2011年11月29日火曜日

The Duke Spirit


The Topplings Won't Be Televised

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi
































きっとごちゃごちゃになる。そしてこれはThe Duke SpiritのリードシンガーのLiela Mossが見たかった光景とは本当に違うものだろう。でも君はこう思う。壮大な崩壊を目撃するのも彼女にとってなかなか楽しいこと何じゃないかって。彼女はきっと予期された崩壊を見て喜びを感じるのだろう。何か大きくて、でもあまり利用されていないような古いボロボロのビルの倒壊。彼女は危険地帯ギリギリの所まで近づいて、自前の折りたたみチェアと飲料を持ち込む。多分爆発の音を防ぐための耳栓も持ってきている。そして子供がサーカスに目を奪われるようにじっとビルが崩れていくのを見る。方策に従った爆発のスイッチが引かれ、かつては何にも屈することが無かった建物を、慎重に薙ぎ倒して行く。彼女はそこに座るか立つかして、手は汗ばんで、ビルがただの塵と屑に朽ち果てるのを待っている。

彼女は全てが縮小し、塵が少し落ち着いたときに歓声をあげる。立ち上がり、ついにマイクに手をとる。そしてDuke Spiritの曲をその時歌い始めるのだ。ギタリストのLuke FordとToby Butler、ドラマーのOliver BettsとベーシストMarc Sallisは彼女の興奮した状態を維持するために何をすればいいかしっかり分かっている。その高揚感とパワーは、建物が人間の力とTNT爆弾には、絶対に適うことができないと目撃したことで蓄えられたものだ。Mossは夜の雄たけびとバンパーがぶつかるうなり声に歓声をあげているようだ。間違った印象を与えないように言っておくけど、Duke Spiritは暴力的なバンドではないよ。でもそこには心の苦痛に対するダークな性癖があって、こういう問題は人をどこか味気の無いヘッドスペースに連れて行く。一度そこに入ったら中々出てこられない。Mossが夢見る衝突と堕落のほとんどは、人間の揺ぎ無い信仰から生まれるようなもの。そう、僕らがじっとして、人々が堕落していくのを見つめている感じ。建物の壁や角が爆発したらそこから何が出てくるんだろう。そして中身が彼らの足に落ちてきたら?上でよく仕事したつもりだったけど地上に戻ってきた。

Mossは歌う

「わたし、あなたとの愛は終わりに向かってるの?」

そしてそれは恐ろしい考えなどではない。ただ興味があるだけだ。彼女はこの発言によってどうなるか知りたくて仕方が無い。でもバックにはムーディーな音を鳴らすバンドがいる。彼女の後ろにいる観客達。彼女の足跡を追って、後ろからついて来る。

The Duke Spirit Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. This Ship Was Built To Last
  3. Dog Roses
  4. The Step and the Walk
  5. Lassoo



2011年11月28日月曜日

Crooked Fingers


The Burns Over Time, Never Over

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Matt Oliver, Mastered by Sam Patlove, Translated by Teshi

































毎日の生活と、それぞれの一日の長さは常に人間の意志や気力よりも強力なものだ。時に僕らにとって上手く作用してくれるように願っているもの--時間の長さ、あるいは不可能なまでに延々と巻きつけられていくように感じる時の流れ--が僕らの手中に納まる代わりに、ただ僕らに反抗する。時が流れを調整し、落ち着かせるのを待っている。渦中の騒動に介入して、そのゴタゴタを落ち着かせてくれるのを待っている。充分な時間が経てば痛みや疼きを落ち着かせてくれると教えてもらった。修復と癒しが可能で、我慢強くその時を待っている人々に近い将来訪れる...らしいが、その根拠はない。それゆえに、それがつねに正しいとは限らないってことだ。

「もうちょっと待ってみれば?」なんて陳腐なことは言ってられない。僕ら全員にとって良いのは--僕らが願うべきなのは--記憶ってのはクソで、きつい仕事を全部やってくれるってことだ。まあ時間も関係しているだろうけど、でも本当は僕らが身に降り注いだ酷い事態を全部覚えていられるキャパシティを持ち得ていないだけだ。そのせいで僕らははっきりしない「均衡」に再び戻ることになるのだ。消え行く記憶の渦よ、ブラックアウトしてくれてありがとう!

Crooked FingersのEric Bachmannは何か起こってしまった事態の煉獄の中で、そして時の流れと、最終的にどんなものがが残されるか確かめるまでの長い間に曲を書く。みんなはただそれが少しの間だけ取り付かれた時、何が起こるか待っている。けれど、その間に痺れが体中を回り、それが強力な絶望感とミックスする。みんなそれは感じている。今すごく苦しい。周りを囲む孤独感は体を衰弱させるし、それ以上にそれを除く解決方法なんて何も無い--全て手の届かないところに行ってしまった--って感覚が彼の仲間達を苦しめる。君はCrooked Fingersの音楽の中を歩き回るまで、そんなに失意に落ちた男と女を見たことがなかった。彼らは狂ってしまったわけではない。ただどこに向かえば良いかわからないだけ。Bachmanは

「簡単に家に戻る方法なんてないのさ」

と言い、何度も何度もそれを証明してみせる。彼は正しいと思う。彼はとてもそれに関して詳しいみたいだし、だから僕らも湿りきった魂が漂う道を辿る事にする。音楽の中には君が過去関係を持った人々で溢れている。チラリとした視線、そして温かい抱擁。かつて愛した人やそこにいる人々は奇妙なことに、彼らがエーテルの中に迷い込む以前、数日前に関係を持った人々だ。Bachmannは空中で漂っている気分になっている。彼はたとえ時が驚くべき技を使って、彼らを消し去ろうとも、彼らがいつ爆発しても間違いないと知っている。彼はこう歌う

「絶対に彼らが君の事を忘れてしまったなんて思うなよ」


そこには時間の概念の理解や、幸せとの関連性に自己満足する人全てに、鞭を打つ要因が関わっている。Bachmannが再び

「君を大丈夫って感じさせるのは簡単なことじゃない」

と言い、その台詞は彼の顔が載った貨幣にプリントされることだろう。それは夕暮れから朝方にかけて続く闘い。全ての部分が間に埋め込まれたり、外に追い出されたりしている。それはただただ続いてゆく。すべての大変なことは静まることなく、それがBachmannのような声を生み出し、男にこんな歌詞を書かせるのだ。

「学べば学ぶほど痛い目にあうっていうけど、それで何の利益があるの?」

多分痛みにも感じる時間が必要なんだよ。
Crooked Fingers Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)


セットリスト



Welcome to Daytrotter
Lonesome Warrior
Don't Say A Word
Weary Arms
Broken Man


Crooked Fingers - Breaks in the Armor (Album Trailer) from Merge Records on Vimeo.

