいいと歌っている。「心」は厄介で、自分では何もしてくれない。でも、Dewittはもうこんなポジションにいないし、僕らも繰り返さない方がいいと分かっている。彼は今新しい家で、美しいお嫁さんと一緒にいる。今、彼は新曲の"Thunder Clatter"の状態だ。彼は出会いのチャンスをこう歌う。「何考えてたか教えないよ/ハートが萎む/悲しい二つの火花が太陽の下瞬いている/一分待って/ちゃんと聞かなきゃ/滝の中で隠れていたんだ/愛する人が電話してくれるのを待っていたんだ/どこかで電話の音が聞こえる/君が人生で最愛の人だ/僕の心の奥から聞こえてくる/君が人生で最愛の人だ」これは多分出会いのチャンスではなかったのだ。彼の運命の人だったのだから。

Keegan Dewitt First Daytrotter Session
Keegan Dewitt Second Daytrotter Session
Keegan Dewitt Official Site

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セットリスト
  1. Thunder Clatter(未発表)
  2. Two Hearts(Two Hearts/Reluctance収録)
  3. Wild Hearts feat Madi Diaz (未発表)
  4. Reluctance(Two Hearts/Reluctance収録)

2011年6月29日水曜日

The Pines

Standing, Exposed And Shivering, Forever

Jun 28, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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田舎道を上がって行って、ミネソタまでThe Pinesのアイオワで育ったDavid HuckfeltとBenson Ramseyの住む町へ行く。二つはかなり違う土地だ。ミネポリスは未だに都市の中心だが、毎年同じように冬は来るしその度に見捨てられた気分になる。また皮膚が厚くなる。もう少し時間をかけて、Twin Citiesの北の方向へDuluthとボブ・ディランが育った神聖なスペリオル湖の岸に向けて向かうと、更に違った雰囲気が流れている。もし死んでしまっても何週間も死体が見つけられないような所だ。誰も住んでないと、人を捜すのにも骨が折れる。僕らは今年の春そこに一晩だけ一泊して、まぁそういった所だから、得体の知れない所で迷子になった。地図も、携帯も、GPSも持っていたのに、もうここで死んでしまうかと思った。車は帰りの砂利道でガス切れして、底の知れない場所へ僕らを導いていった。真夜中に無人で、明かりは無し。動物もいなければ人の気配もない。救いは無く、ただのゾクゾクした恐怖がそこにあった。泥んこの道と狂人の町に向かっているかもしれないという感覚。ここでくたびれて、たとえ気温が下がって肉がまずくなっても、オオカミや野犬の餌は喜んで僕らを餌にするだろう。

その日は湖にたどり着く事が出来なかったけど、怪しい野犬はたくさん目にした。まるで悪い奴らと一緒に暮らしを共にして、悪行を手伝って逃げてきたような犬だった。きっとその日の湖は大雨を受け入れて満水でぐちゃぐちゃになってるんじゃないかって感じがした。けれど、土手は溶けて行く雪の塊で持ち上げられていて、まるで(湖は)ストレスを感じているみたいだった。こんな日は外に出ない方がいい。こんな日は家の中で暖かいお茶を飲んで外を見つめているのが良いのだ。こんな日にThe Pinesの曲が書かれるのだ。

こんな日をHuckfeltとRamseyは待ちわびていたのかもしれない−−−自分たちのために。自分たちがどれだけ堅固で複雑な人間なのか確かめる事が出来たかもしれない。全ての景色に何か憧れが隠れている。最初は感動的で広がりがあるイメージを持つが、その後強気で邪悪になって僕らに迫ってくる。まるで僕らみたいな人間をどう対処すればいいか分かっているように。Pinesの曲を聞くとこういった感情が思い浮かんでくる。そこには愛があって、思ってもみなかった所に同情心があって、でも裏にはダークな考えが渦巻いている。彼らは「僕らはあらわになって、夜明けの牧草の中で震えている」と歌い、この一行はどんな物語にも適さないように聞こえるけれど、彼らが歌い続け僕らの存在をついに見つけた時、その台詞が人生のどんな瞬間にもフィットするようになる。

The Pines Official Site

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Pray Tell (Tremolo収録)
  3. Railroad Man (未発表)
  4. Pale White Horse (The Pines収録)
  5. Throw Me in the River (Sparrows in the Bell収録)



2011年6月28日火曜日

Kid Koala

The Little Bear And The Heart-Poundings

Jun 27, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Shawn Biggs
Translated by Teshi


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あのさ、DJセットをわざわざお金を払って見に行くのありえない、とか言う人いるだろ?その意見はもっともだけど、こういった議論はHip Hopのライブを見に行く時も同じじゃないか?あの欲深くて子供っぽい奴らはお金を出す価値があるショーをやる訳じゃないし、ただ自己満足のために行くんだろ?DJに対する不平はただ突っ立って---時々頭振ったり腕を振り上げたりするけど---ほとんどの場合アーティストはステージの後ろでプラットフォームの後ろで演奏しているから、どういう手の動きをしているか実際に見る事が出来ない。ダンスパーティーに参加しているだけだと、DJの素晴らしい手細工や芸達者な所はやっぱり無視されてしまう。彼らは大きい引き蘢りのスペース※にいて、何かいじくり回して、何千もの事を一度に考えて秘蔵のレコードコレクションを漁り回して、こと事細かく操作している。矢じりの先端と底を合わせるように慎重に、「あいつらを食べたい」と虚ろにDJを見つめるドラッグでラリってるような奴らのためにも、インテリで踊らす事が出来て感情を刺激するパフォーマンスをしなければならない。

Kid Koalaとして知られているEric Sanはおそらく世界で一番のDJの一人で、刺激的で洞察力のある音楽を作りパフォーマンスする。彼の手が仕上げれば、それも完全に新しい芸術の一部になるのだ(もし人生をかけて仕上げる事が出来たならね)。もしSanの手の動きを完全に見る事が出来ないと、本当に色々見逃すことになる。本当に人の目を奪う技で、彼が手と目の動きで作り出すダンスは野性的で翔ているようだ。それは汗もかくだろう。膝をどたばた動かすせいだろう。心を興奮させ、彼の演奏を見たり聞いたりした後、君はスタンディングオベーションをあげたくなるはずだ。再び、なんのためらいもなく、彼は不可能を可能にしたり、ありえないことを実現させてみせる。まあ僕らじゃ絶対こんなこと出来ないけど、Sanにとってはそうじゃない。彼の作品はダイナミックで色んな角度から人々に訴えかける。まるでただのダンスパーティーじゃないんだぞ、と言っているように。これは君が聴いて、それから何か考えさせる「音楽」なのだ。リスナーを思考に耽させ、それはそれで正しい。なぜならば、コアラを言及している(多分)世界最大級のレコードコレクションを持った男が楽しく作った作品だからだ。この37歳のカナダ人が昔の視聴者参加型のラジオから聴いた安っぽい話からスポークンワードのレコードまでを紡ぎ出す。彼はBBCっぽく聞こえるレリックを、動物の容姿を説明するスピーチと共に、有名な"Moon River"のREMIXの頭の部分で使っている。「そしてここにはやわらかくて、人懐っこい動物がいます。コアラです。日中は寝てすごし、夜は交尾をします。まるで人間がするみたいに。」これが彼のサインみたいなもので、彼の自己の証明で、言葉で表そうしようとしない。もし僕らがもう一つの人格(エゴ)を本当の人格として指し示すことが出来たら...。

Sanはある意味でBanksyの様に作品を構成し、新たなストリートアートを忘れ去られた考えや芸術を因習を打破するメッセージから作り出す。「私たちは同じ虹を追いかけ、虹の端で待ってるの。私のハックルベリーの友達、月の川と私。」という歌詞がコアラのセックスの雰囲気が醸し出され、オートメーターのDanが部屋の角で携帯メールをチェックしている間、Sanがぐちゃぐちゃになって音をまとめようとしている中で聞こえてくる。まるで、何十年も前からあったレンガの壁がサインをつけられて、前みたいに可愛くなくってしまったようだ。

※ここ、原文はGeekdom(オタクの宮)となっています。

Kid Koala Official Site

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Moon River (未発表)
  3. Shanky Panky(Some of My Friends Are DJs収録)
  4. A Dub Thing (未発表)



2011年6月27日月曜日

Sleeping In The Aviary

Close-Up Of Exploding Lust

Jun 26, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi

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たくさんの鳥と一緒に寝るとどんな効果があるのかはよく分からないけれど、でも羽毛があるところで寝るのはそんなに悪いアイディアじゃないよね。疲れきってたらそんなのもありだって思っちゃう。実際の飼鳥園はミネポリスから来たポップで軽快なバンドSleeping in The Aviary(飼鳥園の中で寝る)が最新作"Great Vacation!"で連れて行ってくれる場所とは相当違う。まるで、Jacques CousteauやNeil ArmstrongやThe Grizzly Manをくっつけたような夢の世界の中へ入って行ける。本心のままに、行きたい所へいけるのだ。Sleeping In The Aviaryが描く世界は星の中で、魚や野生の七面鳥と一緒にいる。新しい情熱が満たされるような場所を表現している。歌詞は賢く、ふわふわしていて、気まぐれで言葉数が多い。僕らの生活には直接語りかけてこないけれど、歪んだ愛の物語を風変わりな状況で組み立てて行く。一曲、宇宙で繰り広げられるラブストーリーがあって、僕らは辿り着く事が出来ない(重力はあるかもしれないけど)。曲の中にいるバカップルは普通の恋愛物語にフィットしようと方法を探していて、まるで勉強や試験に追われてうまくコントロールできない、高校生や大学生のコントロールできない熱い恋愛物語のように聞こえる※。

