2011年9月20日火曜日

Beach House


Swinging Through The Foggy Ghost Matter

Feb 1, 2010

Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Sound engineering by Mike Gentry
Translated by Teshi







Beach Houseは自己紹介の時からかなり多く負担しているんじゃないかって思っている。最初にVictoria Legrandが「魔法のようなDaytrotter」で全てを自由にして良いと提案していたからだ。それで僕らはアイデアを得た。彼女の「魔法」というコンセプトを取り入れるのに今以上に完璧なタイミングは無いような気がしたのだ。そのアイデアをそのまま、LegrandとAlex Scallyが率いるボルティモアのマジカルなグループに突き返そう。

この、世界を飛び回る二人のミュージシャンはすぐに並外れたアクトと肩を並べる存在になり、うまく説明出来ないけど、聖人のような何か神聖な音を鳴らしている。何かトリックがあるに違いない。こんなプレシャスで大事な音を作り上げるには、長く記憶に留まる音楽を実際に作り上げるには、煙と鏡が何かしら使われているはずだ。魔法を起こすにはそれが必要なのだ。簡単な事じゃない。彼らの楽曲はパリッとしたスーツや代々受け継がれる美しいウェディングドレスのように広げられ、完璧に整えられたベッドの端に準備される。部屋の中にはとびきり温かくて、目を眩ませるような太陽の光で部屋中が溢れかえっているようだ。


彼らの楽曲はこういう完璧な服飾のアイテムのように、触る事も近寄る事も恐れ多い。皺一つ無く静かでおっとりしていて、君に完璧さを求めない。僕らはそれが美しすぎて萎縮してしまっている。LegrandとScallyが作る音楽はまるで人間が殆ど手にかけたことが無いようなものだ  (だからあり得ないくらい魅力的で、そのせいでちょっと気味が悪いサウンドなのかもしれない)。まるで魂の叫びと好奇心が、物事がクリアな「無限」の中から直接生まれているようだ。この無限の中、君は魔法の中に横たわる孤独な心を感じるはずだ。この魔法は特別な雪がだったり、最愛の人からのキスじゃないと解けない。



Legrandがあいまいな記憶と頭がクラクラするような、へまや失敗を決して直そうとしなかったと言う恐れを吐き出し、僕らは彼女と一緒に延々と(無限の中に)流されているようだ。この恐れもどんどん年を取り、愛する人たちから離れていってしまった。まるでかけがえの無い抱擁――彼女の物語に現れる登場人物を支える抱擁――は常に待機房の中に拘留されていたり、透明な蜃気楼の中だけで存在しているみたいだ。幽霊の物質の霧のような集まりが、愛を求めた手によって振り回されている。

”Take Care”でLegrandは二人のスイマーと同じ湖に蛇がいるイメージを描き出す。リアルなイメージだが、次第に偽り(あるいは死)が現れて、生命力が診断される。彼女は歌う。

「あなたの面倒をみてあげる/もしあなたがそれを望むなら、一年か二年で/湖で泳いで/蛇に出くわすって?/最初はリアルだったのに、フェイクになったわ/心臓の鼓動を感じて/熱を感じるの/鼓動が速いわ、手遅れかも/でも面倒見てあげるわ/あなたがそれを望むなら」

彼女はこういうごまかしを良く使う。見掛け倒しの抱擁があり、愛は消えていき、目がかすむような眠気を誘いだす。これを乗り越えるのは大変だし、力で降伏させるのも難しい。彼女が悲しみにくれた哀歌の中に差し出す数々の揺らめくイメージが、「ごまかし」と生ぬるい影の正体。彼女をまだ傷つけている。孤独な記憶の中に沈み込んでいる反抗的な子供と、過激な熱が良く口にされる。この反抗的な態度は時間が経つにしたがってゆっくりと静まっていく。まるで魂の一部がゆっくり焼け死ぬ中で、消え去っていくようだ。Beach Houseはこの死について知りすぎている。
Beach House Official Site
Sub Pop Records

試聴・ダウンロード


セットリスト
  1. Welcome to Daytrotter
  2. Walk In The Park(Teen Dream収録)
  3. Zebra(Teen Dream収録)
  4. Take Care Of You (Teen Dream収録)
  5. Used To Be(Teen Dream収録)



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