2011年11月26日土曜日

Surfer Blood


To All Of Those Who Have Ruined Us For A While

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Matt Oliver, Mastered by Sam Patlove, Translated by Teshi































あきれるくらい何度も「いかなる人も島ではない(No man's an island)」と言われてきた。まだみんな使う言葉だけれど、もうこの格言も本当に意味を持たなくなった。どうも「誰かに頼ったり、影響されたり、影響したりせずに生きる事は不可能」っていう考えが基になってるみたいで、だからって無人島でヤシの木と一人ボッチの島民になったほうがいいなんてとんでもない考え方だよね。こういう人たちはただ「孤島」のように感じてしまうだけなのだ。問題を一人で乗り越えなきゃいけないって感じてしまうだけなのだ。だからこんな狂気に満ちた思想の中で朽ち果ててしまって...それ以上に酷い結末ってないよ。

若かりしウェストパームビーチのバンドSurfer Bloodは自らの間違いで(それか誰かの間違いで)孤島に辿り着いてしまった人々の人生を探求する傾向がある。この人たちは酷い困難や心配事を引き起こす奴らに偶然出会ってしまうのだ。自分のことしか考えない奴らにばったり出くわしてしまって、彼らの態度がほかの人々にどう影響するか関係無しに孤島に向かって行く。バンドの最新作"Tarot Classics EP"を作り上げる登場人物たちは自分の足を銃で何度も打ち抜いて、その後他人の足にその銃口を向ける。一回、二回と続けて発砲し、弾薬を空にした後再び充填する。そして自分達の足が回復し、他人がその銃を発砲するのを待っている。そこにあるのは不信感と、不信感を持たれる嫌な奴の物語。彼らは何も考えずに生きてきて、その結果彼らに嫌悪を抱く人々の周りで生きるしかなくなってしまう。周りから可愛いがられる女の子達でさえも、言い寄ってくる男達の取り扱い方を間違えてしまったみたいだ。

人々はずっと干されっぱなし。人々は干されて酷い目にあっている。その二つは全く違ったシナリオだけれど、どうも同じ類のものに見える。"I'm Not Ready"という曲に登場するかつての友達(そう聞こえる)に対しほとんど愛に喪失を感じていないようだ。John Paul Pittsは歌う

「そうか、お前のくだらねえ事をちょっとの間だけ片付けてくれるような、新しい仲間を見つけたのか/まじでさ/遅かれ早かれ/お前がどんな人間かすぐにばれちまうぜ、絶対に/いつのまにかそれもお仕舞いさ」


PittsとギタリストのThomas Fekete、ベーシストKevin WilliamsとドラムスのTJ Schwartzはこのようなダークで陰がかかった精神の支配の中に清々しいものを発見した。Pittsのボーカルは豊かで声を震わす趣がある。その歌声が僕らに彼の優しさと親切心を失った人間に対する評価は正しいと思わせる。彼の心をむかむかさせるような物語--最低一人はひどく悪質に利用されている--の描写はNew York Timesの論説みたいに聞こえる。もし彼らが誰かを「クソマスかき野郎」なんて呼ぶ傾向があったら、の話だけど。そう、彼の描写は的確で適切なのだ。まるで恋愛関係の侵害が不快で不公平であったかのように。彼は"Drinking Problem"という曲でこう歌う

「評価基準なんていらない/恐れることなんてないんだ」


そして僕らは「何かがすぐ傍で牙を剥いて低床貨物車のケツをかじろうとしている」と感じるのにも理由があると信じ、だからこそバランスは保たれるのだ。

Surfer Blood Debut Daytrotter Session
Surfer Blood Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. Island
  3. The Fast Song
  4. Fast Jabroni
  5. I'm Not Ready


2011年11月25日金曜日

The Antlers


Sick With The Stable Feelings

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered and mastered by Matt Oliver, Illustration based on a photograph by Sarah Buckley, Translated by Teshi





























この数年あのポンコツ自動車をどれだけ片付けてしまおうと思ったことか。あの弱々しい車は何年も昔に貰ったものなんだけど、なんで捨てないかというと、あいつが自ら故障するところを見たいからっていう嫌らしい理由があるからなんだ。僕らはあいつをこき使ってるし、新しい燃料なんか入れてやる気はまんざらない。嫌々オイルを交換してやるけど、どうしても仕方が無い時以外は絶対に換えてやらない。僕らはそこまで嫌なヤツにはなれないみたいだけど、車に対しての酷いほったらかし行為と壊れるところが見たいっていう少しの好奇心が、この限られた時間内での車の墓までのレースに僕らを引き込むものが何か知りたいっていう気持ちもある。

卒倒してくたばるだけの車なんか一度も人生で保有したことなんかなかった。もし全てうまくいったら、または全てが悪い方向に向かったら、これが初めての経験になるだろう。僕らにとって一番恐ろしいことと言ったら、こいつが僕らのしてきたあらゆる虐待の痕を見せ始めることだ。もちろん、ダッシュボードのエンジンライトはちゃんと明るくオレンジに光ってる。でも長年そうあり続けてきたし--うん、大体一年くらいは--まだ問題は何も起きてない。でも朝からずっと光り続けてて、一回始まったらずっと止まらないんだ。それ以上に何も望むことはできないね。

僕らがちょっと心配なのは、僕らがブレーキライトやストップライトをアイドリングでテストすると、しゃっくりを出してちょっとカタカタ音を立てて、一時的だけど気持ち悪くなるような揺れを起こすことだ。それはまるでこいつがついに最後の「グッバイ」をコホコホ咳き立てながら言っているようで、僕らはそこに閉じ込められて交通を塞き止めながら、嫌らしい視線とホーンを投げかけられる運命なのだ。でもあいつらにこんな事態が起こってくれてよかった。この車が揺れ動く感覚は君にあの寒気を...いや、あの痙攣を思い出させる。何か恐ろしいことが起きたことに感じる、あの震え。この感覚と同時にわきの下には汗をかいて、手もぬるぬるになる。軽い心臓発作が起きた時に感じるものだ。君は恐怖に体を縛り付けられ、自分が自分である感覚も殆ど分からなくなる。君は荒々しい狂気の中に滑り込んでしまって、そのまま氷水の中に叩きつけられた気分。あえぎ震える自分を引き抜くためだけに。

The Antlersも同じように君を震えさせる。三人の音楽家はこのようなセンセーションを最新作"Burst Apart"で再現してみせた。君を見世物用の檻に連れ込むのだ。見世物っていっても動物はいない。代わりに、衝突する感情の波--夢のようなリードシンガーPeter Silbermanのボーカルと、"Parentheses"で広がる祈りを捧げる蟷螂のようなDerby Cicciのシンセのジューっと鳴る音。そして深夜に何かを探るように鳴らされるドラマーMichael Lernerのドラミング--があり、それらはみな共生の方法を求め、お互い間を通り抜けながら肌を掻き毟り摩擦を起こしている。それぞれの感情はお互い競い合いながら、常に「あと一瞬で違うものに変化する」ように見える。今のところ、何も問題は無い。穏やかな心で落ち着いている。でも、僕らの危険な車みたいに、常に僕らに嫌な揺れを与える。次に何が起こるか恐怖にかられることになる。そして何も起こらないと、僕らは大きく息を吐く。酷く心配している時に限って何も起こらないんだから。僕らは気にしすぎなのだ。そのせいで血圧がロケットみたいに急上昇してしまうのだ。僕らはそんな自分達に嫌気が指しているけれど、でも「まあ心配するのも仕方ない」と普通なら思って。

君にも分かるだろうけど、Silbermanは心配性な人間だろう。この揺れは彼の心配が引き起こす感情だ。それを彼は颯爽としたスーツと光沢のあるスーツで飾り立てているけど、その下にはあの揺れが潜んでいる。たとえ軽くであろうが、僕らはそれを感じることができる。脅威的な感情の揺れだ。いつ最高レベルの揺れが来てもおかしくないし、僕らもそれは承知している


The Antlers Debut Daytrotter Session
The Antlers Official Site

セットリスト



  1. Welcome to Daytrotter
  2. No Widows
  3. Parentheses
  4. Rolled Together
  5. Hounds


2011年11月23日水曜日

Future Islands


The Damaged And Hopeful Lights

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Matt Oliver, Mastered by Sam Patlove, Translated by Teshi