リードシンガーのElliott Kozelはこう歌う。「火星でキスできるなら、星を観察する必要ないだろ?」きっと相手が唇を開いてくれないんだね。初期のOf Montrealを思い起こさせる別の曲では、海が舞台になったラブストーリーで、多分人魚がリードを歌っている設定だ。驚くほど独創的な方法で心の琴線を見つけ出して、休みなくそこを突っついてくる。愛の感覚に溺れてしまった男が歌う「愛の疲労」の歌だ。"Y.M.C.A.(No Not That One)"が前述の曲である。ストリングスが響いた時、きっとそれが人魚が助けにきてくれる合図なんだと思う。尾びれと酸素マスクの中、Kozelはこう歌う。「CPRを教えてくれ/僕のびしょ濡れの心を乾かしてよ...いちゃついてるタツノオトシゴよりも早く泳いだんだ/海が僕のつま先を舐めた/服も脱げてしまった/彼女の頭が太陽を覆い隠した/唇をすぼめて、下を向いて僕の口から毒を抜き出してくれたんだ。」Sleeping In The Aviaryの曲それぞれにあからさまな感情の爆発とコントロールできない衝動が描かれている。愛を理解し深く考えるだけで十分だ。もし主人公達が実際にそれを手に入れてしまったら---どこかファンタジーの世界で---彼がそれにどうやって対処するか分かったもんじゃないからだ。かなり面倒くさい状況に陥るかもしれないし。たくさんの良心的な男と女を死に追いやった、人を脆弱にする荒々しいセンセーションの性質を理解する最初の経験を、彼らは奏でてくれる。

Sleeping In The Aviary Official Site

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Blacked-Out Fun (Great Vacation!収録)
  3. You Don't Have To Dry (Great Vacation!収録)
  4. Weightlessly In Love (Great Vacation!収録)
  5. The Tallest Tree In The World(未発表)


Listen! Listen!

The Body Knows What It Needs

Jun 25, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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"Deaf Comes To Everyone(難聴はみんなに訪れる)”はBen Godfreyとバンドの最新アルバムに収録されている曲で、最初は彼が間違っている事をいっているように聞こえる。彼はタイトルをそのまま歌うのだが、君はきっと彼が死について歌っているに違いないと思うだろう※。ある意味それは間違っていないが、もっと目の前にある状況や周りの人に依存している人たちが閉塞する様子をテーマにしている。みんな孤独を選ぶ事はあるはずだ。大体は一人になる事を好んだりすることが多い。心配事は少ないし、お金も節約できるし、夜パーティーや飲み会なんかで起きている必要もあまりない。まわりにあるいろんな物事、口、顔、目なんかに対するアンビバレンスがそんな時、一番有効な防衛機能かもしれないが、やはりそれは相応の孤独を伴う。自己の解放や権力を不可能にする解決方法が必要になる。そこには必然性が存在する。まるで、木が雨を予期して根っこを乗り出し、栄養を受け取る準備をするように。雨が来ないと根っこは変に伸びたままだが、これから湿気を含んだものを捉えるためには的確なポーズなのだ。色んな方法で水を得ることができる。必要であれば、姿を変えて不格好にもなる。

泣きっ面に蜂が来るようであれば、たとえ人間でも同じような行動をとることがある。GoldfreyはListen!Listen!でそれを実践しているようである。暗いフォークソングが自分の場所を求める感覚を模索しているのだ。彼は「体は何が必要か分かってる」と歌い、その必要な栄養を探しに出て行く。ある人は走り続けることでそれを手に入れ、またある人は必要以上に摂り過ぎる。どちらにしろ、それが複雑な状況へ君を追いやる事になるかもしれない。彼は臆病な言葉で臆病な人々について歌う。まるでJeff MangumやPhosphorescentのMatthew Houckのように脆弱な歌詞を書くのだ。まあ、この二人が弱々しく聞こえない反面、Godfreyは地獄を見ているように聞こえるのだけれど。Goldreyはくずの中から肉を見つけるように全体の楽曲やアルバムを、困難を切り抜ける天賦の才能ともっと上を求め続ける意志で作りあげた。もっともっと手に入れられるものがあるはずだ。もっと感じる事ができて、与える事が出来るはずだ。そしてそういうものは、本質的に悪いはずが無いのだ。

※本来、Deaf(難聴)ではなく、Death(死)で使われる表現です。発音も似ていますし、それを狙ったんでしょう。

Listen!Listen! Official Site
Listen! Listen! Campband Page

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セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Watchman Tell Me (Part I) (Hymns From Rodesia収録)
  3. Funeral Dirge:Burial Service (Hymns From Rodesia収録)
  4. Shall We Meet Beyond the River? (Hymns From Rodesia収録)
  5. I Will Be Mean (未発表)


2011年6月25日土曜日

AgesandAges

The Fear Of Where We Are And Where It Goes

Jun 24, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi


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僕らはとても暖かい場所にいて、みんな一緒だった。けれど突然今の場所に来てしまって、すべてが一気に冷めてしまった。劇的な変化だった。部屋の気温が肌を痛めつけ、最初の一撃を食らわせてきた。色んな心配を忘れ、僕らは起こった事に嫌々しながら、助けを求めてわんわん泣き出していた。それが僕らが最初にした直感的な行為だった(その時は気づかなかったとしても)。僕らは大きい孤独の中に残され、もう当分は良い事は起こりそうも無いと気づいたのだ。いくらか時間が経ち、僕らは衝動的な答えを出そうとすることをやめた。恥ずかしく泣き続けてもくだらなく感じるだけだ。僕らはコミュニケーションと慰め合いをするため、(泣く以外の)他の手段で、本能的に生きる、安らぎと着実とした権利に、意味深な匂いと意図的な軽蔑をもって取りかかることができた。そうすれば助かるかもしれない。かなり不合理なスタンスだけど、僕らはこうやって成長してきたし、子供時代に培ってきたものだからだ。僕らは今までいろいろ巻き上げられてきたせいだ。その時の感覚は忘れる事ができないし、他のみんなみたいにアイスやパイを食べさせてもらってない。隣の家は芝生が青くて活気づいているけれど、どれだけ頑張っても僕らはそれに近づく事は出来ないのだ。一番汚らしい欠点の一つだよ。僕らはそうして恐れを覚え、何をやっても不吉でどうしようもない運命に課せられている感覚で行動せざるを得なくなった。それは僕らの指先に宿っていて、精神を蝕んでいる。抗う事はできるけれど、殆どそうしない。僕らの体は蝕まれ続けていて、この巣から抜け出す事に何日かかるだろうか。そうなってしまう頃には次に何が起こるか分かっている。再び。

ポートランド、オレゴン、バンドAgesandAges、ポートランドのバンド、オレゴン、ハーモニーがすばらしい彼ら、このような問題に真っ先にとりかかって、リードシンガーのTim Perryがグループの泣き言やいつも危険状態である事の心配事をうまく吐き出していて、まるで時計が僕らが理解をしようとしないように動いている※。AgesandAgesの曲の中に登場するキャラクターにはたくさんの「保護対策」がとられているようだ。まるで、次に起こる転覆に備えているように。Pettyは「要塞の中で生活して、狂気から身を守る」ことをフルデビューアルバム"Alright You Restless"で歌っている。そして僕らの敬虔の度合に関わらず、この時間は身を引き締めるべきだと警告する。もしかしたら、その警告を止める事は誰にも出来ないかもしれないからだ。作品の楽曲はどこか歪んだ所から生まれている。地がしっかりしていなく、空気には混乱の香りが漂い、毎日全てが変わって行くような所。そこに自信はあまり感じられなく、ただ生命を維持しようとする不安定な感覚だけがある。まるでPerryが、彼の書いた登場人物のように、同じ恐れを共有する人々に自分を囲ませ、一人一人がそれぞれの恐怖に対する処方箋を与えてくれるような感じだ。彼に必要なサポートを彼らは与えてくれる。

僕らには言葉も地図帳もある。だいたいどこにいるか分かっているけれど、勘や夢の中で察した事しかわからない。僕らについてきてくれる仲間を途中で見つける事ができるし、新たな声として彼らを加える事で音は誇張され、以前より自信をもった音楽を作り出す事ができる。もしかしたら、壊れる事無くまともな感覚でこの冷たい場所から抜け出す事ができるかもしれない。

※ここの部分の翻訳は、実際こういう感じです。

"Portland, Oregon, band AgesandAges, a band from Portland, Oregon, of magnificent harmonies, delves into these matters headfirst, with lead singer Tim Perry leading the group as it helps him smoke..."

