So Much Of The Sweet Pain
Oct 17, 2011
Words by Sean Moeller
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi
Illustration by Johnnie Cluney
Recording engineered by Mike Gentry
Translated by Teshi
この二日間、僕にRichard Bucknerと同じように物事を考えようと思わせた人はほとんどいなかった。また、彼と同じような感受性で物事を感じようと思わせた人もいなかった。何故かは簡単には説明できない。彼は別れのキスと同じように僕らを痛めつける--これっきりで最後だと自分でも察してしまうキス。それは僕らが『最期の痛み』と関連付けることができるものだ。しかしその中にはあらゆる『生』が存在している。たとえ最期だとしても、そこには何かエネルギーに満ちたものがあり、その苦しみから芽を出そうとしている。まるで不信感が掻き立てられ、この瞬間「いつか再び君達を笑顔にして見せよう」という予感があるようだ。それは暫しの休息の後、唇が乾いたところで僕らの目の前でピシャっと終わったりはしない。終わりは僕らが全く予期していないときに突然やってくる。僕らが昔手にした何か素晴らしいものに着飾りながらやってくる。それは元々抱いていたイメージと全く違うものだった。昔の方がもっと良かったよ。
Bucknerが物事を観察し作曲する方法は孤独な旅人や放浪者がするのと同じ方法だ。ブンブン唸りをあげて、動き回りながら、独房監禁の先送りされた不快さに同情し、それに応えることが出来る。。肌を震え上がらせる恐怖は決して消えることがない。君の側にある誰かの肌の温かみを感じる合間に堕落へ導く横穴が尽きることなく並んでいる。腰を据えて聴いてみると、Bucknerの曲は怖ろしい。その怖れは、彼が僕らが自分でも気付かなかったような心配や不安に目の前で直面させるからだ。あるいは心の奥の柔らかい部分、自分の一番脆い部分に常に隠れていると思っていた感情と対峙させる。手に届くものだけを口にして、大きい力に征服されないように最善を尽くしてきた。けれど、Bucknerはその大きい力を粒子の様に小さいものとして差出し、僕らが一番参っているときや凹んでいるときにやってくる。彼は最悪な気分のときに、最悪な瞬間を僕らに思い出させるのだ--寂しそうな鳥の鳴き声、黒焦げになった残りの物の美しさ、そして炎。
彼はカウンセラーのようだ。まるでかなりつらいことを経験した友達のように聞こえる。もし誰かが僕らを導いてくれるとしたら、彼しかいない。彼は冬の毛布。彼は冬の厚めのコート。突き刺さるような風から僕らを守ってくれる。彼は
「一番寒い時間に体は震え、まだ気にしないようにしている」
と素晴らしい最新作、"Our Blood"に収録された"Gang"という曲で歌う。まるで心の一部を切り取ったみたいだ。ほとんど口にしないけど、これはいつも頭の隅で考えていることだ。彼はよくこの手法を用いる。部分的に心を打ち明けて、彼の魂に刻まれた言葉を前に押し出すのだ。彼のベストソングの一つ"Willow"にて彼は昔を振り返り、完璧な葛藤で曲を終える。反対の方向で誰かにそれを思い出せるか尋ねている。彼は歌う。
「まだはっきり覚えている/部屋の窓が思い出させてくれる/君が部屋の光がどこからはいってくるのかしらと考えているところを見たんだ/ドライブにでも行こうよ/秋はもうすぐだよ/でもいつもとおなじ/柳が月にお辞儀している・・・/僕はここにいたらいけないんだ/でもどうしたらいい?/君は思い出せるかい?/君は思い出せるかい?/君は思い出せるかい?」
最後のラインを三回繰り返し、Bucknerは毎回抑揚を変えて歌う。特に最後の一言を一番大きな声で...そしてこの録音ではため息をつき、もうどうしようもならない消滅した希望、脆弱な希望をあからさまに表現する。何を思い出すべきかわからなくなる時がある。しかしBucknerはそれがどれだけ大変だろうと僕らが全部思い出すことを願っているようだ。普段受け入れることができるよりも、もっと優しい痛みに僕らをもっと導くことだろう。じゃあそれでいいよ。
Richard Buckner Debut Daytrotter Session
Richard Buckner Official Site
試聴・ダウンロード
セットリスト
- Welcome to Daytrotter
- Gang(Our Blood収録)
- Willow(Our Blood収録)
- Thief(Our Blood収録)
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