Download































Future Islandsの面々はまだ吊り上げられていないシャンデリア。

僕が昨日の夕方Home Depot(ハードウェアストア)を歩き回っていた時にそう思った。ちょうど壊れてしまった照明設備の替えを買いに来ていたんだった。そこには二列か三列にわたって照明だけがずらっと並んでいた。シャンデリアがあったかはもう既に覚えてはいないけれど、少なからずいくつかの購入可能な照明はじっと見つめて何か思いを耽る価値があるものだった。多くの照明は特別な夜を盛り上げるチャンスは全くないような、特に面白みの無いタイプのもので、引き上げられて天井に設置されるタイプだった。多分人々はそんな照明の下でテレビを見るんだろうな。子供部屋で車のおもちゃや人形で遊ぶ子供達を照らしているのかもしれない。その下で人々はご飯を食べることになるんだろうけど、高級なチャイナの上に食事が載せられるなんて誰も思わない。それはプラスティックか紙製のプレートや、結婚式の引き出物とかでもらった40代になるまで使い続けるような皿なのだ。ディッシュウォッシャーに放りこんでも痛くないような、そんなやつ。ストアの中に並べられていた設置物の殆どは、物の価値や意味に恵まれてなどいない。ただ普通の家庭のよくある日常を手助けているだけなのだ。

それでもシャンデリアは、それがどこにあろうが、どこからやってこようが、僕らは一目置いてしまう。今日みたいにガラガラの店の中で、箱の中にどんな気持ちで納まってるんだろうとか考えてしまう。僕らはそんなシャンデリアに人格を与え、彼らの希望や願いを耳にすることになる。彼らは待ちながら何を考えているのだろうか。多分頭の中で彼らはどんな素晴らしい部屋に吊り下げられる運命なのかわかってるんだろうな。舞踏会や祝祭の場において着飾った重要で、麗しい人たちの上を浮かび、垂れ下がりながら照らし出すのだ。こういうシャンデリアはFuture IslandsのリードシンガーSamuel Herringが僕らの前に提示する人々にかなり似ている。この登場人物たちは圧倒的な感情と感覚で溢れている。まるで「疑い」と「要求」で爆発しそうになっているのだ。Herringがそれらの感情に「声」を与え、音に騒然さを作り出している。その音はまるで彼らが傷ついて、急な坂を転がりまわって辿り着いた先は尖った岩山で、体中血まみれになっているみたい。ダメージを受けても彼らはあの感覚を失ってはいない。「いいことはまだこれから起こるさ」ってね。

多分彼らは少し傷がついたシャンデリアなのかもしれない。薄暗くて、所々破損しているけど、いずれは美しい場所に辿り着くのだという信念は確固としたまま。HerringはまるでWild BeastsのHayden ThorpeとTom Waitsをミックスさせたような声で歌い、魅力的で回想的。散らばる感情の爆発と心の中の葛藤はその人物のリアリティに対し同様にそこに留まり続けるだろう。彼らはただ愛されたいだけ。なんとしてでも幸せになって、そのためならば何でも手に入れてやる。いつか自分達が値するのと同じくらいの幸せを手に入れる方法を見つけてやる。

Future Islands Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. On The Water
  3. The Inkwell
  4. Walking Through That Door
  5. In The Fall

2011年11月20日日曜日

O'Brother


Walking The Foggy Graveyards Where Bodies Lay

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi
































発売予定のデビューフルアルバム"Garden Window"に収録された4分30秒のO'Brotherの"Lay Down"は美しく肌を剥いたちっぽけな獣のような曲だ。どこも隠されていない。肌を震えさせたこの獣は何かに取り付いているのか、取り付かれてしまったかのどちらかだ。それを確かめるのはちょっと大変だ。両方とも正解に思えるから。まるで僕らは夢の中にいるみたい。朝起きた時にイメージが頭の中から振り払えないような冷たい夢。頭の中から夢の中で現れた本物のような感情が出て行かない。君はそれに囚われてしまって、胸の中で、血管の中でそのイメージが反響しながら巡り巡っている。止むことなく君の心に影響し続ける。道や廊下を歩いていると人々が君を引きとめて「何かあった?」と聞いてくる。君は彼らに「大丈夫、ちょっと疲れてるだけ。よく眠れなかったし、凄い奇妙な夢を見たせいで変な気分なんだ」と呟きながら答える。食欲もわかないし顔色も良くない。AtlantaはGeorgiaのバンドのリードシンガーTanner Merrittは確実に僕達がこの曲の熱をすぐに忘れてしまわないようする。いやこの曲だけじゃなくて、素晴らしいデビューアルバムの殆どの部分で。この作品はこの若きバンドがいつのまにか現在アメリカのバンドとして絶対目が離せない存在になった理由を証明している。

Merrittはこう歌う。

「疲れた手を地面につけておきなよ/血は君が縛りついた地面に栄養を与えるのだから/そこに僕は横たわるんだ」

そしてすぐに僕らの目の前にはあの頭を落とされた馬に載った騎士がシーンの中を通り過ぎていくのが見えるだろう。まるで南北戦争の墓地の地面に立っているみたい。それぞれの闘いに敗れた戦士達の名前が刻まれた墓。桃の木の下、野原や池のなかで血を流し、もう消えてしまった命によって水を赤く染めた。全て自由と愛国心のために。似たように冷たくて、同じ石から彫られた墓。ぎっしり詰め込まれたこの敷地には厚い霧がかかり、ここにいるのは僕達だけ。カラスが傍観者の様に木の上から見つめているこの場所で、僕らは全てを飲み込んだ。それはまるで僕らが魔法にかけられた庭、あるいは休息所への入門が許可されたようで、そこはきっと誰もが死んでいるか生きているかだろう。なにか有害な所にいる感じはしないけれど、ここにいてもいいのかと感じている。だから僕らは警戒心を鎮めず、なるべく落ち着いた気分でいようと努力している。O'Brotherはそれの手助けを大いにしてくれるし、確実に僕らが内省的で陰鬱なふらふら感をもったアンセミックで勢いの良い曲に体を横たわらせ、ショックを和らげるようにしてくれる。彼らは僕らの心を高揚させ続け、まるで僕らが有害的な方向に留まっているように思わせる。けれど同時に安全な気分にさせ、それは僕らが夢の中を歩いている時と同じような気分だ。そして僕らがギリギリのところにいて、まだ酷く緊張する可能性はあるけれど、自分たちのことは全然見失っていない。O'Brotherこそがぞっとさせるものの象徴。彼らこそが決意を持って心を振るわせる音楽の制作者で、君の胸の内を明かす次の出来事が何か君にずっと考えさせる。それが恐怖に体を強張らせるだけかもしれない。

O'Brother Official Site


試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト

Welcome to Daytrotter
Ascension
Division of Man
Easy Talk (Open Your Mouth)
Lay Down



Thomas Dybdahl


The Creaks And Moans Of Your Own

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi






























Thomas Dybdahlは君に全て明白にして欲しがっている。彼は全てを引き剥がして、誰も見ていないところで暖炉の中に薪が燃えている時に、どのような種類の炎が出来上がるか確かめようとしている。僕らが彼と一緒に一晩過ごす部屋の中に休息のオプションはほとんど無ければいいと願っている。このノルウェー人がリリースした作品の一つの最初から終わりまで、彼は君に床梁の中から聞こえる軋みも嘆きも実は体のどこかから響いているのではないかと思わせる。そういう才能を持っているのだ。その音は膝と関節のうめき声。窓の外から聞こえるうなり声は空腹の痛切な叫び。いや孤独の叫びかもしれない。すべて君の心の闇の部分から発せられている。そういう体の部分は僕らが決して見ることがない血管、骨、そして筋肉と一緒に詰め込まれている。

Dybdahlは君がこの部屋、いや家を丸ごと取り除いてくれたら感謝することだろう。ここには思い出がつまっていて、あらゆる物、あらゆる人のことを君に思い起こさせる場所だ。彼は君が彼に対して細心の注意を払っている時にベストを出すことができる。彼は君に自分への注意以外を全て彼が気にしないで済む場所へ蒸発させて欲しいだけなのだ。もし彼がやっていることを済ませて去った後にそういうもの(思い出など)を取り戻したかったら、どうぞ取り戻してご覧なさい。ただ問題ごとになるかもよ。わざわざ回復させる価値も無いかもしれない。君は彼の曲に自分を失うことが出来る。催眠術にかかってしまうのだ。自分が思ってもみなかった行動を引き起こすのだ。君を絶対的な恋愛に落とすこともできる。彼の曲にはこういう文句が貼られているべきだね。

