2011年5月26日木曜日

James Blake インタビュー Part III
















Pitchfork(以後PF):今後少しの間、この音楽について話したり、演奏しなくてはならないことに心配していますか?あなたはもう終わった事より、きっと次のステップについて考えるだろうという印象を得たのですが。


James Blake(以後JB):うん、でもライブは違った物になるから。僕がこの曲達をライブで演奏できることは面白い事だし、とても楽しんでやってるよ。シンプルになっただけじゃないんだ。(トラックを)バックのバンドとすべて置き換えて、生のエレクトロニック音楽を作っている。僕はProphet 08を使っている。世界で一番のシンセサイザーの一つだよ。僕はキーボードプレイヤーで、みんなの前で生で演奏が出来て、今まで僕が出来なかった方法で、自分が大好きな事を実演するのって素晴らしい事だよ。

以前は、コンピュータの後ろでいろいろ操作しないといけないっていう欲求不満があったんだ。まるでサイレントフィルムのピアニストみたいだった。認識してもらいたいっていうわけじゃなくて、ライブで演奏して、自分が出来るってことを示したいんだ。実際僕にとってみんなの前でピアノを弾いて歌う事より良い事はないよ。


PF:あなたのライブを見てわくわくする事の一つに、あなたがどうやってこの曲達をライブとして蘇らせるのかという好奇心があると思うんです。Maida Vale Sessionのバージョンの"The Wilhelm Scream"がとても忠実に再現されていて驚きました。(曲の構築を)成功するために、効果的にリアルタイムで曲が作られていましたから。


JB:そうだね。どうやってやろうか解明するのにかなり時間がかかった。早い段階で、この音楽をライブで作り上げるには、ハードウェアへの投資が大事だと分かっていた。僕、ラップトップが大嫌いなんだ、マジで。使うのは好きなんだけど、個人的にあれにステージの居場所は無いね。あの明るい光を見つめるのはまるで火の中に突っ込んで行く虫みたいなものだよ。

特に複雑な音楽だとね、コンピューターを使うといつも何か間違えてしまう可能性があるんだ。シンセを買って電源に繋げればそんな事は起きない。他に何も心配しなくていいんだ。ただ腰を据えて、自然にしてれば良い。

それに、ライブ演奏はDJするのと違う手順をとる。DJはもっと電車に乗って、到着、特に知らない男とあって、特に知らない場所に行く感じ。実際に演奏するのが最高のパートなんだ。24時間初めて会う人々と繋がる事が出来るからね。良い事も多いんだけど、ただ自分自身の時間がたくさんあるだけなんだよね。じっくり考える事が出来る。そう言う時、他に何もする事が無いときは歌詞を書くんだ。多分こういう瞬間って僕がちょっぴり、悲しくなる時なんだよね(笑)。






PF:多分反復してるからだと思いますけど、あなたの歌詞は誰かが身体的に動いている時に書かれた歌詞の様な印象を受けるんです。


JB:"Lindisfarne"以外、アルバム曲全ての歌詞は電車や地下鉄、飛行機といった乗り物の中で書かれたんだ。飛行機が一番変なやつだったな。なぜって、歌詞を書いている時、喉が実際に乾いてしまうんだもの。歌ってる事を想像しながら書く事さえできないんだ。


PF:旅行と言えば、アメリカについて話しましょう。地形的にかなり大きい場所で、イギリスみたいに一つのシーンで安易に利益を得る事はできないですよね。


JB:インターネットがあるけどね。つまり、僕に世界征服の希望はないんだけど、インターネットのおかげでアメリカのみんなが僕の音楽を気に入ってくれたら、そこでライブしたいんだ。James Blakeの空飛ぶサーカスじゃないよ。もっと、「この音楽を楽しんでくれてる人がいるはずだから、そこに行って演奏しよう!きっと良い時間になるはずさ。」って感じ。でも予定はない。僕のポジションにいるたくさんのアーティストが多分どの国に行こうかスケジュールが決まっているだろうけど、僕らはイギリスでやった事とおなじようにアメリカで仕事(プロモーション)をしているからね。全部自分たちの手でやるんだ。


PF:アメリカでの戦略は、もっとインディー音楽ファンに好まれるアーティスト、例えばAntony and the JohnsonsやBon Iver、ましてやFeistなんかと連絡を取ってみるのがいいのかな、と思いますけれど。


JB:ぼくが彼らにとって重要な意味があるんであれば、見逃しはできないな。Antonyみたいな人に比べられるのは光栄な事だ。あとFeistとBon Iver?素晴らしい仲間に入る事になるね。彼らは驚くほど素晴らしいし、驚くほど良い人たちだよ。







PF:Feistと何かコンタクトをとりましたか?


