2011年11月25日金曜日

The Antlers


Sick With The Stable Feelings

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered and mastered by Matt Oliver, Illustration based on a photograph by Sarah Buckley, Translated by Teshi





























この数年あのポンコツ自動車をどれだけ片付けてしまおうと思ったことか。あの弱々しい車は何年も昔に貰ったものなんだけど、なんで捨てないかというと、あいつが自ら故障するところを見たいからっていう嫌らしい理由があるからなんだ。僕らはあいつをこき使ってるし、新しい燃料なんか入れてやる気はまんざらない。嫌々オイルを交換してやるけど、どうしても仕方が無い時以外は絶対に換えてやらない。僕らはそこまで嫌なヤツにはなれないみたいだけど、車に対しての酷いほったらかし行為と壊れるところが見たいっていう少しの好奇心が、この限られた時間内での車の墓までのレースに僕らを引き込むものが何か知りたいっていう気持ちもある。

卒倒してくたばるだけの車なんか一度も人生で保有したことなんかなかった。もし全てうまくいったら、または全てが悪い方向に向かったら、これが初めての経験になるだろう。僕らにとって一番恐ろしいことと言ったら、こいつが僕らのしてきたあらゆる虐待の痕を見せ始めることだ。もちろん、ダッシュボードのエンジンライトはちゃんと明るくオレンジに光ってる。でも長年そうあり続けてきたし--うん、大体一年くらいは--まだ問題は何も起きてない。でも朝からずっと光り続けてて、一回始まったらずっと止まらないんだ。それ以上に何も望むことはできないね。

僕らがちょっと心配なのは、僕らがブレーキライトやストップライトをアイドリングでテストすると、しゃっくりを出してちょっとカタカタ音を立てて、一時的だけど気持ち悪くなるような揺れを起こすことだ。それはまるでこいつがついに最後の「グッバイ」をコホコホ咳き立てながら言っているようで、僕らはそこに閉じ込められて交通を塞き止めながら、嫌らしい視線とホーンを投げかけられる運命なのだ。でもあいつらにこんな事態が起こってくれてよかった。この車が揺れ動く感覚は君にあの寒気を...いや、あの痙攣を思い出させる。何か恐ろしいことが起きたことに感じる、あの震え。この感覚と同時にわきの下には汗をかいて、手もぬるぬるになる。軽い心臓発作が起きた時に感じるものだ。君は恐怖に体を縛り付けられ、自分が自分である感覚も殆ど分からなくなる。君は荒々しい狂気の中に滑り込んでしまって、そのまま氷水の中に叩きつけられた気分。あえぎ震える自分を引き抜くためだけに。

The Antlersも同じように君を震えさせる。三人の音楽家はこのようなセンセーションを最新作"Burst Apart"で再現してみせた。君を見世物用の檻に連れ込むのだ。見世物っていっても動物はいない。代わりに、衝突する感情の波--夢のようなリードシンガーPeter Silbermanのボーカルと、"Parentheses"で広がる祈りを捧げる蟷螂のようなDerby Cicciのシンセのジューっと鳴る音。そして深夜に何かを探るように鳴らされるドラマーMichael Lernerのドラミング--があり、それらはみな共生の方法を求め、お互い間を通り抜けながら肌を掻き毟り摩擦を起こしている。それぞれの感情はお互い競い合いながら、常に「あと一瞬で違うものに変化する」ように見える。今のところ、何も問題は無い。穏やかな心で落ち着いている。でも、僕らの危険な車みたいに、常に僕らに嫌な揺れを与える。次に何が起こるか恐怖にかられることになる。そして何も起こらないと、僕らは大きく息を吐く。酷く心配している時に限って何も起こらないんだから。僕らは気にしすぎなのだ。そのせいで血圧がロケットみたいに急上昇してしまうのだ。僕らはそんな自分達に嫌気が指しているけれど、でも「まあ心配するのも仕方ない」と普通なら思って。

君にも分かるだろうけど、Silbermanは心配性な人間だろう。この揺れは彼の心配が引き起こす感情だ。それを彼は颯爽としたスーツと光沢のあるスーツで飾り立てているけど、その下にはあの揺れが潜んでいる。たとえ軽くであろうが、僕らはそれを感じることができる。脅威的な感情の揺れだ。いつ最高レベルの揺れが来てもおかしくないし、僕らもそれは承知している


The Antlers Debut Daytrotter Session
The Antlers Official Site

セットリスト



  1. Welcome to Daytrotter
  2. No Widows
  3. Parentheses
  4. Rolled Together
  5. Hounds


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