2011年6月22日水曜日

Bon Iver Interview Part IV


Part IV












PF
:あなたは以前にもソロで作品をだしていますが、プロジェクト毎に名前を変えていますね。For Emmaの成功のプレッシャーで、Bon Iverの名前を辞めて新しい事を始めようと考えたりしましたか?

JV:うん、でもそれと同時に僕はこのレコードをBon Iver, Bon Iverと名付けたんだ。半分はセルフタイトル、もう半分は何か変な物。何故かと言うと、僕はBon Iverは何かを続けていくチャンスだと捉えてるんだ。雰囲気を変えようと多くの人たちがバンド名をかえる。だからDeYarmondは解散しなくてはならなかったんだ。シーンに変化が必要だったから。Bon Iverでは、それをしなくて済む、大きい機会だと思っている。このブランド、ブランドって言葉大嫌いなんだけど、それをオープンにすることができるんだ。自分がどんな人間か恐れずにすむんだ。将来のチャンスを見据えることに恐れなくてもすむ。進化をいつも心地よく思っているから、シーンを変える必要はない。ただ自分自身であればいいんだ。

PF:なにがあなたに最終的にそれを気づかせる手助けをしてくれましたか。

JV:For Emmaの成功で、昔を振る返る事をする必要がなくなった。その以前は、ほとんど諦めていたんだ。Bowerbirdsが演奏しているのを覚えていて、その時僕は「すごいな、僕ダメなんだな。」って思っていた。自分が全然特別な人間じゃないと感じたんだ。だからFor Emmaを作ったのが、椅子に座って、自分のために美しい何かを作る最後のチャンスだった。

あのアルバムの反響が僕に本当の姿を見せることが必要だったんだと自信を与えてくれたよ。あのアルバムが成功のチャンスだと思ったからじゃない。あのアルバムは実際に僕に何か意味を与えてくれて、実際に自分のために作っているような感じがしたからなんだ。もし君が一人で成功しなかったら、自分のありのままの姿を見せるクリエイティブな作品を作る事で生まれる幸福は、君の人生の大きな第一歩になるはずだ。

PF:このアルバムにはあなたの人生を反映したたくさんの具体的なものが登場します。例えば"Holocene"ではBradとPhilCookが住んでいたウィスコンシンの家を言及したり。これらはどのように繋がっているのでしょうか。

JV:一つのアルバムにたくさんのイメージがどうやってフィットするのかは確かじゃないけど、それらは一つの決まった場所から生まれている。"Holocene"はいい例だ。歌詞の二つ目の節はEau Claireで過ごした年月のことだけど、最初の節はそのときにあった暗い時間の奇妙なアマルガメーション(融合)だからね。その節はミルワーキーを舞台にした。暗くてビールが飲まれてる場所だからね。あそこではあまり時間を過ごさなかったけど、暗い時間を比較するいい比喩になる。ハロウィーンのときミルワーキーの大人は何すると思う?あいつらはへろへろに酔っぱらって、子供時代のことを忘れようとするんだ。"Holocene"のビデオ撮影のアイディアを考えていたんだけど、大人の「トリックorトリート」をやるのがいいと思う。子供達が昔の夢を忘れて遊んでいるような感じの。かなりダークだよね。最後の節は二つのクリスマスの前に飛ぶ。吹雪のなかNate(兄弟でマネージャーの一人)と過ごして麻薬を吸っていた。僕が今まで書いていた曲より主観的じゃないけど、コングロマリットな感じでうまくいってる。

PF:あなたが名声を友達のためにうまく利用しているのを見るのはとても刺激的です。あなたとNateが買った新しい農家をスタジオに改築して、自分のためだけではなく、他のバンドたちにも提供しています。

JV:あの家はまるで僕と同じ事をしている友達があつまるサマーキャンプみたいだよ。僕らは子供の時に見た夢を追いかけ続けて、一つの場所に引きこもってレコードを作ってる大人なんだ。これでいいんだ。全然普通じゃないけど。作業している時に、ここでは住めないと気づいた。僕の家じゃないんだし。僕はそれと別にEau Clairの小さいアパートに住んでいるんだけど、僕よりでかいことの一員になることは気にしないよ。

"Irony is based on insecurity; people like to not like things because they don't understand them."


PF:Gayngsはよく不誠実だとレッテルを貼られていますし、このアルバムの最終曲"Beth/Rest"にもHornsbyサウンドを使う事で同じレッテルを貼られるリスクがあるように思います。なぜ人々はなにか不確かで、期待していないものを聞いた時に、皮肉を混めた説明に走るのでしょうか。

JV:簡単に言うと、皮肉は不安から生まれるものだからだよ。だれかが何か皮肉な事をするのは、彼らが人気があるものを罵しりたい時や、何か障害を課せられているからだと思うな。僕は何でほんとは好きじゃないものを作り直そうと時間をかけるのかが理解できないんだ。Gayngsは楽しい空間を掘り下げていて、「楽しい」と「可笑しい」の違いははっきりしているよね。Olsonはしっかりと誠実に、変なAM Radioにハマっていて、それが彼のプロジェクトの発端だったんだ。僕はフォークシンガーやギターを弾く男のシーンにいるけど、彼は人からジョークだと呼ばれるシーンと対処しなくてはならない。もっと大変だよ。Gayngsは皮肉なんかじゃない。僕たちの心にあるものなんだ。みんなは理解できないものを嫌いたがる。

でも、Gayngsがやったのと僕が"Beth/Rest"でやった音楽には大きい違いがある。あの曲のゴールはもっと音を組み立てることだった。あのキーボードの音色はこのアルバム全体で鳴っているけど、"Beth/Rest"では男がアコギで歌っているようにシンプルに奏でた。あれはKorg M1なんだけどね。"Beth/Rest"の歌詞は本当に気に入っている。14歳の純粋な時の歌詞で、超複雑な事は言わないように心がけたんだ。僕に意味がある事を言うようにしている。

PF:"Beth/Rest"、誠実な曲なのですが間違って皮肉だと印を押されたり、「どうでもいい、この曲の音が好きだから」と思われるか心配した事はありますか。

JV:後半の方、でもその事実に誇りに思っている節があって、不安になっている自分を角に追いつめる事ができるよ。でも正直どうでもいい。あの曲が大好きなんだ。あの曲の作業している最中泣いたよ。それが何を意味しているのか、どこからこの感情が生まれるのか、何で音楽のために泣くのかわかる。それは皮肉じゃないんだ。悲しかったり、嬉しいから泣くんだ。そしてあの曲は、僕にとって嬉しいものなんだ。これが僕のキャリアの最大の声明になるとは思っていない。まだまだ学ぶ事も成長する事もあるから。でもこのレコードの最後の曲にしたのはとても気に入っている。いい感じだよ。

その特別で圧倒的な感覚を初めて音楽から得たのは14歳の時Michelle MaloneとJoan BaezがいたIndigo Girlsを見た時で、彼女達はストーンズの“Wild Horses”をカバーしていた。それを聞いた五秒で成長したふうに感じたね。僕の人生で一歩踏み出した瞬間で、僕に音楽を絶対に諦められるはずがないと知ったんだ。宗教や皮肉と全く関係無しに、音楽が僕にひれ伏しているような感じがした。それが僕がやろうとしていたことだった。

【完】

原文→Pitchfork Bon Iver Interview

Part I
Part II
Part III


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