JB:いや。彼女は一言二言いっただけだった。[ガーディアン紙によると、「FeistはBlakeのマネージメントのからのE-mailに、彼女はBlakeのカバーを一度も聞いた事が無いと答えた。」そうだ。] 実際そんなに気にしてないんだけど。僕がじっと考えるようなことじゃないしね。例えば、PortisheadのGeoff (Barrow)が僕の事について何かコメントしたんだ。[Barrowは最近のツイッターで、「この十年はダブステップがパブシンガーと出会った年として記憶されるんだろうかね?」とつぶやいている]でも、他のアーティストについて反対の意見を出すのは僕が考えるようなことじゃないし。プライベートでは多分何か言ってきただろうけど、アホ臭いツイッターなんかでたくさんの人に言ったりは絶対しないよ。(ツイッターを通して)彼がどういう人間か分かると思うけど、彼のつぶやきで僕の事が分かりはしない。僕は彼の視野に入ったってだけで嬉しいんだ。でも、アメリカに戻ってこのような人たちに囲まれて、もし12インチのボーカル無し、コーラス無しのビートが乗ったレコードを出したら、もっと大きいニュースになるだろうね。今すぐしようと思っている事なんだけど。


「Joanna Newsomをプロデュースするかって?多分しないな。」


PF:もう新しい音楽をほのめかしていますね。次はどうするか、おおまかなプランはあるんですか?


JB:絶対に一つか二つ発表したい。でもいつになるかは決まってない。


PF:12インチをいくつか?


JB:うん。ごめん、このビートがなんなのか解明しようとしてるんだ。[BGMの音楽について言及している]。良いプロダクションだね。こういうレコードを普通聴いたりしないんだけど。[Timbalandプロデュースの50Centのシングル、"Ayo Technology" ] 

次のリリースはボーカル無し、ビートのみの12インチ。一年前ぐらいから僕が掘り下げて行きたかった場所から出るよ。今までは勇気がなくて出来なかったんだ。とても濃くて、とても目が下がる代物だよ。ちょっとパターンの研究に夢中になってしまって、それで二つの曲から出来てるんだ。一つはちょっとうねった不安定な感じで、もう一つのはぼやぼやした感じなんだ。


PF:いつかだれかのためにプロデュースをしようと思いますか?それとも自分で歌えばいいからそれはど意味の無い事ですかね?


JB:まぁ、僕はJoanna Newsomのように歌えないからね。でもJoanna Newsomをプロデュースするか?多分しないな(笑)。僕はこういう「あ、あのプロデューサーを採用しよう。」っていうアプローチを知りすぎているから。なんかプロデューサーとアーティストのお見合いの季節、みたいなのが起こってて僕はそういうのが好きじゃないんだ。


PF:わたしがこの質問をしたのは、答えがあなたがどのように自分をみているかを反映しているからです。あなたは自分の素材を書くシンガーソングライタータイプですか?それとも違ったサウンドを形作ることにもっと興味をもったプロデューサータイプですか?


JB:僕は自分の事をそのときの気分によって違った風に捉えてるんだ。博学者になるってことではないけどね。僕の音楽プロダクションはピアノを弾いていたり歌っているときほど、自然な感じでは無いと思っている。だから、あまり加工されていない曲の方がこの先もうちょっと記憶に残る物になっていくんだよ。


(完)


原文:Pitchfork Interview/James Blake



ちなみにこちらが過去のEPからの二曲です。James Blakeの進化の過程、キャリアの展開がよく分かります。











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