AgesandAges Official Site

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セットリスト
1 Demons (未発表)
2 No Nostalgia (Alright You Restless収録)
3 Souvenir (Alright You Restless収録)
4 Under a Cloud Shaped like A Tomb (Alright You Restless収録)



2011年6月24日金曜日

Madi Diaz

We Know What That Can Mean

Jun 23, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi

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Madi Diazみたいな女の子を話題にする時に、僕らが気づいておかなければならないこと---抵抗を持ってはダメ、持たれてもダメ。君は彼女の魅力にすぐにメロメロになってしまうだろうけど、そう言う時って大体が悪い知らせに繋がるんだ。君が誰と結婚していようが付き合っていようが、彼女は即座に君を新しい魅力で惹き付けるだろう。君が行動を起こそうが、それがたとえ夢だとしても、それは新しい恋なのだ。彼女は自分ではどうする事も出来ないけれど、そのパワーのせいで、状況はどんどん悪くなっていく。魔法のようなSteve NicksやRonnie Spectorが漂わせていたジプシーの甘い雰囲気で彼女が歌い始めたらみんなクラクラだ。君は独り言で「ちくしょう!はっきり物が考えられないし、どうなってるかわからない!僕はもうむちゃくちゃだよ。」と呟く。わかる?Nashvilleの可愛い女の子が書く曲は彼女と同じくらいで魅力的で人をうっとりさせる。もっと彼女に近づきたい、もっと彼女の言葉を耳に残したい、コーラスを優しく僕の髪の中に指で流れさせてほしいって感じるはずだ。どんどん君は魔法にかけられて、夢の世界に迷い込んでしまうはずだ。"Kiss"で彼女はこう歌う。「もう夜も遅いし家まで車で送ってよ/でもこれからどうなるかちょっと様子をみてみましょう/私がほしいのね/どうなるかわかるでしょ?/さあどうなるのかしら/興奮を隠せないわ/もう結婚を考えちゃってる/あなたがほしい/二人分の部屋をとってるの何がしたい?/もう待てない/もう嘘つけないわ/でもなんで焦らすのよ、私待てないの/キスをちょうだい/ちょっと一回だけ/そうよベイビー、そんな感じ」そして君は、もう指輪を買って、ポケットの中に隠しておけば良かった!と思う。そうすればその瞬間に(突然のアイディアのように)差し出す事ができるからね。君は片足を膝に付き、目の前のかわい子ちゃんにそれを差し出す準備ができている。可愛いだけが魅力じゃない。彼女の音楽が君にアプローチしたからだし、それが何の警告も無しに現れる衝動を信じさせてくれたからだ。音楽が君の耳や喉に届いたからだ。君の耳は満足して、頭は彼女の事だらけで何週間も寝ずに起きていられるような気がする。彼女が電話を返してくるのを待つためだけに。

Madi Diaz Official Site

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セットリスト

1 Welcome to Daytrotter
2 Johnny Don't Race (未発表)
3 Kiss (未発表)
4 Let's Go (未発表)




2011年6月23日木曜日

Laura Stevenson and the Cans

The Rounds Of Life, With A Splash Of Frolic

Jun 22, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi

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Laura Stevensonは人生で何回か恐ろしい事に直面したような声をしている。誰かに持ち物を直接ひったくられたような声。深く愛していた誰かが突然消えてしまったか、さらにひどく、彼女から歩き去った所を目撃したような声。彼女は彼らの動いた所や、地面に転ぶ所、何回か肩越しに振り返る所を引き返す事が出来る。彼女はずっと彼らが去って行く所を見ているけど、彼らの決断は変わらない。彼女は普通の人より何回か葬式に参加したことがあるような人の声をしている。思っているよりもたくさん、必要以上に参加している。簡単な葬式は無かった。臨終の顔をみて、生きている事がどれだけ特別か感謝しているようだ。こういうことに参加して、いろんな事に我慢して、こまごました事を片付けることがどれほど大切か感じている。

"Sit Resist"という曲はこんな状況について歌っていているのだが、アルバムがこの題材をテーマにしているのはこの曲だけじゃない。Stevensonは「私が健康な方なのってキツい」と歌い、自分が愛した人々を土葬する難しさを並べていく。この歌で一番衝撃的なのは、変に陽気に聞こえる所だ。まるで日曜日のドライブみたいにウキウキしている。歌の中で死んで行く人たちは病気に苦しんでいるのだが、致命的なものじゃないし、多分そうじゃないんだろう。メンタルや精神的な物が彼らを死に向かわせ、棺桶や死人への賛辞を意味しているわけではない。そこには熱を出した母親がいて、彼女を置いて去ろうとしている父親がいる。そこに不徳を感じる事ができるし、死がシンボルのように描かれていて、そこに、狂っているのは自分だけじゃないという感覚(あるいは認識)があるのだ。どうすることもできないし、たとえ元気な状態であったとしても孤独で痛々しい。良心的で賢い少年が小さい風船で出来たブーケを大きい公園で買って、それが突然風に飛ばされてしまった、そんなシーンとともに演奏されるような曲だ。小さい悲劇だけれど、けっこう面白くて可愛らしい出来事だろう?

Laura Stevenson and the Cans Official Site

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セットリスト
1 The Healthy One (Sit Resist収録)
2 A Shine to It (A Record収録)
3 Caretaker (Sit Resist収録)
4 I See Dark(Sit Resist収録)

Balmorhea

Getting Away From It All, Getting Somewhere

Jun 22, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi

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僕が今までやったことない事があって、いまやってみようか正に迷っているところなんだけど、多分僕らが子供だった時にリビングのハッチの中にあった写真を見つけたからだと思う。どんな家族でも持ってるような、両親が君が生まれる前に撮ったバカンスの写真。お父さんやお母さんが家族を作るため色んな責任に追われる前の旅だ。忙しさで今まで簡単に出来た事が難しくなる。子供たちはどこかに放っておくことはできないから、一年で一週間だけ全てを忘れてリラックスする時間を見つける。結婚式の日にジョークでもらったポルノ写真で出来たパズルの欠片や古い蝋燭と一緒に僕らが引き出しに見つけた写真は、父と母が今までに見たことがないくらいの大きい笑顔で、君が思い出せる以上に若く見えた。今では10万年に一回もやらないような事だけど、いや、この25〜30年以上はこんなことやってないと思う...彼らはとりあえずモーターサイクルで色んな場所に訪れていた。あのモーターサイクルはまだ家にある。けれど、錆び付いててかなり痛んでて座席はそのとき二人分の尻が本当に座れたのか疑問に思うくらいだ。僕が一番記憶に残っているあの一枚は荒くて、母親が前方に、バッファローが後方に映っているもので、Yellowstoneで撮られたものだ。なぜか、お母さんはフェンスを乗り越えようとしていて(お母さんがそんなことすると思う?)、彼らの話によると、シャッター音にバッファローが興奮して、お母さんは怒り狂った獣にやられる前に急いで逃げ出さなければならなかったみたい。多分その後腹から笑い転げたと思う。広い外の世界で恐怖を感じながら。


インストゥルメンタルバンド、Balmorheaは僕らにこんなアメリカの冒険を頭に思い浮かばせる。バッファローに追いかけられたり、トルネードに平原で捕まったり、よくわからない地形を通り抜けたり...でもその旅の中で僕らは今までより大きく笑って、最近感じなかった若さを感じると思う。今はもう簡単に生計を立てる事ができないし、「僕以外のみんなは休息の時間をとってるのに」、なんて色んな心配に悩まされてる。いつでも車に乗って新しいものを見に行けるんだと分かっているけれど、言うの簡単なだけで、実際行動できない。探検すればいいじゃないか。自分たちの事ばかりじゃなくて、何か人生に足りないものを見つけるんだ。それか、次の憂鬱や自己満足を耐えるための何かを見つければいいじゃないか。

このオースティンの六人組は一日の休みの時間や日没を思い起こさせる。その二つは同時に起こって野生の地へ、僕らが言った事の無い場所へ、僕らが知らなかった行かなければならない場所へ向かわせる。そしてそこについたとき、「ああ、なんてラッキーなんだ」って気づく。彼らの音楽はまるで僕らが何かに追いかけられているような感覚を負わせる。それよりも、どこかに向かっているように思わせるのだ。このセッションの曲は軽快で肯定的なアートで、まるで黒いカーテン状のものを通り越したあとに、奥から息を呑む自然の美しい光景が現れるような音を表現している。こういう景色は僕らに旅に出てよかったと思わせる。まるで、ここ以外のどこへも行くべきでは無かったかのように。僕らはたった今ここにいて、それはおかしいけれど力を漲らせる感覚なのだ。その光を吞み込もう。体の中はあたたかく、喜びに満ちあふれている。

Balmorhea Debut Daytrotter Session
Balmorhea Official Site

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セットリスト
1 Welcome to Daytrotter
2 Candor (未発表)
3 Clamor (Live at Sint-Elizabethkerkより)
4 Untitled (未発表)



2011年6月22日水曜日

Bon Iver Interview Part IV


Part IV












PF
:あなたは以前にもソロで作品をだしていますが、プロジェクト毎に名前を変えていますね。For Emmaの成功のプレッシャーで、Bon Iverの名前を辞めて新しい事を始めようと考えたりしましたか?