「女の子達、気をつけて。何があってもThomas Dybdahlとは目をあわせちゃいけないよ。」

彼は自分自身に、そして君に--誰であろうが--周りで起きている出来事に完璧に無関心であるべきだと思わせる。君は彼の言葉に耳を澄まし、彼の言葉だけが大事になる。彼はまるで君と彼がコテージのようなどこか遠いところで木々に囲まれて、それでも遠くからは見えるような所に孤独でいるような感覚にさせる。石製の暖炉からは厚い煙がプカプカ浮かんでいて、特に急ぎもせずに空に昇っていく。僕らはそのコテージの中にいて、そこは理想的な環境のように感じている。軋みと、木々の嘆きと、彼の言葉、ギター、そしてピアノといっしょにいる。そこには僕らだけしかいない。この後に僕らが出かけるときに寒さで白い息が出るけれど、耳に聞こえる音楽は暖かい。

Thomas Dybdahl Official Site



試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. Cecelia
  3. A Love Story
  4. Party Like It's 1929
  5. It's Always Been You



2011年11月18日金曜日

Carl Broemel


The Tired And Weary Parts Rest

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Matt Oliver, Mastered by Sam Patlove, translated by Teshi





























僕らが初めてCar Broemelの最新作"All Birds Say"を聴いたのは、David Vanderveldeと車の中でだった。ウィスコンシン州のEau ClaireにあるApril Baseスタジオで、Gayngsと信じられないくらいゴージャスな秋の午後にセッションの録音を終えたあと、アイオワまで戻る旅路で聴いたのだ。あらゆる種類のタバコ休憩とかドリンク休憩の時間があって、田舎に建つ断層のある階層構造の家のデックを出たところ、あるいはフロントにある芝生の上で友達とGlasserのメンバーとその時間を過ごした。遅くなるにつれてカメムシがどんどん出てくるようになった。夕方の少しの時間を使ったプロジェクトが一日を費やす出来事に変わってしまった。僕らは日が沈んだ後、まあディナータイムはとっくに過ぎていたけど、家まで6時間かけて帰るためにそこを抜け出した。昔はインドアのプール施設だったあの場所での魔法のような音楽体験から受け取った高揚した気分を、疲労が肘で突いて追い出し始めた。道中のスナックが欲しかったし、家にも帰りたかった。まずお菓子ね。

僕らはVandervelde所有の車に乗っていて--ジープのようなもの--乗客用シートの一角に"All Birds Say"のコピーがつめ込められていた。同郷Nashville出身のBroemel自身から彼に差し出されたものらしい。帰路はこのアルバムしか聞かなかった。それ以外には2時間くらいFleetwood Macかけているのと同じくらいの価値があった。ある日の朝、道路上に他の車が見当たらなかった時20kmくらいスピードの出しすぎで切符を切られた前と後に大音量で聴いていた。そう、もしまたアクセルを思いっきり踏む時は、"All Birds Say"をスピード違反を食らう前にプレイヤーに入れる。このレコードはこっちへ向かってくる作品なのだ。

このレコードはまるで何十年もの月日を費やして作られたみたいで、シンプルな言葉から生まれる英知は時間をかけて養われるものだし、直球にポイントを突いてくる。ケンタッキーのMy Morning JacketのメンバーであるBroemelが"Carried Away"や"Questions"などで歌い、吐き出す言葉が思慮深く、信用できるものか確かめるのには時間を要する。これは君がただうちに帰りたくて仕方が無く、自分の個人的な問題と考えの孤独に包まれながら誰とも関わりたくないと思う瞬間だ。君がこういう静かな古い家で、他には自分以外誰もいなく、何もすることが無い瞬間。そしてまさにそうあってほしいと願う。君に必要なのはこれなのだ。Broemelは楽曲の一秒一秒を使って君を安心させる。この作品は一週間の半分は続く日曜の夕方で包み込まれている。その時間帯は急かされることも無い。しかし、物語は詳しく伝えられ、登場人物の完璧なパーソナリティーも提示されているようだ。疲れているけど満足している仲間達がアルバム最後の収録曲"Retired"に現れ、全ての登場人物が違ったバージョンで登場する。彼らはただ少し前より道を進んでいっただけだ。

彼らはアルバムの最初ではボトルワインを$80で購入するような人たちだったけれど、今では紅茶を淹れて一人の時間を楽しみながらクラシックミュージックを聴いている。Broemelは歌う

「君は一人でワルツを踊る」


まるで誰か何十年間も死ぬまで働き続けた人、あるいはちょっときつくしごかれた人が見る夢の続きの一場面のようだ。彼は公文書保管人みたいに曲と向き合い、その日、目の前に見える景色、音、匂い、彼らの人生を通り過ぎる人々を詳細に描き出す。全てが回帰し、彼が6~7分近く曲を引き伸ばしていたとしても、どこか簡潔性がみられる。彼らに時の経過の美しさを、満足した心の輝かしさを、そしてお腹が一杯になり、イルミネーションで飾られた魂を与えるために。
Carl Broemel Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. All Birds Say/Carried Away
  3. Retired
  4. On The Case
  5. Questions




http://www.amazon.co.jp/All-Birds-Say-Carl-Broemel/dp/B003VOP7SW/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1321624275&sr=8-1

2011年11月16日水曜日

Gun Lake


Beats Of Hearts In The Breezes And In The Trees

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Patrick Stolley


Download





























「僕は荒々しい土地を歩いていた/君は荒々しい土地を歩いていた/そこで僕たちは自分達の姿を明確に知ることができた」

Gun LakeのリードシンガーMark Fainが適切なタイトルを付けられた"Stormy Country"という曲の乱れた最後のパートでこう歌う。この大陸の大地は長々と続く強い雨によって湿り、赤とオレンジ色の汚れた葉っぱがフジツボや新たな牽引力のように靴の裏にくっつき、その場所がこのミシガンのバンドが一番心地よいと感じる場所なのだ。僕らはミシガンの素敵な名所に行った事があるし、彼らにとってそこから身を引こうとするのがどれほど大変なことか想像もできない。それはまるで心にあてた手を振り払って、悲しく車で立ち去るような感じに違いない。君は心にあてた手がもう1マイル先まで必要だと分かっているけど、それにアクセスすることが出来ない。君の手首の終わりにある筋肉がその空いたスペース、あるいは喪失感を埋めようとするかもしれない。しかしその実体の無い悲痛は何も掴むことが出来ないし、何も埋めることができない。

Gun Lakeは物事が目の前で起きるスペースの中で活動を行う--夜の爆発を通して輝き、電力ははるか遠くから供給されている場所で、君はそこに今まで気づくことがなかった。 彼らは枝を揺さぶって新たな雨を降らす場所で活動を行う。すべての水滴が頭の上のトゲにしがみ付き、ショッキングな大きさの雨粒を落とす。そんなことが起きると、僕らは息を呑まずにはいられない。それはまるで穀物を貯めておくサイロや貯水庫の天辺に上って星に近づこうとするみたいだ。いや、それかなるべく地面の近くまで泥に体を寄せているみたいだ。その二つはそれぞれ違った感情だけれど、彼らの最新作"Balfour"では両方が作用している。この男達が自分達の心臓の音をそよ風や、自身の胸の中で耳を澄まして聴いている。そこには雨を降らす木々や、関連性が深い予知不可能な要素の中で、近親性と親交を見つけなければならないというミッションがあるみたいだ。

