2011年5月18日水曜日

Kate Bushインタビュー



















30年以上のソロで先進的な音楽活動の後、Kate Bushはついに後ろを振り返った。多分。英国のイコノクラストの新アルバム、Director's Cutは1989年発表のThe Sensual Worldと1993年発表のThe Red Shoesの楽曲を新しいボーカルと、ドラムをオリジナルの録音にミックスしたリメイク作品だ。氷のような、ほぼアンビエント作品と変化した彼女の代表曲"This Woman's Work"などを含む何曲かはまるごと全て再録音されている。よくある年老いたポップスターがリイシュー版を発売するサイクルを覆すのはKate Bush自身に任せておこう。(Director's Cutは5月16日にUKで、5月23日にUSで彼女自身のレーベルFish Peopleから発売される。NPRでフル視聴も今している。)


彼女はUKチャートを1978年“Wuthering Heights"で賑わせた。初の女性アーティストとして英国No.1を飾り、同時にミュージックビデオの先駆者でもあったが、彼女はスポットライトから身を引いて行った。1990年からは作品を2枚しか発表していない。しかし、現52歳、歌手、作曲、プロデュース、ビデオ監督全てをこなす彼女は現在新たなアルバム製作を行っている。詳細はまだ内緒のようだ。Bushが1979年からツアーをしてないのは有名な話だが、いま(Justin Beiberのような)“Never Say Never"形式のライブパフォーマンスを考えている。もしKate Bushが新曲を発表しなくても、舞台に現れなくても、彼女の残した遺産や影響は偉大だ。今、後継者であるFlorence and the MachineやBat for Lashesは彼女が残したユニークな不思議ポップが無ければ存在しなかっただろう。

僕らは最近Bushとインタビューをした。彼女は君が望んでいるように暖かく、賢い女性だった。彼女は新しいリリースのこと、モダンテクノロジーの曖昧さ、ピエロの気持ち悪さなどを話してくれた。


Pitchfork (以後PF):あなたは過去の作品を振り返る事にあんまり時間をかけないタイプのアーティストだと思っていました。Director's Cutで昔の曲を振り返ることでなにか自分との闘いが生まれましたか?


Kate Bush(以後KB):そんなのいつもよ(笑)。私、自分の昔の作品を全く聞いたりしないのよね。最後にThe Sensual Worldを全部聞いたのは多分作り終わった直後だけ。The Red Shoesは十日前リメイクしたばかりなんだけど、作品が出来てから初めて通して聞いたわ。何度かラジオで私のアルバムからの曲が流れているのを聞いたり、それか友達が何かかけてくれたりはするんだけどね。多くの人は自分の昔の作品なんか聞かないでしょ?いつも製作に長い時間をかけていたから、聞き直す事に時間をあまり割かないのよね。


私は自分が作った全てのアルバムに欠点を見つけることができるけど、それってアーティストにとってはあたり前の事なのよ。人間であるって大変な事よね。”

PF
:もしThe Sensual WorldThe Red Shoesを本当にぜんぜん聞いてこなかったなら、どうしてリメイクしようと考えたんですか?

KB:ここ数年、両方のアルバムから曲を選んで、今の自分の音で作り直したいと思っていたの。アルバムが出たときは、本当に満足していたのよ。私が出来るベストの形じゃなかったらリリースなんかしてなかった。The Red Shoesで私が実際に聞いたいくつかの曲はちょっとエッジが効いたサウンドだった。たぶんそのときみんなが使っていて、今も愛用してる人がいるデジタル機器のせいだろうけど。でも私はいつでもアナログのファンだったし、あのアルバムの曲を暖かいサウンドにしたかったの。でも、The Red Shoesを全部聞き直すのも興味深かったわ。自分が思ってたより悪くなかったんだから。私は自分が作った全てのアルバムに欠点を見つけることができるけど、それってアーティストにとって当たり前の事。人間であるって大変な事よね(笑)。二つのアルバム両方に野心的なアイディアがたくさんあったから、それを基盤に制作したわ。また最初から全て作り直す必要が無かったから、正直自分のための良いエキササイズだった。この古い曲達だけれど、私にとっては新しいレコードなの。


PF:The Red Shoesはコンパクトディスク(CD)が普及し始めた1993年に発表されました。このフォーマットに従って製作を?


KB:そう、その通り。ビニール版ではなくCDとして具体的に製作した私の初めての作品だったはず。Red Shoesはちょっと長かったわね。...それもビニールからCDへ変化したことの問題の一つだった。実際多くのアーティストにストレスを与えたと思う。CDだと、突然人々を落胆させたくなくなるから、お金だしてくれた分頑張らなきゃって思うのよ(笑)。The Red Shoesに満足できるような曲は無いように感じてた。でももしまた自分が作り直せるんであれば、あんなに長くしないわ。ビニール版の素晴らしいところは、もしきちんとしたカットを作りたかったら、実際それぞれのサイドに最大20分しか録音できないことね。だから厳格なルールがあって、私にとってもそれが当たり前だった。それに、それぞれのサイドに違ったムードを作る事も出来るのが良かったわね。


PF:それもうまくいったんじゃないでしょうか。あなたがThe Red Shoesの次のアルバムAerialを発表した2005年にみんなまたビニール版を買ってましたから。


KB:(笑)それはどうかしら。復活はあっただろうけど、人々が音楽を買うメインのフォーマットでは絶対ないでしょ?2005年はそれがまだCDだった。今は実際にCDを買ってもらえる事自体ラッキーだと思う。






PF:視覚的に、昔と違って最近のアルバムでは自分の顔をカバーに載せないんですね。何でですか?

KB:前はそれがレコード発売の伝統的なアプローチだったし、最初の二枚を作った時にはそんな質問自体馬鹿げていた。アートワークやアイディアに私も関わっていたけれど、顔を載せる事はみんなやってたことだった。でもAerialでは、実際に音楽ともっと繋がったアートワーク作りが出来るチャンスがあると感じたの。どんな音楽なのかほとんど視覚を通じて知る事ができるものをね。子供の頃アルバムを買いに行くときに、いつも楽しみにしていることだったわ。こう、ビニール版を買う時って、かわいらしい写真が大きいサイズで見れて、普通歌詞を読むときもなんかアーティスティックな感じがあるのよ。

DonovanのHMS Donovanのアルバムカバーは個人的にすごく印象に残ってる。素晴らしいアルバムで、かなりマジカル、彼のベストの一つね、アートワークはすごく想像的で、音楽ととてもマッチしていた。長い時間かけて見つめたりしてたわ。また言うけど、だからCDへのシフトがおこった時はちょっと残念だと感じた。だって便利でコンパクトなディスクが出たけれど、視覚的なインパクトは価値あるセンスとともに小さくなってしまったでしょう。12インチの巨大なディスクを持ってるのは良かった。いい匂いさえしたのよ。


PF:まだ新しいアルバムを買ったりします?


KB:そんなにしないけど、時々は。最後に買ったのはElton John/Leon Russelのアルバム(The Union)。いいアルバムだと思ったわ。

(続く)


原文:http://pitchfork.com/features/interviews/7968-kate-bush/


Part II

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