JV:うん、でもそれと同時に僕はこのレコードをBon Iver, Bon Iverと名付けたんだ。半分はセルフタイトル、もう半分は何か変な物。何故かと言うと、僕はBon Iverは何かを続けていくチャンスだと捉えてるんだ。雰囲気を変えようと多くの人たちがバンド名をかえる。だからDeYarmondは解散しなくてはならなかったんだ。シーンに変化が必要だったから。Bon Iverでは、それをしなくて済む、大きい機会だと思っている。このブランド、ブランドって言葉大嫌いなんだけど、それをオープンにすることができるんだ。自分がどんな人間か恐れずにすむんだ。将来のチャンスを見据えることに恐れなくてもすむ。進化をいつも心地よく思っているから、シーンを変える必要はない。ただ自分自身であればいいんだ。

PF:なにがあなたに最終的にそれを気づかせる手助けをしてくれましたか。

JV:For Emmaの成功で、昔を振る返る事をする必要がなくなった。その以前は、ほとんど諦めていたんだ。Bowerbirdsが演奏しているのを覚えていて、その時僕は「すごいな、僕ダメなんだな。」って思っていた。自分が全然特別な人間じゃないと感じたんだ。だからFor Emmaを作ったのが、椅子に座って、自分のために美しい何かを作る最後のチャンスだった。

あのアルバムの反響が僕に本当の姿を見せることが必要だったんだと自信を与えてくれたよ。あのアルバムが成功のチャンスだと思ったからじゃない。あのアルバムは実際に僕に何か意味を与えてくれて、実際に自分のために作っているような感じがしたからなんだ。もし君が一人で成功しなかったら、自分のありのままの姿を見せるクリエイティブな作品を作る事で生まれる幸福は、君の人生の大きな第一歩になるはずだ。

PF:このアルバムにはあなたの人生を反映したたくさんの具体的なものが登場します。例えば"Holocene"ではBradとPhilCookが住んでいたウィスコンシンの家を言及したり。これらはどのように繋がっているのでしょうか。

JV:一つのアルバムにたくさんのイメージがどうやってフィットするのかは確かじゃないけど、それらは一つの決まった場所から生まれている。"Holocene"はいい例だ。歌詞の二つ目の節はEau Claireで過ごした年月のことだけど、最初の節はそのときにあった暗い時間の奇妙なアマルガメーション(融合)だからね。その節はミルワーキーを舞台にした。暗くてビールが飲まれてる場所だからね。あそこではあまり時間を過ごさなかったけど、暗い時間を比較するいい比喩になる。ハロウィーンのときミルワーキーの大人は何すると思う?あいつらはへろへろに酔っぱらって、子供時代のことを忘れようとするんだ。"Holocene"のビデオ撮影のアイディアを考えていたんだけど、大人の「トリックorトリート」をやるのがいいと思う。子供達が昔の夢を忘れて遊んでいるような感じの。かなりダークだよね。最後の節は二つのクリスマスの前に飛ぶ。吹雪のなかNate(兄弟でマネージャーの一人)と過ごして麻薬を吸っていた。僕が今まで書いていた曲より主観的じゃないけど、コングロマリットな感じでうまくいってる。

PF:あなたが名声を友達のためにうまく利用しているのを見るのはとても刺激的です。あなたとNateが買った新しい農家をスタジオに改築して、自分のためだけではなく、他のバンドたちにも提供しています。

JV:あの家はまるで僕と同じ事をしている友達があつまるサマーキャンプみたいだよ。僕らは子供の時に見た夢を追いかけ続けて、一つの場所に引きこもってレコードを作ってる大人なんだ。これでいいんだ。全然普通じゃないけど。作業している時に、ここでは住めないと気づいた。僕の家じゃないんだし。僕はそれと別にEau Clairの小さいアパートに住んでいるんだけど、僕よりでかいことの一員になることは気にしないよ。

"Irony is based on insecurity; people like to not like things because they don't understand them."


PF:Gayngsはよく不誠実だとレッテルを貼られていますし、このアルバムの最終曲"Beth/Rest"にもHornsbyサウンドを使う事で同じレッテルを貼られるリスクがあるように思います。なぜ人々はなにか不確かで、期待していないものを聞いた時に、皮肉を混めた説明に走るのでしょうか。

JV:簡単に言うと、皮肉は不安から生まれるものだからだよ。だれかが何か皮肉な事をするのは、彼らが人気があるものを罵しりたい時や、何か障害を課せられているからだと思うな。僕は何でほんとは好きじゃないものを作り直そうと時間をかけるのかが理解できないんだ。Gayngsは楽しい空間を掘り下げていて、「楽しい」と「可笑しい」の違いははっきりしているよね。Olsonはしっかりと誠実に、変なAM Radioにハマっていて、それが彼のプロジェクトの発端だったんだ。僕はフォークシンガーやギターを弾く男のシーンにいるけど、彼は人からジョークだと呼ばれるシーンと対処しなくてはならない。もっと大変だよ。Gayngsは皮肉なんかじゃない。僕たちの心にあるものなんだ。みんなは理解できないものを嫌いたがる。

でも、Gayngsがやったのと僕が"Beth/Rest"でやった音楽には大きい違いがある。あの曲のゴールはもっと音を組み立てることだった。あのキーボードの音色はこのアルバム全体で鳴っているけど、"Beth/Rest"では男がアコギで歌っているようにシンプルに奏でた。あれはKorg M1なんだけどね。"Beth/Rest"の歌詞は本当に気に入っている。14歳の純粋な時の歌詞で、超複雑な事は言わないように心がけたんだ。僕に意味がある事を言うようにしている。

PF:"Beth/Rest"、誠実な曲なのですが間違って皮肉だと印を押されたり、「どうでもいい、この曲の音が好きだから」と思われるか心配した事はありますか。

JV:後半の方、でもその事実に誇りに思っている節があって、不安になっている自分を角に追いつめる事ができるよ。でも正直どうでもいい。あの曲が大好きなんだ。あの曲の作業している最中泣いたよ。それが何を意味しているのか、どこからこの感情が生まれるのか、何で音楽のために泣くのかわかる。それは皮肉じゃないんだ。悲しかったり、嬉しいから泣くんだ。そしてあの曲は、僕にとって嬉しいものなんだ。これが僕のキャリアの最大の声明になるとは思っていない。まだまだ学ぶ事も成長する事もあるから。でもこのレコードの最後の曲にしたのはとても気に入っている。いい感じだよ。

その特別で圧倒的な感覚を初めて音楽から得たのは14歳の時Michelle MaloneとJoan BaezがいたIndigo Girlsを見た時で、彼女達はストーンズの“Wild Horses”をカバーしていた。それを聞いた五秒で成長したふうに感じたね。僕の人生で一歩踏み出した瞬間で、僕に音楽を絶対に諦められるはずがないと知ったんだ。宗教や皮肉と全く関係無しに、音楽が僕にひれ伏しているような感じがした。それが僕がやろうとしていたことだった。

【完】

原文→Pitchfork Bon Iver Interview

Part I
Part II
Part III


Bon Iver Interview Part III

Part III















PF
:歌詞が大事だと言う事ですが、このレコードは歌詞や作詞のアイディアが音楽から生まれているように、先ず音を重視しているように感じます。For Emmaはそれと全く反対で、まるで言いたい事が合ったから音楽を付け足したような感じでした。

JV:君が言ってる事は間違いじゃない。もうギターを持って座ってるだけじゃインスピレーションが湧かなくなったんだ。もうなくしてしまった。もっと他の音楽に興味を持つようになって、もともと聞いていた音楽、Bruce HornbyからCharlie Mingusまで全て一つにまとめようって思ったんだ。なんで僕はこういう作品が気に入ったんだろうって模索をしていた。機材の点では、僕は音を一から作り上げたくて、それを曲に取り入れたんだ。例えば、"Perth"のリフはギターでファズを立てて、Neil Youngや僕らがLand Of Talk(Vernonは2008年のSome Are Lakesのアルバムをプロデュースした)でやったような暖かいディストーションの効果を作ろうと思って出来たんだ。楽曲は、音の風景から始まり、歌詞ができて音楽になった。全曲少なくとも一年かかったよ。

多くのアイディアはCollections of Colonies of Bees(Volcano Choirのプロジェクトで)と働いている時に生まれて、作曲を失敗から始めてみて、やりたいことは何でも試してみて、Olson(Vernonが参加したソフトロックバンドGayngsのリーダー)がどうやって編集するのか見ていた。何を完成させるかじゃなくて、どう全てをまとめるかなんだって分かった。Olsonはこう言っていたな。僕も今ではよく使っているんだけど。そう、「リーガル」なんだ※。"おい!リーガルだなそれ!」って感じに。僕がコックロック※のギターでふざけてたら、あいつがそれにディレイをかけて、自分が面白いように配置を換えるんだ。それを「リーガル」って呼んでた。

※Legalは適法な、正当なという意味があります。法律に関する言葉ですが、Legitimateと同じように、「イイね!」という感じに口語的に使っているのかも。
※Cock Rockというのは男性の攻撃性を前に打ち出したロックのこと。The Doors,Rollins Stone, The Whoなど。Led Zeppelinはコックロックの重要な先駆者と呼ばれています。ハードロックとも言われます。

PF:GayngsのRelaytedでもBon Iver, Bon Iverの我慢強く良く練られた音を聞く事が出来ます。

JV:レコーディングの時に僕が尊敬する人たちから学んだ点でいうと、このレコードに関してはOlsonとKanyeには影響を受けたと言えるね。彼らはたくさんのアイディアをうまくまとめようとやる気があって、楽曲にどんどん変なアイディアを加えさせたんだ。最初はうまくいかないようなことだけど、最終的には寄り合わせたりねじ曲げる事で機能させることができるんだ。僕は彼らが演奏するよりも、監督しているところをよくみていた。

僕がKanyeやGayings、Volcano Choirでやった全てのプロジェクトでいろいろ教えてもらったよ。三年間このアルバムの楽曲に作業していたから、続けながら学んでいったんだ。"Calgary"は最初何の知恵もなく書いたけど、完成した時は彼らから学んだ事を取り入れた。あの曲では、キーボードのパートを導入して、何回も何回もペーストしていった。歌詞は一年かけて考えたよ。いまいちな曲だと思っていたんだ。で、(Bon Iverの)Matt McCaughanがスネアドラムのパートを演奏して、それでブリッジのアイディアが浮かんだんだ。そしてギターの部分を加える。ツアーとサイドプロジェクトによって、音をまとめることができたけど、うまく時間をとることができなかった。だから楽曲のスケッチと一緒に路上に座って、感情的にどう変わるか待ったんだ。


"I don't find inspiration by sitting down with a guitar anymore. I lost that."