とにかく地面に寝転がって地面に耳をくっつけたら、そこで最も力が弱まった、かなり小さな音が聞こえてくるだろう。何千万もの足が地球の下で踏み込み、そして地球の反対側には大空が反対の方向へ手を伸ばし、違った季節の中で違った日を送っている。君を少しの間混乱させるには充分だ。しかしGun Lake(蝶の形をしたミシガンの湖から名づけられた)が同じように感じるのに必要なのは、ただ寂しげな狐達、お腹をすかせたコヨーテ達、怯えたウサギと穏やかな湖だけだ。そこは心配事をシンプルに投げ出すことが出来る場所で、痛む心もそこでは自然の美しさが生み出す愛情表現を感じることが出来る。アウトドアの驚き。どこでも好きなところに火を起こすことが出来るという考え。荒々しい大地に落ちる雷が木々を薙ぎ倒し、僕らを殺すことが出来る。そんな木々に同種の感情を抱くことができるのだ。Fainは歌う。

「まだ木が育つことが出来る場所に連れて行ってくれよ」

そして

「いや、ここ以上に最高な場所は無いし他の場所に行こうとは思わない」

と歌い、この場所で彼は大きな幸せを見つけることが出来るみたいだ。彼は今まで以上に泥が燃えてゆくのを感じ、ここから離れる必要が無いと感じている。生き続ける限り。
Gun Lake Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト



  1. Welcome to Daytrotter
  2. Really Something
  3. Trees
  4. June
  5. Stormy Country





Acrylics


Slow Motion Lips And The Chattering Skin

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Matt Oliver, Mastered by Sam Patlove, Translated by Teshi






























The Acrylicsは僕が明日感じるであろう未来の気分を感じさせる。だってさ、多分今年のこの季節外れの温かさは今日限りだよ。その後事態は完璧に予期せぬ方向へ急降下するんだから。そこには常に、おかしいくらい良い日でも悪い事が起こるというチャンスがある。雪解けの季節まで全てが硬く凍りつく前に。でも、11月が始まる数日前にそんなことが実際に起こるなんて思いもしないだろう。寒くなる前に最後のサイクリングに出かけて、念に最後のアイスクリームコーンを頬張る。その後は心が温まるようなシチュー、スープ、紅茶になる。冬眠から覚めて外に出ても大丈夫だと感じるまでお世話になる。

今日は大体26℃。ハロウィーンはもうすぐで、明日の最高気温は15℃下がるらしい。その事実はかなり悲しく僕らにのしかかってくる。いつもと代わりの無い冬。何の安らぎも見かけられない。僕らの今年のピークは終わって、その先はあのどんよりとした冬の日光節約月間に押し込められる。ランチが消化される前に陽が沈み始めてしまう、そんな期間。

Molly SheaとJason Klauberが書く音楽は僕らに冬用のコートを羽織って、それをブルっと脱ぐ喜びを感じさせてくれる。このニューヨークから来たバンドの描く登場人物たちが人生を行き交い、これから起こるであろう状況に備える準備を忘れてしまっているような気分を僕らは否応にも感じる事になる。彼らはこれから出くわす天気に備えていない。なぜなら急な落下を予期なんか出来ないからだ。急に次の日15℃気温が低下するなんて思ってもみなかった。彼らの最新作"Lives and Treasure"に登場する人々は天気予報をチェックしたり、何回も確かめるような贅沢を持っていないようだ。彼らは明日が今日よりそんなに変わるなんて推測させるようなモノを持っていないのだ。だから実際指示を仰いでいるわけでもなく、次に起こることを喜ぶことも出来ない。彼らはただ風の中ではためき、スローモーションで物事を観察する人々の物語の間を進んでいく。歩くたびに肌を刺すような鳥肌を腕に浮かべている。巡り巡る言葉の中にはさまざまな顔があり、君に夢の世界を思い出させ、Sheaが歌詞の中に埋め込む、人をうっとりさせるようなフレーズは霧がかかった収穫だ---いつ仲直りしたか多分思い出すことができない。たとえ本当に思い出したくても、思い出せない。たとえ過去の束縛の中から力いっぱいにそれを引っ張り出そうとしても。
Acrylics First Daytrotter Session

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. Nightwatch
  3. Asian Pear
  4. The Catacombs



2011年11月13日日曜日

Friendo


Cooked The Garage, We Get Shifty

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Will Kreinke, Mastered by Sam Patlove, Translated by Teshi


































とくに理由もない。ただああいう事考えてるだけで僕は公共のお掃除を課せられたり、何百ドルか罰金を払わなきゃいけない気分になる。君が夜に他の女性とセックスしている夢を見て、次の日の朝起きた時に自分の妻に申し訳ないと思う、そんな感じ。いや、その日の朝は家の中を極めて慎重に歩き回って、頭の中のいやらしくて不正直な感情が消え去るのを待っている。

Friendoの曲を聴いていると、君を法律なんか関係無しにシートベルト無しで町中をドライブしたいと思わせる何かがあることに気付く。彼らの曲は君に中々良いサイズの傾斜台を幾つかを交通量の少ない住宅街にあるストリートの真ん中に建てたいと思わせる。ぼろぼろになった車を台の間に置いて、オートバイに空からそれを乗り越えさせる。多分誰もその栄光に気付いてくれないだろうな。彼らの曲はそのシートベルトが無い車の中にいたいと思わせるし、向こう見ずにもそのオートバイに乗って傾斜台を駆け抜けたいと思わせる(もちろんヘルメットは無しだよ)。そして車の中にあるあらゆる種類のゴミや人々にのしかかったゴミを彼らが以前そうしていたように...そう窓の外から投げ捨てて、どぶの中に突き落とす。きっと誰かが来て片付けてくれるさ。何も心配することは無いよ。こんな風に昔はもっといろんなことが大目に見られてきた。飛行機の中でも病院の中でもタバコを吸えたし、ブラ無しで出歩くのは推奨されてたくらいだ。合理的であれば、大抵のことならなんでもかんでも許されてきた。

Friendoはよく僕達に欲だけで動くことを、僕らが慣れ切っていることともう少しかけ離れた方法でを思い出させてくれる。WomenのドラマーでもあるMichael WallaceがFriendoに書き下ろす楽曲は露になった感情とニーズの両方が詰め込まれていて、ちょっぴり薄汚れていてぼろぼろになった形で現れる。それはまるで彼らが人生で始めて、まだクリーンアップが行われる前に誰かに思われたみたいだ。彼らは調理されたみたいだし、まるで彼らは僕らが解釈した方法で曲の意味を解釈出来るような存在で無ければならないみたいだ。 それらはまるで唾をかけられ、何週間も庭の外に外に追い出されたみたいに感じている。やっと見つかったと思えば、やせ衰えてほとんど声も出ない。けれど顔から色は失われていなく、活力で溢れている。新しく生まれた仔猫のように叫び、シューっと声を出す。本能のまま自由に。それは時に週末を好み、実際より長く夜更かしすることを好むスピーディーなガレージロックサウンドを鳴らす。

Friendoは僕らの心の中でスズメバチがハミングをしていると思わせる。そこで誰にも言ったこと無い、心の中に引き止めたほうがいい様な恥ずかしいことを歌っているのだ。あるいは、すぐに外に出かけてそういう恥ずかしいことをしてしまおうと思わせる。どうしようかな。もしかしたらそれも楽しいかもしれない。もしかしたら朝起きたらタトゥーが体の中に入っていて、それにお金払ったのかな?声もガラガラ。多分次に夜通し遊ぶまでずっとこの声が続くんだろうな。
Friendo Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)


セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. Crimes
  3. Untitled
  4. Do The CPR
  5. Germanic Panic



