2011年6月9日木曜日

David Byrne インタビュー Part I




David Byrne インタビュー
by Mark Richardson, June 8, 2011


彼のTalking Headsでの初期の本能的なライブパフォーマンスについて、David Byrneは最近のインタビューで我々に「全てを放り投げて、ゼロの状態から始めたかった」と教えてくれた。伝統を無視した態度で彼は30年以上もやってきた。パイオニア的な1984年発表のコンサートフィルム”Stop Making Sense"でそれは特に顕著であり、彼はライブを実験的な演劇風の仕立てで行い、一般的なロックコンサートのコンセプトをぶち壊した。

David ByrneとBrian Enoのツアーで2008-2009年のByrneの曲のために、このモダンルネッサンス男は再び驚くほどオリジナルなショーを考案した。奇妙な踊り、世俗的なファンク、しかもオフィスの椅子まで準備していた。この困難なツアーの様子はHillman Curtisという映像監督によって記録され、舞台裏やバンドメンバーへのインタビューを含む、最近DVDにもなったRise, Rise, Roarとして映像化した。マンハッタンの彼の家で、Byrneは我々に初期のコンサートの経験のこと、Stop Making Senseの遺産、そして彼の心が広いステージ上でのアプローチについて語ってくれた。

Pitchfork(以後PF):あなたがライブパフォーマンスは別に普通じゃなくてもいいと学んだコンサート経験はありましたか?

David Byrne(以後DB)
:僕が高校に居た時、凄腕ギタリスト達が組んでたブリティッシュブルースロックタイプのバンドが居て、一曲で30分間もジャムをしてたんだよね。ああいうギタリストには驚かされたし、僕にはあんな事できないやってすぐに思ったね(笑)あの時代は他にもMemphisやMotownの曲をカバーするバンドをいくつか見たよ。彼らはステージ効果を使っていたんだ。あるバンドは紫外線のライトをつけてね、みんな白い手袋をしているんだ。だから演奏中は白い手袋しか見えない。もうほとんどミンストレルショー※みたいだよね、多分そうだったんだろうけど(笑)でもさ、「あ、あれ見てみろよ!」って、ただのバンドの演奏じゃないから驚くよね。

「Talking Headsを始めようって頃には、僕は全てを投げ出してステージではゼロの状態から始めようって感じてたんだ。出来るだけゼロに近いところまで装飾を外して、そして自分の物にするんだ」

70年代初期には大学ですごいJames Brownのショーを見た事を覚えてる。彼は女性のダンサーを二人かまえて、左右に一人ずつステージ立ってるんだ。Go Goダンサーみたいなかんじで、ただ踊ってるだけだった。僕は、「すごい。彼女達は音楽的にはなにもしてないのに、ショーのためだけにああいった女の子達を雇ってステージに立たせるのが彼にとって大事だったなんてすごいな!」って思ったんだ。メモもとってある。

そしてTalking Headsを始めようって頃には、僕は全てを投げ出してステージではゼロの状態から始めようって感じてたんだ。出来るだけゼロに近い所まで装飾を外して、そして自分の物にしようって。実験的な演劇にはそのもうちょっと後で気づいて、少なくとも僕が見たロックショー全てと同じくらい大きく影響を与えたよ。

PF:僕もそれを聞こうと思っていたんです。というのは、その時代、特にNYでは音楽と、演劇と、パフォーマンスとダンスの境界線というのはあまりクリアでは無かったですから。

DB:全部がぼやけていて、ファンキーだった。アプローチが可能のようだったし、僕にも絶対出来ないはずがないと思った。また、どこか達人的で、完璧主義で本当にかっこよかったんだ。僕はそう言う物に心を惹かれる。

PB:ロックショーのしきたりや定型はかなり決められていて、保守的なのを考えると興味深いです。バンドが出てきて、演奏して、アンコールでまた出てきて、それでおしまい。こういったしきたりに飽き飽きした事はありますか?

DB:時々ね。シューゲイザーやラップトップのせいで、バンドが観客とあんまり接しないっていうのが問題だよ。ある点で、きっと「この人がやってる事素敵。でも次は家でレコード聞いてればいいかな。」ってなるよ。

(ByrneとEnoの)ツアーでは、ダンサーの一人がオクラホマで撮影されたR.KellyのライブのDVDをくれて、僕は見て思ったんだ。「こりゃすごいな」って。もういかれてるよ、ほんとに。六分間女の子達が喘いでるモノローグがあって(笑)、彼は役それぞれに合わせた声でTrapped in the Closet※をやったんだ。「うわ、これはすごい革命的な音楽のステージングだな!しかもロックの世界の事じゃないんだ!」って思った。Trapped in the Closetの演出は気に入ったけど、でもあそこまでやる自信は無いな。

それで、James Blakeを先週見に行って、きっとラップトップ使ってるだろうと思ったんだけど、そうじゃなかった。視覚的なショーではなくて、リアルなパフォーマンスだったんだ。感動したし驚きもした。彼の使うあのロボっぽい単語の繰り返しが積み重なっていって、感情的な呪文になるんだ。ちょっと深く考え過ぎかもしれないけど、ただのエレクトロじゃないっていうのは本当に素晴らしいよね。実際にどこかに人間の心が感じられるんだ。

PF:ほかにあなたが面白いパフォーマンスをやっているなと思う若いバンドはいますか?

DB:最近Nellie Mckayを見たんだけど、彼女は死刑囚監房にいる女についてのキャバレーショーをするんだ。彼女の曲は全部スタンダードで、どこか変だったり、軽い感じがするんだけど、テーマはすべて死についてなんだ。音楽的には、キャバレーの設定に適した物になっているけど、内容がただ場違いな感じがする。彼女が観客の期待をそうやってひっぺり返したのはすごいことだよね。

※Minstrel Showとは通常黒人に扮した白人が黒人の歌や踊りを演じるショー
※Trapped in the ClosetはR.Kellyのミュージカル風の作品でチャプター22まで続くメロドラマ。映像作品としてリリースもされている。



Rise, Rise, Roar予告編




※以前のJames Blakeのインタビューで、彼はラップトップが嫌いということを言及しています。
James Blake Interview Part III

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