PF:この四年間でたくさんのプロジェクトに参加していましたが、その中で抜きん出ていたものはありましたか?たとえば「すげぇ、俺がこれやったの?」ってやつは。

JV:Kanye Westのファンだったから、彼と仕事するのはやばかったなあ。GayngsのOlsonと作業したのもやばかった。彼は僕のヒーローだからね。でもSounds of the South(VernonがAlan Lomaxの古いフォークとブルーズの録音を前のバンド,MegafaunのメンバーSharon Van EttenとジャズビッグバンドFight the Big Bullと一緒にカバーしたプロジェクト)が面白い事に僕が今までやった中で一番音楽的にやりがいがあったな。また彼らと演奏できたし−−−僕にとってとても大事な事だった−−−アメリカ音楽に触れる事が出来たしね。

PF:あなたは前のバンドメートMegafaunのBradとPhil CookそしてJoe WesterlundとSongs of the Southで一緒に演奏して、DeYarmond EdisonとしてSXSWで再結成しましたね。もうあなたたちが一緒に演奏しないだろうという時期があったのですが、なぜ解散したのですか?

JV:もう解決したんだよ。僕が経験した中で一番強烈な解散劇だった。あれ以上に深いことを乗り越えるのは経験できないよ。色んな人との10年間の関係を築いたのだから。解決に時間がかかったんだ。Megafaunが"Find Your Mark”を演奏しているとき、泣いてしまったのを覚えている。うぬぼれかもしれないけど、僕の事を歌ってるように感じたんだ。それを聞いて、「最悪だ。誰かを傷つけてしまった。」と思った。僕らは本当に本当に良い友達だったから。でもまだあの曲のことはまだ聞いてないよ。

でも、今はMegafaunが大事なバンドなんだとみんな気づいたんだ。この数日彼らの新しいアルバム(Justinのウィスコンシンのスタジオで録られたLP)をずっと聞いてて、女の子みたいにヒーヒー泣いちゃったんだよ。悪い所が無いんだ。それで、今僕らは一緒だから、新しいバンドかプロジェクトをやろうか考えている。どうなるかははっきりしていないけれど。ちょっと時間をかけて考えてもいいだろう。

PF:あなたのお気に入りのミュージシャンが何人かBon Iver, Bon Iverに参加していますね。ここまで広がった物になると気づいたのはいつですか?

JV:二年くらい前、気に入っている骨格しか出来ていない曲があることに気づいたんだけど、どうやって肉付けしようか考えていた。KanyeとGayngsと働いて僕の頭はかなり柔らかくなっていたから、「ああそうさ、僕がミュージシャンを呼んでみてどうなるか確かめてみよう。」って感じだった。ダブルサックスのEllingtonとか、他のゲストも僕の所に来てくれた。だから(ペダルスチールギターの)Gregと(サックス奏者)Lewisと(サックス奏者)Colinの僕が大好きなサックスプレイヤー二人を呼んでみたんだ。いいだろう?次にこれ以上の機会を得る事が出来るのはいつだと思う?多分絶対にないよ。

PF:このアルバムには自分の限界点を突破しようとあなた自ら背中を押しているような要素が見られます。For Emmaにもゲスト奏者はいましたけれど、確実にもっと孤独感がありました。今回違ったプロセスを試すことはあなたにとってどれほど重要だったのでしょうか。

JV:ぼくがFor Emmaを作り終えて、Blood Bankを発表したとき、次の作品はかなり違った物になると分かっていた。例えば"Perth"は2008年にレコーディングを始めていたんだ。JagjaguwarからFor Emmaが発売される前の事だったんだよ。どんなアルバムを作る事になったとしても、"Perth"は一曲目にするってすでに決めていた。

"Bon Iver is about the opportunity to never have to worry about being something someone expects you to be-- you just have to be who you are."
【続く】

1,2,3/Daytrotter

The Folks Between The Peaks And The Valleys

Jun 21, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered and mastered by Sam Patlove
Transladed by Teshi

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どうも1,2,3のシンガー、Nic Snyderは時々、ギリギリの状態にあるようだ。この若者の中には絶え間ない恐れが沸き上がっている。しかし彼の選ぶ言葉の中に頑丈なぶれない軸を見る事もできる。ゆがんで、ヘリウムを吸ったみたいな風変わりな感じはまさにDylanのそれだ。Josh Sicklesも含めたピッツバーグの二人組が作ったデビューアルバムはエキセントリックだったPet Sounds期のBrian Wilsonの風格を感じる事が出来る。この広大な世界の中で自分がどう振る舞えばいいのか分かってなかった頃の彼を。音楽的にはそれほど類似している所は無いのだが、"I Just Wasn't Made For These Times"や"I Know There's An Answer"と同じ感傷を持った曲がたくさんある。ストーリーの主人公達は絶え間なく真実や曖昧な事に対して気を揉んだり、もてあそんだりしている。彼らは愛を見つけたけれど、時々どうやって愛情が返ってくるのかわからなくなる。彼らは愛から生まれる財産が何なのか確かではない。自分たち自身のこと、それぞれがどうやって普通の生き方で毎日すべてをうまくいかせることができるのか、不確かなのだ。

SnyderとSnickelsは何かが起こる事を待っているように歌う。もやもやした所をはっきりさせたいのだ。彼らは態度がはっきりしない人たちの魔法の言葉や変わりゆく限界の定義を決める事が出来ない。"20,000 Blades"は命題をもった曲で、曲自身が問題をまき散らすのだが、The WalkmenやDeer Tick、The Tallest Man on Earthを聞いている時のような感覚を思い起こす。同時に、世の中には何も気にしない人がたくさんいると言う事も思い出させてくれる。そう、悲しい人も幸せな人もたくさんいるし、谷や山の頂上の周りにもたくさん人がいる。まるでキャンプファイアで歌うような曲で、腕を組み合って、何千人が一緒にコーラスを歌う事が出来て、コミュニティや団結力を感じることができるような、そんな歌。それがたった少しの間だとしても。Snyderは「僕が掘ってしまうまで心に穴はあいてなかった」と歌う。彼が言いたいのは、まず胸を見てみて、もし僕らも同じ事してないかチェックする事だ。この世界で居心地が悪いと感じているときは、自分自身を責めるしかないのかもしれない。

French Kiss Records

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セットリスト
1 Welcome to Daytrotter
2 Scared But Not That Scared
3 Heat Lightening
4 Work
5 200,000 Blades


2011年6月21日火曜日

Edwyn Collins:Daytrotter

The Spirit Everlasting

Jun 20, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered and mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi

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この場所は空っぽでなければならない気がする。何も無いほうがいい。なぜならば全てががこの男によって完全に高々しく叫ばれているからだ。彼の音楽で、彼が僕らを訪問してきた方法で、この六年間彼が耐えてきた事で...僕たちはEdwyn Collinsがどんな音を聞かせてくれるか大体予想はついていた。1990年に大ヒットした巷でいつも流れていた"A Girl Like You"や、Orange Juiceでの偉業をベースにした男なのだろうと考えていた。しかし、それらは彼の一部でしかなく、素晴らしさは他にある。Collinsはずっと復帰しようと考えていたが、2005年にひどい脳溢血に苦しみ、再び会話とコミュニケーションの仕方を学び直さねばならなかった。二年前、彼はロンドンのステージで復活した。素晴らしい凱旋となったのだが、まだ彼は安静を保たねばならず、疲れがすぐに溜まりパフォーマンスの間で自分のペースを保つ必要があった。春、Austinで開かれたSXSWフェスティバルの最中、Collinsは新アルバムの"Losing Sleep"のプロモーションを予定していたが、あまり大々的にやらなかった。彼にBig Orangeへ来てもらうことは本当に光栄な事だったし、これは彼の最高のパフォーマンスだと感じている。彼の音は威厳があり、前以上にパワフルだ。彼が演奏したOrange Juiceからの二曲、新曲とヒット曲はオリジナルの弱々しい部分、要素が全くなかった。五年以上も病気や頓挫に苦しんでいた男とは思えないパフォーマンスだ。かの有名なバリトンボイスは狙い通りに楽曲のムードにマッチしていて、オリジナルでは考えられなかった新しく面白い雰囲気を与えていた。

彼は色々な事を乗り越えてきた男だし、彼のこのようなパフォーマンスを聞いて、目の前が霧がかったような気分になるかもしれない。彼が戦ってきた神経の外傷とダメージは身体に明らかな影響を与え、自分の力で歩こうとし、完全に機能しない脚、腕、手を動かし演奏する姿を見るのは、人を永遠に感激させるだろう。きっと助けたくなったり、サポートしたくなると思うけど、彼にはそれが必要ないのだ。それは彼に不快感を与えるだろう。彼がストリートを一人で歩いている時も誰も助けないし、砂利だらけのスタジオへの入り口へも手を貸さない。妻と息子が後から来た。元気を与え続ける声を持つ、あの頑固で素晴らしく溌溂な男、Collinsがちゃんと自分をコントロールしている事を彼らはちゃんと知っている。最新アルバムからのタイトルトラックで彼はこう歌う。「それが僕を落ち込ませる/寝れなくなった/ずっと待っている/人生が不安だ/仕事も/今では分かる/僕が守ってきたものが/無いと寂しくなる/人生で大事だったものだから」彼は孤高の精神をもち、違ったスケールの人生の問題に早くから対処せざるをえなかった。奇妙な新しい挑戦と報いと共に。彼は新たな生き方に取り組み、今までに無かった彼に力を与える新しい識見、洞察力を大切にしている。ずっと元気に続けてくれますように。これを乗り越えて、まるで障害全てを糧にするように、ずっと曲を書いて歌ってくれますように。永遠に、永遠に。