John Common and Blinding Flashes of Light


The Battles Of The Exposed People

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi































John Commonは曲を書く時、何も取り残しが無いか確実にする。彼は裸の人々を作り出すのだ。それか彼が人々を裸にする、彼が服を脱がすのだ。それはまるで彼が糸の先端を人差し指と親指で掴み、それに包まった人をゆっくりと回転させ、ゆっくりと中身が暴かれていく。でも君がその人を包んでいたモノが何か認識するまでは完璧に曝け出したりはしない。そして全てが露になった時、恥ずかしげな目でその人は君を見つめている。彼は自分自身に対してもその処置を行う。でもその場合回転と脱衣はもう少し難しくなる。誰かの手助けが必要だ。たいていの場合、誰かに糸を引っ張ってもらうのが一番効果的。上手くいかなかったら責めてやるからな。

人々を包んでいた層は肌と不完全な髪の毛だけの姿になるまで脱がされ、その後身体は鑑定される。君は腕のニキビが作物のようにはじけていくのを目にし、震えが起こり始める。デンバーのコロラドに拠点を置くこのソングライターは冷たい世界の最も寒い部分にハイライトを当て、僕らをほとんど運なしの沈み込む存在のように感じさせる、彼は僕らに「周りには同じように自身の特定の奇妙に重要な闘いに対処しなければいけない人たちがいる」と信じる理由を与えてくれる。

ある日、ナッシュビルのバンドThe Civil WarsのJoy WilliamsがNew York TimesのQ&Aの一つ「バンドの名前の理由」という何か機械的でつまらない質問に答えていた。答えの代わりに彼女は偉大な哲学者の引用を使って、

「多分だけど、プラトーの素晴らしい引用があるんだけどね、彼は『人に優しくあれ。誰もが大きな闘争で戦っているのだから』と言っていたわ。私達が作る音楽の事を考えていた時、闘争と言う感覚が当てはまると思ったの。男と女、私達の違った背景の陰と陽。外を出歩く誰もが大きな闘争で戦っているわ。それが実際に目に見えなくてもね。」



Commonが挑む戦いも同じ種類のものだ。彼の場合もっと自己破壊的だけれど。男か女が登場し、どちらかが相手に値しない存在で、それを改善しようと大変な努力が成されている。無神経から生まれる残酷性が引き起こす攻撃的な行動ではなく、それはどちらかといえば単なる適者生存のための見勝手さなのだ。それは昔から伝えられるNo.1の存在になりたいと思っているけれど、ほとんどみんなその精神で口論するのは大変だと思っている。それが不公平だって分かっているだろ?でも相手にとって充分な存在じゃないって認めても構わないんだ--もっとうまくやってけるかもしれないし、それは相手も同じ。ただこういうシチュエーションの中Commonは

「俺はお前の腕の手錠になりたくはない/ただ君の男でありたいんだ」

と歌うことになり、きっと手錠になってしまう運命なのはみんなも分かっている。彼は続いて

「もし神がマジシャンならば、俺達は違うトリックを使う/ねえ、君は地獄へ行くような罪人が大好きなんだろ/そうだよ/地獄へ行けよ/俺と一緒にさ/あいつら俺らのテーブルを予約してくれてるさ、保障するよ」

たとえ地獄でも最低二人は一緒にいられる。彼の作り出すキャラクターは結果がどうあろうと堕落してく運命なのだ。
John Common and the Blinding Flash of Light

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. Wide Open World
  3. Can You Hear Me
  4. Your Man
  5. Go To Hell (With Me)





Mike Watt


The Multitude Of Men

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Matt Oliver, Mastered by Sam Patlove, Translated by Teshi































Mike Wattは自分の脚を背中に引っ張りあげていた。ほとんど動くことが出来ない。彼は問題の部位に馬鹿でかい脚のギプスを装着していて、それは幾晩か前のStoogesのライブでたった一度のミスのせいで事故ったものだ。しかしその時彼はSXSWで新作のプロモーションのためにライブを行っていた。それは気違いじみた"Hiphenated-Man"というミニオペラだ。このレコードは人間と、人間の欠点と特異性について数え切れないほどの詳細な分析がなされた論理的な作品だ。それは猛烈なスピードでやってくる。窓から覗くような秘密や、興味深いページ下の脚注がその男を様々な違ったフォーム(このレコードに関して言えば、31の異なったチョイス)に形成する。そこにWattがカラフルな手法で「自分のことしか考えない人」を描き出すのだ。

このフレーズをグサっとくるような一言みたいに捉えないで欲しい。これは結構みんなに賛成してもらえる声明なんだから。人間は自分のことしか考えられないものだよ。偽りの世界でサバイバルをしてないような人は失敗したり、脱落するに違いないんだから。ゲームに参加したくないやつ。正解の足をキスしたり、お金をもらえる可能性があればフェラチオだってするし、その権限を行使すればあの逞しい腕や、 綺麗に整えられ盛り上げられた髪もいずれ忘れさられる。それは人が秘密にし恥だと思っている様々な人間の局面を作り上げる。The Minutemanの創立メンバーでもあるWattは最近の、あるいは昔からある決まったタイプの人間になるために必要な要素が持つ無茶苦茶な原動力を探求している。こういうアーキタイプの人間は何十年もパンクロックを演奏し、世界中を旅して回った彼が絶対に最も詳しい。きっと素材には事足りないだろうし、今回彼は自分が目にしたものや想像上の飛躍の中で見つけたものを明細に分析し、そこに不条理と弱弱しい響きの論理的根拠を叫ぶ申し立てを付け加える。

"Hyphnated-Man"で彼が反映し、引き伸ばした多面性は驚くべきもので、君はすぐに人間の、あるいはキャラクターの姿の奥深さに気付くだろう。たった一分間の言葉と狂気の音楽の中でそれをやってのけるのだから。君はそれを核心まで煎じ詰める事ができるし、その中に見えるのはきっと「純粋」だろう。それは黄金の様に美しいものではないかもしれないし、全然褒められるようなものでもないだろう。でもクソ正直で誠実なんだ。このWattという男は、足を故障していても、一日だけ、あるいは何週間も新たな人間に生まれ変わることができるのだ。どれだけ長くそういられるか分からない。苦しめる長さだけ。彼は「そこらじゅう混乱した男」を演じることもできただろうし、「ドラム缶に閉じ込められた男」を演じていたかもしれない。いや、ずっとナレーターとして留まっていたかも。それは分からないよ。最後には結局、果たして核心が何であろうと、何が言われようと、探し当てた到着点にたどり着いたとき、それぞれの男たちはそこから出られない時頭の中から全てを吐き出す。彼らはこれ以上どうしようもないとき、穴の中の地面に横たわる。
Mike Watt Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. Arrow-Pierced-Egg-Man
  3. The Glory of Man
  4. Beak-Holding-Letter-Man



2011年11月11日金曜日

The Dear Hunter


A Miniseries Of Histories Buried In Miseries

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi




























Casey CrescenzoとThe Dear Hunterが僕らを今連れて行こうとしている場所に向かう覚悟を決めるのは簡単なことじゃない。彼らが引き起こす予想も出来ない展開に前もって対処することはできない。それは初めてタトゥーをいれる時どんな感覚がするのか実際経験してみないとわからないという時の感情に似ているに違いない。他の人が腕や脚や、股や首やいろんな部位にタトゥーをいれているのを見て、あの針が肌を貫くのがどのような感じか想像してみる。でも現実に針を自分の体にいれてみないことには分からないし、全部偽者のフィクションの世界だ。下手糞なタトゥーショップや自己流のタトゥーなど標準値にすら辿り着けない存在も忘れちゃいけない。リアクションは同じくらいはっきりしないだろう。

The Dear Hunterが僕らを連れて行くのは、厳しい気候の場所だ。僕らは常に右か左か出口を求めてきょろきょろしなくてはいけない。その戦略なら南に進めばこんなクソみたいなところから出られるから。彼らの音の中にはピュアで健康的な情熱がたくさん溢れている。何か強大な感情に血が熱くなっていて、大抵その情熱は良心的な所から湧き出ている。でも事態がどのように突然燃え上がって問題が膨らむか僕らはみんな理解している。情熱が引き起こす罪の数々は残忍でもあるし、恋愛はやばいくらい気味が悪くて問題だらけになる。彼らは愛しすぎているだけなのだ。激しすぎるのだ。

Rhode Islandの首都Providenceのバンドは「感情が激しすぎて身体的にダメージを受ける」のがどのような感じかデモンストレーションをしてくれる。このグループの発表した野心的でカテゴリーにはめ込み難い作品で見られる幸福感の全ての中にある2オンスの「痛み」が全てをぶち壊しているのが分かるだろう。わかってる、全部が全部めちゃめちゃになっていることはない。けどほんのちょっとは確実に被害を受けている。痛みはどんどん複雑になっていき、時にはそれが僕らが他人との干渉に望む姿そのものに変わっていく。そのシンプルな干渉に楽しいものはどこにもない。そこには衝突と決意があるはずだ。中々良いものを手に入れるためには戦わなければならないし、Dear Hunterの音楽が連れて行くのはそういう恐ろしい通路なのだ。綺麗な庭に辿り着いたと思えば再び落下。地面が抜けると共に僕らは頭がもげるほど叫び続ける。僕らは"He Said He Had A Story"のよう曲でもてなされる。どうも誰かが売春婦を買うストーリーのようだ。それはベッドの上で誰かが片方に大変偏った欲望を金で交換するということだ。この男はすべての動乱と襲撃のなかに天国と地獄があることを知っている。彼は彼女の懇願を聞いている。

「お願いだから私に優しく接して/わかるでしょ?人生上手くいってないの/悲しみの中に埋められた過去を持っていると大変よ」

彼が今頭の中で何を考えていることがわかるだろ?彼女の困難とは全く関係ないことを考えてる。Crescenzoはこう歌う。

「彼女はたくさんの愛を持っていた/その全てを手に入れる覚悟は出来ていたんだ」

それはビジネス上の会話。二人とも同じように裸になっているが、それぞれ別の理由をもってこの場にいるのだ。ここでは全員がじぶんたちの問題に対面している。どんな方法であろうが、一人一人が問題を乗り越えなければならないし、それがこのバンドが引き出す全ての要素に反映されている。つまりそれは屋根の下に、そして骨の奥に降りかかる全てのキャッチ22的状況※のほろ苦いバランスなのだ。いい人間であるために、幸せを掴み、何があっても諦めないと、人を唖然とさせるほど願うのだ。そうすれば叫びも、引き裂きも、嵐も、泣くことも愛することも全て正しく、誠実なものに思える。

キャッチ22とは

The Dear Hunter Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. The Dead Don't Starve
  3. Red Hands
  4. Home
  5. The Inheritance

2011年11月9日水曜日

G. Love


It's Just A Vibe Thing

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered Matt Oliver, Mastered by Sam Patlove, Translated by Naoko



























G. Loveが自分の精神状態を考察していくと非常にシンプルなところに辿り着くようだ。回りまわり巡るということにあまり右往左往は必要ない。それは笑いジワと店頭で見かけるような大きなブロック体で書れている分かりやすい文字のようだ。彼にはハッピーかそうでないかの二択。彼の作曲活動の中で、その二つが混ざることは少ない。嫌な日常に閉じ込められるより、良い日常のために生きるほうが好きだ。このフィラデルフィアンの書く歌には気楽な笑いと陽気なことを受け入れるというスイートな性(さが)がよく見受けられる。"Fixin' To Die" という最新アルバムのタイトルトラックでさえ、意図的にすべての事が正しく準備されているなかで、牛泥棒がかつての西部、いずれのゴーストタウン、にワルツで向かっているかのようだ。彼のそのキャラクターは、止まる直前の時計の針が最後に打つときに震えているように、銃を構えた部隊に向かって進んで行くように、ずっとハードな人生を送ってきたし、心臓が打ち最後の酸素と血が体を巡るその瞬間までハードに生きる、ということを自覚しているかのようだ。聖人などいない、が、彼は確かに準備を整えているし、それを見て、あなたは彼よりもっと悪いやつはいるだろうという気になる。"Fixin' To Die"の大部分は、お金はいくらもかからない、もっと素晴らしいことを祝福しているかのように聞こえる。それは、我々が、朝も、午後も、晩もコーヒーに入れる何かであり、我々を象徴する大事なことだ。"Milk and Sugar"という曲はそれをよく説いていて、人々が多様にコーヒーを飲むことを歌い、どれが悪いとは言えない。朝のブラックインスピレーションを手に座っている楽しみがその曲に注ぎ込まれ、"different strokes for different folks"(十人十色)、自分がハッピーになれることなら何でもいいんだぜ、という考えの象徴になる。彼のご機嫌さとちょっと俗な魅力に惹きつけられる。感情の流れに身を任せ行きつく先が、行く先、にすることは彼にとって何てことないようだ。ビーチで波に少し打たれ、とどろきを聞き、全てを成りたいように作用させるといったスタンス。どうせ最後には、自分相応の種類の愛を受け取るのだろう。

"It's just a vibe thing, so let it ride."(それはただの波長だから、のせればいいんだ。)


G. Love Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

セットリスト



  1. Welcome to Daytrotter
  2. Fixin' To Die
  3. Milk and Sugar
  4. Heaven
  5. I'm Satisfied/Katie Miss



Trashcan Sinatras


The Salted Breeze Over The Wine

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi
































ここ何週間は本当に体がくたくたになってしまった。やる気もなくなってしまったよ。僕の心臓の動悸や血圧の健康を脅かす事態が幾つもあった。だからって何も救いが無かったわけではない。ニューハンプシャーのライの海岸をジョギングするのは良かった。塩気がある風が僕の目から眠気を覚まして、バーモントを通過する熱帯の嵐が作り出す純粋なパワーもあった。横切る最中に色んなところでストレスを巻き起こしていたけれどね。ミシガンの湖の近くにある別荘のベースメントのキッチンで焼き上げた手作りピザもあった。史上最強にアグレッシブな蚊に生き殺しされたあと、長くからの友達と最近出来た友達と一緒に食べたのは良かったな。多分この蚊達僕らが気から摘んだばかりの新鮮で熟したりんごに惹かれてただけだと思う。甘い汁が血流に入って行き、活動するこの液体を薄まった甘い林檎ジュースに変えてしまったのだ。僕らは食べられる運命で、くるぶしや腕の虫刺されは当然の結果なのだ。

まあ簡単に言うと、僕らはそのあと完璧に疲れきって、ぼろぼろになって、興奮して打ちのめされて、気が滅入って浮かれた状態に陥ってしまったってこと。何かもう一度普通の人間の感覚に戻れるものはないかな。何か僕らを心配症のスズメバチみたいに内側でブンブン言わなくて済むような気持ちにさせる音楽を探しているんだ。僕らはただ窓ガラスのどちらかのサイドに座って、他の人たちがせかせか働いてるところを、きびきび歩いているところを、携帯の目に見えるサイドから狂ったように話すところを見つめていたいだけなんだ。僕らはただちょっと休憩して、ドラマは自分から起こさずに向こうからやってきてほしいんだ。何週間かはまるで僕らが存在していないかのように、凍ったような見物人でいたい。回復するためには時間が必要なのだ。

リードシンガーのFrancis Readerはそんな僕らが必要としている方法で物語を語り始める。まるでそれらがぼやけて日の光の下にあって、太陽にさらされ過ぎずに、美しく展示されるわけでもなくただ人々が精一杯自分達の問題に対処する所を見せているみたいだ。だからといって完璧に有害な問題が聞こえてくるわけではない。彼らの音は従順的で、高価なワインを背景に弾圧されてしまいそうだ。一対一で、携帯の裏側にいるあの人、そう愛の反対側に向かって。長く続く良き古き時代を越え、潮風の優しさに包まれていれば多分彼らは簡単に上手くいくだろう。それはまるで仲介役がこういう一定の日は絶対に誰もが勝利を誇ることが出来るように働きかけているみたいだ。本当にそれは気持ちいいことだよ。
Trashcan Sinatras Debut Daytrotter Sessions