2011年6月20日月曜日

The Devil's Horns Kill The Matador:Daytrotter

Doused In Gasoline And Satan-ized

Jun 19, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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The Devil's Horns Kill The Matadorはフィラデルフィアの周りのだらだらしたキッズの集団でたとえるなら、可愛らしいDecemberistsみたいな見た目のヒッピー小僧を想像してもらえばいい。ブリーチされたブロンドの髪と笑顔、クールでありのままの子供のような格好。その頭の中のイメージを頭の中に置いておいてくれ。それが変わろうとしているから。油断した隙にしてやられるような、いきなり「ねえお金ちょうだい」と屈んで近寄ってくるような子供だ。そのすぐ直前に彼は子供が怒りと悲観論に冒される敏捷性や君が知っていると思っていた彼らの印象を破壊する。突然、一瞬のうちにその子供の目は突き刺さるような赤い点々に変わり、笑顔は狂人のような、君が街で避けたくなるような、怪しいニヤニヤ笑いに変わる。こいつに関連するものは全て避けたくなる。
すぐに君の背中には虫酸が走り、君の中の直感は根こそぎになる。こいつが何者なのか...前は純粋で明るかったこの子は、何でもする事が出来るのだ。略奪をするかもしれない。言葉や叫び声では表現できないような破壊と悪行を繰り返すかもしれない。こうやってチャーミングから脅迫のキャラクターに一瞬で変身をとげるのがThe Devil's Horns Kill The Matadorだ。まるで僕らがマタドールで彼らがデビルだという理由付けを証明しているかもしれない。もし彼らを見くびったりしたら、一瞬で殺されてしまう。音楽はやわらかくクールに始まるが、突然火のように燃えさかり、まるですべてがガソリンに漬かされ、悪魔と化したようだ。歌詞にはもっと心の動揺や怒りがぶちまけられている。豊満な空気が酸性雨に変わり、素肌を剥がしていくように、言葉で攻め立てるのだ。水滴が体に付き、腕を見ると皮膚と骨を突き抜ける穴が開いている。そこで詐偽と遺棄のテーマが討論される。たくさんの、たくさんの人が傷ついた。それが若者を歪ませた伝染症で、彼らは血なまぐさいボーカルコードとこぶしとで闘い、鉄のような目で睨み付け彼らを取り巻く暴走は何週間も続く。

The Devil's Horns Kill the Matador Official Site

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The Head and the Heart:Daytrotter

Heads Come And Go, But Hearts…

Jun 17, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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僕らはみんなこの二つのモノの関係を知りすぎている。一つは、首の上に引っかかっているモノ。もう一つは神経や配管のなかで鳥のように引っかかって捕われてしまったモノ(頭と心臓のこと)。これは幾度と無く問題にされてきた関係だ。この連結性は疑わしい。二つの間には未来像がないし、行き先ははっきりしていなく、曲がり角や、メッセージが意図したように伝わらない強情な誘惑に満ちている。このような心からの声は道中で火に焼かれ、天上の賢者は火が他の場所に引火する前に巨大なポンプ車に間に合わなかったりする。それは巧妙な関係で、何の変更も無しに、警告の記録とアドバイスを編集している。僕らはここでその問題を解決しなければ行けない。恥ずかしい失敗やささいな弱点についてはどうすることもできないけれど。いま出来る事は、ため息をついて、だれか、あるいは何かが答えを教えてくれるってことを忘れてしまうことだ。放っておくか、あるべき場所にそっとしておくのが一番なのだ。このシンフォニーに耽り、神聖な場所へ頭と心臓を鼓動させればいい。

SeattleのバンドThe Head and the Heartは色々な状況で様々な感情を持つ時の意味の誤解、その憎めない困惑を生き甲斐としている。彼らは会話の中に寂しさを含めず、「理解すること」は過大評価だというサインを彼らの目の中に流れる黄金の一筋の光の中から見つけ出している。彼らの音楽には馴染みの場所があり、おかげで彼らはある意味癒されている。また彼らが愛する、君を数えられないほど打倒するすごい歴史を持つ人々も登場し、それはリフレインを多いに楽しむ事ができる曲だ。その痛みを僕らは口ずさみ、違う記憶に思いを馳せる。"Coeur d'Alene"という曲で、歌い手のJosiah Johnson, Jonathan RusselとCharity Rose Thielenはこう歌う。「ああ、みんなが愛する人たちのためにする事と言ったら...」そして僕らはそれが何の答えになっていないとしても、これをあらゆる意味の答えとして受け止める。「つまりわかってるだろ」と特に文脈や具体性が無くても、彼らはそうやって簡単に言えばいいのかもしれない。そう、僕らはそれがなにか知っているし、言葉にしたら複雑で長いリストになるんだろう。みんな自分のハートのしもべであろうとするし、誰か特別な人のためのハートであろうとする。

頭が来て去って行った。僕らは彼らの事をほとんど気にしない。僕らは彼らを冷たくあしらう。このバンドはハートが反応したり、他のハートと密接な関係を感じたり独占欲を感じ始める時の僕らが感じる恐れを操ることができる。僕らは熊や子鹿になることができる(選べないかもしれないが)。「パパ、僕の手に銃を渡さないで/あの人達みたいになりたくない/僕は逃げて行かないよ/君が初めて言った事を聞いているだけなんだ/初めて聞くハレルヤみたいだ」彼らの歌と詞はやかましい音から生まれ、まるで彼らを幽霊のように仕立てている。僕らはどうすることもできず、どう接すればいいのかわからない。分かっている事は彼らはここにいて、怒らせないように気をつける事だ。放っておくのがいい。息をさせてあげよう。

The Head and the Heart Official site
Sub Pop Records

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The Books:Daytrotter

An Overarching Paradigm Of Clarity

Jun 17, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi


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The Lemon Of Pink(ピンクのレモン)はThe Booksが僕に新しくもたらしたフレーズで、実際に彼らの輝きに満ちた作品を聞かないと意味を成さない。Paul De JongとNich Zammutoが完成させた楽曲は音楽のピースの塊というか、様々な天気の塊であったり、少し荒れた海の航海であったり、自信に満ち、意味深なペイントで厚く覆われた画架のようだ。これらの楽曲は細部にわたって「一日」や「一年」をフルに描写しており、ガードが薄れもう何も恐れる事がないと確信した時、ギラギラの太陽や、どこからともなく現れた人生の転機や勢いのある討論を思わせる。The Lemon of Pinkはまるで柔らかくて純真な心が酸敗していく様子を、その逃れる事の出来ない光景を僕らに目撃させるようだ。それを受け入れられるか抗うか。大半は立ち向かうだろう。ある人は少しの間だけ、またある人は人生の残りを闘いに費やす。

The Booksは嵐の中から生まれた知恵を僕らにもたらしてくれた。周りは脆い裂け目と準備と夢から生まれた横枝に囲まれている。"Smells Like Content"の最後で使われたのはソースの分からないオーディオクリップで、演劇の独白か脇台詞で、若い男がこう言う。「期待するから失望するのだ。もし君が巨大で興奮するようなことを期待したりしたら...」そして、悲しみや疲労を感じさせる彼の疲れきった声は消えて行く。これはThe Booksを聞いていて一番最初に感じる感覚だ。そこには句読点を打つ的確な場所や美しい組み合わせはいくらでもあるが、それでも様々な状況が最終的にリードできる方法はとても少ない。彼らの音楽には、先が見えない非道な決断で何かを克服する感覚や、顕現を迎えているのか、かなり疲れて酔っぱらっているだけなのか分からない恐ろしい曖昧さがある※。僕らはいまそんな場所にいる。しかし、普通はその外、あるいは周りにいて古いアイディアを紡ぐ事しか出来ない。大分昔に考えたアイディアだ。ぼろぼろで、べとべとで、黄色く変色していて、あまり息が続かないけれど、新芽や夜のように優しいのだ。

The Books Official Site

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※顕現(エピファニー)というのは神が現れる瞬間の事を表します。



2011年6月17日金曜日

Hundred Visions:Daytrotter

Congregation Of The Bloodsuckers And Beasts Of Prey

Jun 16, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi

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ケルベロスが一匹か二匹ふらふらHundred Visionsの曲間を行ったり来たりしている。冥界の王ハデスの番犬があちらこちらに、毛玉のようにくるまって大きい椅子の足下で唸ったりして王を護っている。やつらはBen Maddox(バンドのフロントマン)の歌の周辺をぶらつき回る補食者ではないかもしれない、だが彼らは仲間の臭いを嗅ぎ付け、悪さをしようとする。血を吸う獣と、影の中で逃げ回る餌食がいて、匂いを目印に、お腹をすかせてゆっくりと捕獲できる最高のタイミングを待って、喰う。破壊の進路が長く大きく成長してゆき、良質のメロディーとグルーブが効いたヘヴィーな楽曲の輪郭に巻き付いて行く。彼らの曲はすぐにTalking Heads, The Cure,Radioheadやクラシックなブリティッシュポップを思い出させる。Maddoxは素晴らしいフロントマンで、自分の声を曲のピークや強弱に合わせて輝かすことが出来る。ぐにゃぐにゃな彗星と現実とかけ離れることのない崇高なサイケデリアを作り出している。成層圏に飛び出すのだが、地球表層の水の中へは決して着陸せず、歓迎されない場所、自分たちがなにをやろうとしているか分からなくなるような場所へたどり着くのだ。

彼らのデビュー作7インチ盤の楽曲は、A-Side収録"Last Cab From Tunis"から始まる。すばらしい曲で、まるでケルベロス像を生き返らせ、尻尾を追いかけ回し、舌や手足を振り回させるような、冒険心や狩りの衝動に満ちた作品だ。"Vampire"は両方から追いやられるような歌で、the Doorsが一番ラリっている時に書いたような曲だが、かなりエッジがあり攻撃的だ。ここでモンスターがやってきて、Maddoxはこう歌う。「ヴァンパイア、落ち着けよ/ヴァンパイア、落ち着けよ/落ち着け/僕の血が駄目なら/興奮してみせるよ/どうかおしえてくれ/君が吸い終わったら」多分モンスターは恋人で、もう分かれようとしている人なんだろう。音楽が後ろで反対の方向へ疾走しているにもかかわらず、そこには女の服従がある。彼女は刺々しく僕らを攻め、僕らを最初の擁護テントに逃げ込ませる。僕らの首元をプロが看てくれる。だが、彼らはそこに残された傷を見た事が無い。それでも彼らは最善を尽くそうとするが僕たちの体はどんどん蝕まれて行き、ヴァンパイアがまた帰ってくる事に備え鼓動が高まる。またあいつが嵐のように帰ってくる。
Hundred Visions Official Website

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2011年6月16日木曜日

Sallie Ford and The Sound Outside:Daytrotter

The Certain Sweet That The Urges Want

Jun 15, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered and mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi

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Sallie Fordは彼女がしようと思ったら誰でもだます事が出来る。彼女は僕らを思い通りにできるのだ。(多分どっちにしろ彼女は僕らを思い通りにしたいだろう、きっと。絶対そうする、あの生意気な子は。)もしその手を使うんだったら、僕らを犬みたいに自分の尻尾を追いかけ回させて、複雑に絡まらせてしまうだろう。FordはPortlandを通ったところ、ノースカロライナ州にあるAshvilleにある家に子供の頃から住み、ずるがしこくて、どこか魅惑的でアグレッシブで前向きな女の子だ。彼女は君が知り合いじゃなくてもいきなりバックポケットに手を突っ込んでくるような子だ。家の裏で君にキスをして、目で誘惑し、その後色々しようとする子だ。彼女はそう言う事を全部やってしまうが、会って話したりしてもそんな印象は与えない。予測できない、可愛くて、眼鏡をかけている読書家タイプで将来獣医か科学者になるだろうとみんな思うような子だ。犬や馬が好きそうで、全然いやらしい事やいきなり飛びかかってくるような子じゃない。彼女初のフルアルバム"Dirty Radio"は欲しい物を手に入れようと躍起になっているおどけた女性が描かれた強烈な作品だ。歌詞に書かれたキャラクターはこそこそしたりしない。自ら感情を表現しに行く。彼女のキャラクター達は退屈で内気な少年を引っ張り出して、数秒でシャツは皺だらけになり、息は熱く、唇はキスで歪み、一緒にぐちゃぐちゃになりながら部屋の中へ滑り込む。

彼女は"Against The Law"でこう歌う。「あなたをケーキの1ピースみたいに食べちゃうわ/それが大きな失敗だとしてもね/ベイビー、私といてよ/わらの中であなたを食べちゃうわ/それが法に反しているとしても/ベイビー、私と一緒になって/あいつらが何を見たかしらないけど、法律に反したことじゃないわ」とてもいやらしく聞こえるだろ。絶対に法律に反した事をしているように聞こえる。この歌詞のメッセージを推測しただけで、彼女を監獄に入れてしまえる。柔らかい沼のようなジャズナンバーで、闇の中でいちゃつく熱いセックスの悪臭がただよっている。彼女の引き出しは多いが、Fordは1960年代のSam Cookeがやっていたようなソックホップスタイルのオールドタイムな感じと山のようなソウルフルな感じを足した音楽性に徹している。歌のテーマは危険な男たちと危険な女たちについてだが、みんなが好きになる夏の虫が出す紫色の光のようなやわらかい風に聞こえる。決して、僕らが熱情の中彼らをひっつけようと考えたり避けようとするようには聞こえない。これは絶対起こる事のない危険な衝動との闘いなのだ。Fordの楽曲はこのような衝動に屈服した証で、自分ではない誰かになり、短い時間だけれども違う性格や顔で、クモの大群のように抑圧を解き放っている。

The Black Lips:Daytrotter

Running On Poisons And Fumes

Jun 8, 2011

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Matt Oliver
Mastered by Sam Patlove
Translated by Teshi

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Black Lipsの最新作"Arabia Mountain"のカバーには巧く配置された二つの乳首と骸骨が載っている。なんでそれがそこにあるのか、いろいろ考えてみて。ほんとうにうまく配置されているんだ。きっと彼らは「このあいだ買った偽物の骸骨を使ってみようぜ。何個か乳首使ってみてもいいな」とかそういうアイディアを思いついただけだろう。アトランタ出身のThe Black Lipsが愛されるわけは、彼らは絶対僕らを退屈にさせないし、代わりに終わる事の無い過激な酒宴と悪行をしようと色々方法を掘り出してくるのだ。誰かが気絶したり、歯が折れない限り終わる事の無いそんなパーティーをね。いや、誰かが誰かとくっついて、朝後悔しちゃったり、バーが閉まっちゃったり、警察が来たり、そんな風にして終わるのかもしれない。どちらにしろ、この四人組のバンドは悪意に満ちた状況に足を踏み入れる方法を知っているようだ。誰かの人格を形成して、そこから詩が生まれるようなそんな状況。彼らは溝に入り、延長された時間内で、音、匂い、同じ溝に住む人々、そして味を取り入れ、自分たちが簡単に物事に夢中になることを知る。彼らがあざけり、毒や煙にまみれた死体が出てくるような夜に引き込まれている。一体どうやってここに生きて帰る事ができたのだろう?と不思議に思っているだろう。そして頭はもう次の冒険の事を考えている。前起きた事にはもう動じずに、次の旅へくりだすのだ。次は、3つか4つ乳首が必要だろう。骸骨も同じ数ね。

The Black Lips Official Website
前のライブセッション

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2011年6月14日火曜日

Bon Iver Interview Part II
















Pitchfork(以後PF)
For Emma, Forever Agoや、Bon Iverの活動の前に、あなたは様々な名前でいろんなプロジェクトをしてきました。この新しい装いは多分違った物になると分かったのはいつですか?

Justin Vernon(以後JV):ある午後にChristy(Justinの前の彼女でアルバムにも参加した)のところで"Flume"を書いた時、すぐに気違いな感じがしたんだ。今までこんな曲書いた事無かったから。あの新しいファルセットを練習してたんだけど、ぜんぜんうまくいかなかった。本当にぐちゃぐちゃな感じがしたんだ。あの春はたくさんの曲を作ったけど、"Flume"を書くまでは全然まとまらなかったんだ。

PF:Christyが以前僕に、あなたが"Skinny Love"を初めて彼女に歌った時、自分の事についての歌だと気づいたと教えてくれました。Christyや、特にあなたの元カノのSara Emma Jensenについて公共の場で話すのに時間がかかりましたね。なにがあなたに彼女達について話そうと思わせたんですか?

JV
:話すことは怖くない、けどさどうやってそれが真実だと保障できる?"Skinny Love"がChristyについての曲だって言うのは全部が真実じゃないかもしれない。僕らは付き合っていて、彼女がすごく大切な人だったから長い間一緒に暮らした。でも、あれは僕が経験したリレーションシップの瞬間についての曲なんだ。君はだれかと付き合うのは助けが必要だからだ。でもそれが理由で誰かと付き合う必要なんてない。それがSkinny(軽薄、薄っぺらい)ってことなんだ。その愛には重みが無い。薄っぺらい愛(Skinny Love)には中身がないからチャンスがないのさ。

PF:物語は事実から始まりますが、時間をかけると事実が曲げられた伝説になりえます。例えばあなたが"Jimmy Fallon"に登場した時に、彼はあなたの父親の別荘がBon Iverという名前なのか聞きましたね。あなたがFor Emma, Forever Agoの製作の真実を無視して、"Fuck it(どうでもいい)"と言わなければならない時がありましたか?

JV:うん。僕は真実の理解を心配するのが自分に撮ってに重要じゃないと気づき始めた。まるで高校時代の巨大な比喩みたいな感じだよね。みんなが決まった事を思ったり言ったりする、それで色んな噂が電話なんかで変に大きく伝わって、突然誰かが最低な奴とか人種差別だとか呼ばれる。僕が知りたいのは、僕がどんな風に理解されようと、僕は僕として生きて行けるかなんだ。でも話が間違って伝わるのは面白く思ってるよ。たとえインディーロックの世界でも、企業の鬱陶しさからの独立と真実を掲げている世界であるべきなんだけど、セレブのやっかいな扱いを受けるんだ。

PF:作家のDavid Sedarisが彼の友達や家族に彼らの事についていずれ題材にすると、伝えなくてはならないと書いています。それがどれだけ不愉快に感じられても。あなたがBon Iverで書いた曲を考えると、曲が何らかの理由で有名になる前に、先に友達に謝っておかなければと考えることはありますか?