Trashcan Sinatras Official Site

試聴・ダウンロード

セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. No Gasoline
  3. Mr. Grisly
  4. Howling
  5. Weightlifting
  6. Easy On The Eye



2011年11月8日火曜日

Chixdiggit


The Good Times Of Romantic Horniness

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi





























僕の昔の音楽遍歴といったら...まだ高校に通っていた1990年代の前半から中盤にかけては人生を変えるようなことは少しだけあった。アイオワ州のDavenportにあるカイロプラクティックの大学の体育館にPrimusとMeat Puppetsが来てて、それが僕が友達と体験した初めてのコンサートだった。その頃はWeezerもいて、僕と友達は酷い吹雪の中リスクを背負ってドライブし、6時間もかけてミネポリスまで彼らを見に行ったっけ(両親がそんな天気での旅行にOKサインを出したのは何故だか、今でも謎だよ)。そしてそこには当時Sub Popに所属していたカナダはアルバータ州のCalgaryから来たChixdiggitがいて、僕らは地元のレコード屋のバーゲンショップで彼らを発見した。それは何の説明書きもないバンドのデビューアルバムのプロモ盤で、僕らはすぐに夢中になった。きっと名前のせいだろう(Chicks Dig It※)。でも破天荒な感じとか、彼らのシャープで笑える楽曲のほうにもっと惹かれていた。ホッケー選手のこととか、Henry Rollinsとか、ボディービルになることとか、女の子のこととか、金曜と土曜の夜は楽しいことを求めて出かけることとか、お母さんが大好きだってこととか歌ってたんだよね。それのおかげで僕らはFat Wreck ChordsやLookout!に所属するバンドに興味を持ち始めて、突然音楽の趣味が180°回転した。

僕らが"Chuxdiggit!"のプロモ盤を手に入れてすぐに、このバンドがアイオワシティにやってきた。その時僕らの一番年上の友達はアイオワ大学の一年生だったんだけど。僕らは45分かけて初めてのバーのショーに足を運んだ。21歳以上じゃないと立ち入り禁止だったんだけど、それでも入り込んだ。その夜は「何かが始まった」、そんな夜だった。想像していたものよりずっと良かった。僕らが期待していた以上にエンターテイメントとして優れていて、リードシンガーのKJ Jansenの足をおっぴろげてギターを弾いて歌を歌うパフォーマンスの姿勢は最高だった。「Chixdiggitが僕らに一番あってる!」とその時心に決めた。それからバンドにとっても20年がさっさと過ぎ去り、少しルックスも変わったJansenと、ギタリストのMark O'Flaherty、ベーシストのMike McLeodとドラマーのJason Hirschは今僕らが何年も前にChixdiggitのショーで会ったKepi Ghoulieと一緒にHorseshack(デイトロッターの録音スタジオ)にいる。

それはシュールな経験だった。たとえ会話の内容が(この年だと必然的にこの話題に偏るんだけど)子供達や、毎日の仕事とか、カナダまでドライブ(あるいはフライト)でかかる時間などに変わってしまったとしても、かなりシュールだった。JensenとO'Flahertyは彼らが若い頃出会った時と何も変わらず同じままで、出来る限り最善の方法で週末を楽しみに生きている。バンドの過去の二作品もそれを繁栄していた。Jensenはまだ愛や女の子のことを痛いほど正直に描いている。いやらしさに溢れているけれど、荒削りなところは何も無い。ただ、男性が可愛い女の子を見て、頭の中で突然妄想が膨らむことを書いているだけだ。彼らはそれをどうすることもできないのだ。彼らのムラムラした性欲はどこをとっても変わらず驚くほどロマンティックで、スイートに聞こえる。紳士的な性欲。それを多分僕はChixidiggitから、Jansenから学んだんだ。まだその教えを甘受している。彼らは僕が決して手に入れることが出来なかったお兄ちゃん的存在なのだ。ついにカナダからつれてくることが出来て最高だよ。君は今から長くてお祭りのような(しかも超楽しいんだぜ)Green Bayやシカゴでの週末のお騒ぎをJansenの声から聞き取ることが出来るだろう。それを聴かずにいられないのは、彼らが「最高の時間」はまだ存在するって証明してくれるからなんだ。



試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)


セットリスト

  1. Welcome to Daytrotter
  2. Found Love
  3. Spanish Fever
  4. Stacked Like That
  5. I Remember You
  6. The Highway Man




2011年11月6日日曜日

Pepper Rabbit


The Traces And The Dust Of The Dawnings

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi































Pepper Rabbitの曲"Dance Card"の導入部は僕のほぼ毎日の目覚めの方法のようだ。完璧に目覚めて、また新しい日がすでにやってきて僕らを打ちのめしていると気づく前に、ちょっとした瞬間がある。それはあのつかみ所のない夜明けの時間帯。その瞬間起きている事を半分信じ、半分嫌っている。僕らはそこに横たわって、全身の力を使って二度目の睡眠に入ろうとする。たとえ朝の光がブラインドの下から差し込んでいても。目に映るものが全てはっきり見え始めたら、それは悪いサインだ。もう夜は開けてしまったし、枕元へ沈み込むには目覚めすぎてしまった。

そう、そういう瞬間に聞こえてくるのはこのデュオの新作"Red Velvet Snow Ball"に収録されたこの曲の始まりに導入された電子音のチャイムだ。その音はそんなに長く続かない。僕らが願っているほど長くは決して無い。一日の始まりに僕らが願う事は一時的救済以外なんでもない。静かな家を包み込む「静寂」をもう少しだけ長引かせてくれる何かが欲しいだけなのだ。20秒間のチャイムで一日のウォームアップを終えたあと、Xander SinghとLuc Laurentは大砲に足を進める。Singhは力強いオルガンと音が響き渡るエコーがかかったバーストを携えていて、それはまるで誰かが誰かがシャツの後ろから、暖まった背中に直接氷を投げ入れるみたいだ。それに倣ってLaurentはピシッと厳格に、心臓をドキドキさせながらキットを操る。それはまるで雲がベッドルームに嵐を呼び、ベッドに、君の体や頭の上に降り注ぎ、まだ目覚めきってない強ばった体と骨や筋肉からカバーを引き裂き、目の前に日の光を急に投げかけているみたいだ。急かしている訳じゃない。包囲攻撃をしているんだ。とっとと起きなよ。

ロスアンジェルスに活動の拠点を置くPepper Rabbitを夜明け前や夜明け後の時間帯と関連させてもいいと思う。特に彼らの最新作で見せた曲の作りの考慮したらね。もっと静観的で、しかも熟考する幽霊のようにも聞こえるし、現実のものでもない記憶のフラッシュバックがあるようにも思える。それは君が目覚めた瞬間の破片と面影なのだ。起きなければならない時間帯の間では現実のように思える夢の景色の跡と塵なのだ。Singhはこういうヒラヒラした半分現実ではない経験の断片の周りに(音楽を)構築し、一緒にそれらの破片を喜びに満ちたフェイドアウトに変えてみせる。それらは雲の中でエネルギーに満ちた状態で目覚める事なく、夢の物語の景色を失う事無く、静観を感じるのだ。
Kanine Records Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)

  1. Welcome to Daytrotter
  2. Red Wine
  3. None Shall Sleep
  4. Harvest Moon
  5. Babette!
  6. Dance Card
  7. Annexation of Puerto Rico
  8. Murder Room
  9. Older Brother



Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...