JV:それは考えた事無かったけど、Emmaではみんないつも「アルバムが売れてから、曲に登場するキャラクター達について考えた直したことはある?」って聞く。その度に僕はこのアルバムは何よりも僕の事が描かれているんだって言わなくてはならない。Emmaは一人の人間ではなくて、場所であって時間なんだ。現実はね、もし君に自分が誠実になれる友達がいるとする、そしてその誠実さが真実を引き寄せる最大の磁石になるんだ。曲に登場する実際の人たちと会話をすると、不愉快だったり気まずいかもしれないけど、僕らはお祭りの愛らしい場所にいるような気がするんだ。特にこの新しいアルバムでは、彼らについて「ヤッホー!」っていう感覚しか浮かばないな。





"For Emmaを作った時、僕が、座って、自分のために何か美しい物が出来るのかを知る最後のチャンスだった"

PF:新しいアルバムの歌詞はテーマに巻き付くように印象的ですが、また生のディテールを地に着けるように加えています。作詞家として、その作詞方法の魅力的な点はなんですか?

JV:Richard Bucknerの感じ、それが僕に一番影響を与えている。彼の言葉は音だけで殆ど意味を持たない、けれど僕にはそこにすばらしい意味があるのが分かる。彼の"Loaded at the Wrong Door"は、とても心を打つ美しくてヘヴィーな歌詞があるんだけど、実際に何の事なのか説明できないんだ。それでも彼の言葉に強烈で個人的なつながりを感じるのは、言葉がしっかりと流れ出ているからだ。

Bob Dylanはいい歌詞を書いたけど、彼が最重要な作曲家の一人と言われるのには評価されていない理由があって、彼の声が言葉とうまくマッチしているからなんだ。彼は言葉をラップする。Neil Young/Bob Dylan/Indigo Girls/John Prineなどの主観的な作曲家の中で成長してきて、僕には彼らの力がないし、真似出来ないし、まだまだ探求しきれてないんだってやっと気づいた。

"Flume"で無意識に理解したことが、僕にもっと意味を与えてくれた。僕らがライブで演奏する時、"Flume"にはまだ一番夢中になるね。あの曲のイメージはもっと神秘的で、それでも僕には視覚的に見えるんだ。この新しいアルバムでは、かっこ良く聞こえる言葉と奇妙な感情があるような、普通じゃない風景を構築しようと試みた。今回は歌詞にすごくこだわったんだ。言葉を大切にしないと無茶苦茶になるからね。ただ「うまく聞こえたら、それでいい」なんで簡単に言ってられないよ。本当に深く追求したかった。一ページに書けなくなるまで書いて、見映えが良いか確認した。読むって意味でね。

PF:アルバムがリークした時に、その意味が分かりました。あなたは気にせずに、ネット上に歌詞を載せましたよね。そうすることで作品の意図を理解してもらうようにに。

JV:そうそう、リークしちゃったんだよね。もう外に出てるんだ。僕も音楽を盗んだ事あるし、やった事が無い人いるのかな。でも、もしそれをするなら、ちゃんと本当の歌詞を読む機会を持ってほしいんだ。オンラインに間違った歌詞が載ってるのが僕大嫌いだから。どういう風に解釈してもらっても構わないけど。少なくとも本物の歌詞でやってほしい。ちゃんと意味があるものなんだから。

PF:あなたは以前作詞家としてかなり慎重でしたが、今では自信を得たように見えます。このアルバムの歌詞製作で一番誇りに思っていることは?

JV:"Calgary"は個人的に本当に成長を感じさせてくれた。型があって、繰り返しのアイディアがあって、良い韻律がある。最初のラインがとても気に入っているんだ。「僕を可愛がって眠りにつかせないでくれ」ここには恋愛の全てが含まれている。誰かを愛する事ができるけど、彼らが絶対的な愛を止めた時、本来の姿を無くしてしまう。危ない事だよね。

PF:誰かとの付き合いに慣れると、あなたはどういう風に自分を保ちますか?

JV:どれだけ誰かを大切にしようと、夜一人になった時にその人がいなくても、自分自身に満足できないといけない。それに気づく事が大事なんだ。君が孤独でエモな男の子だと難しいよね。でも出来るよ。誰もが幸せを持っていないと。もしそれがないなら、誰かと付き合う事なんて出来ないよ。お互いを松葉杖で支え合う事になる。でも、僕は思いっきり間違ってるかもしれないな。【続】

原文→Bon Iver Pitchfork Interview

Part I
Part III
Part IV



Bon Iver Interview Part I  Preface











Bon Iver


by Grayson Currin, posted June 13, 2011

初めてJustin Vernonに紹介された時、それは過去四年間にBon Iverを見た事がある人が感じる景色とある意味で似ていた。彼は何かオーディエンスの前で歌っていて−−−たぶん愛についてだろう−−−彼らは熱心に耳を傾けていた。

しかし2005年の後半、客は少なかったし、アートギャラリーでライブをしていた。現在のBon IverのフロントマンはDeYarmond Edisonとして活動していた。この四人組は数ヶ月前にウィスコンシン州のEau Clairからノースキャロライナ集のRaleighに活動の場を移動していた。DeYarmondはチャンスを掴もうとした古めかしいフォークロックのバンドだった。私は彼らの歌が好きだったが、特に音が良かった。Vernonの豊かなギターの響きと深い味わいの声がPhil Cookのセンスの良いキーボードの音色と合っていて、いまだに何か明確なメッセージを探求している大御所のバンドのように聞こえた。

Raleighでバンドとして活動する間、彼らは一番型にはまらない曲("Epoch")を書き、同じアートギャラリーで四回のショーを計画する事で音楽の可能性を広げた。私はここで初めて彼らを見た。このライブで彼らはSteve Reich(アメリカのミニマルミュージック家)風の曲と、Naked City(アヴァンギャルドジャズ)のような過激なアクセント、そして一番特筆されるあのファルセットで実験してみせた。その歌唱法が二年後、VernonをBon Iverとして有名にした。

これらのショーは今まで私が見てきたの中で記憶に残る音楽経験になったが、ライブを成功させたミュージシャンとしては、彼らはDeYarmond Edison内部での対立をかなり明確にしていた。VernonはHazeltonと言う良作だが痛々しいEPを完成させたばかりだったし、他のメンバーはさらに奇妙な領域に向かおうとしていた。あの夏でバンドは芸術的なブレークポイントに達した。数ヶ月後、ベーシストのBradley Cook(彼とは私が以前働いていたレコードストアで仕事を得た時に友達になった。)はVernon(その時彼は単核球症と肝臓の病気を患っていた)がまた違う事をしようとしていると気づいた。そしてこう思った。彼はこのバンドにピリオドを打つだろうと。

Vernonは2006年の夏にウィスコンシンに戻った。その前日の夜、彼はFairall Driveで小さいパーティーを開催した。それは彼がChristy Smith(彼のRaleighでの彼女。Emma, Forever Agoに登場する女性の一人でアルバムに参加もした)と住んだ、窓が壊れている小さい重層アパートだ。そこで彼はアルバム収録の良曲を多く書いた。「パーティー」っていうのは間違った言い方だった。どちらかというとBBQの集まりのようで、送迎というよりは断定的なものだった。Vernonは一度もRaleighを愛した事は無く、周辺の環境と状況の苦しみから今逃げ出そうとしていた。DeYamond Edisonは終わったし、Smithとの関係も終わった。一番の友達はMegafaunというバンドを組もうとしていて、彼には故郷に帰った後の計画がほとんど無いように思われた。でも何かしなければならないと分かっていた。

けれどもあの集まりは確かな安心を与えていた。その午後、the RosebudsのIvan HowardがJustinにバンドの三枚目のアルバム、Night of the Furiesを作らないかと提案した。そのレコードはJustinに目的を与え、製作が終わる頃にはウィスコンシンの父親の別荘で何をするかアイディアがまとまっていた。それがもちろん、Emma, Forever Agoを完成させる事であり、この作品によりEverett Sreetの汚い寝室で寝ていた男をスターにまで引き上げた。そして、Bon Iverはこの四年間、徐々にたくさんの熱狂的なファンの前で演奏し,
Vernonはコラボレーションの芸術的な力となった。Kanye West、Collections of Colonies of Bees、Kathleen EdwardsやNicki Minajとのリンクを繋いだのだ。

私が初めてVernonの新作Bon Iver, Bon Iverを聞いた時、すぐに彼の成長に言葉を失った。新しい楽曲の広がりと複雑な作りは今までの作品に競う事ができない。そして彼の声を聞いて安心した事にも驚いた。【他のプレスや販売業者はアルバムのタイトルをBon Iverとしているが、Vernon自身がタイトルはBon Iver, Bon Iverだと指摘している】
彼がFor Emmaを作るために逃亡したときに、彼は悲しい男だった。しかしBon Iver, Bon Iverは彼が音楽界の勇敢なアーティストの一人である事を証明し、2005年の頃には想像できなかったくらい広大なビジョンをもった作曲家であることを知らしめている。昔は誰も来ないようなアートギャラリーの角でコンサートを開いていたというのに。

私は先月サンディエゴのプールサイドにいたJustinと電話で会話した。サンディエゴで彼の父親がNational Academy of Arbitratorsの会議の司会をしているらしい。【続】

原文→Bon Iver Interview, Pitchfork

Part II




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