2012年1月28日土曜日

AM & Shawn Lee


We Just Sip The All Of The Weather

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi

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ある決まったバンドや作家達が、僕に天気についてどれほどブツブツ文句を言ったり、深く考えさせたりするのは怖いものがある。確かに、これはただの個人的な欠点だったり、何か僕が非常に恥ずかしく思うべきものなどではない。かなりの確立で起こっていることだ。あの曲やこの音の聞こえ方は、木だったり、開け放たれたスペースだったり、立ち退きを命じられた夜の時間のハイウェイをでかいソーダとつまみのビーフジャーキーを持ち込んでドライブしたり、がやがやと忙しい街や、僕らが常に引き篭もっていたい場所から外に出たときの風や太陽が身体に当たる感じ、それらを思い起こさせる。もしかしたらこういう「衝動」は自ら生まれるものなのかもしれない。何故って、それが好きか嫌いか関係なく、僕らは天気に囲まれているのだから。天気があっちこっちで飛ばしてくるわけじゃない。でも、ここら辺ではあまり影響はないみたいだし、あそこでは絶対に何も起こらない。イエスかノーか。素晴らしいソングライティングもそのように生まれる。とにかく身体に完璧に作用する。全身マッサージか、あるいは全身を動揺させるものか。どっちも悪くないよ。君が今いるムードによって変わるんだ。

今日はAM & Shawn Leeをリピートで何回も何回も聴いている。真のリピーターがたどりつく天国。午後の天気が全てを包み込むように、瞬く間に大雪へと悪化するような、そんな日。厚い雪は、無慈悲にもどんどん積もっていく。積雪は始まり、まるで絶対に落ち着くことがないみたいにどんどん降る。雪は本気で癇癪をぶつけて来て、みんなはその中を滑りながら、事故で死なない様に気をつけながら、今日の天気を呪っている。どうすることもできないし、とにかく君自身も、その他全てのことも雪に支配されてしまえばいいさ。

AM & Shawn Leeの音楽は、僕らをこういう素晴らしく没頭出来る物の中へ連れて行く。僕らはそこで何かを夢中になって探して、それが一体何なのか細部まで理解しようとする。彼らのアルバム"Celestial Electric"はまるで雪嵐の中へ乗り出そうとしているみたい。何十もの雪のかけらが辿る道を一度に追いかけて、視線が何方向にも広がって行くのに気付く...でもそれも良い気分だ。それは雪の中に飛び出ていき、僕らを包み込ませる。そこで、冷たくて、でも温かくなったほっぺたがどのように感じるか、雪のかけらたちがどれほど必死で働いて、仕事をほとんど終えて、あまり寒けが身に染みないようにさせているかを感じている。AMとLeeはこのような複雑で、グルーブに満ち、全てがオーガニックで狂ったように天才的な、音楽的コラボレーションの関係を完璧なものとした。この男達は、一つの音楽に対し人々が反応するにはどのボタンを押したら良いか完璧に理解している。それは蜂の大群、弾丸、熱線、熱い足、柔らかい外観に裸足、上半身裸、高いドリンク、日焼け、風焼け、そして愉快な感覚。それがすべて一緒になって、一気飲み出来る飲み物に変わる。僕らはそれに唇をつけて、代わりにすすりながら、その全ての質をゆっくり味わうことにする。

AM & Shawn Lee Official Site
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セットリスト

Welcome to Daytrotter
Somebody Like You
Dark Into Light
City Boy
Winter Sun

2012年1月24日火曜日

Star Slinger


Welcome To Your Own Kick Butt Time, The Creeping Of The Illusions

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi





























Star Slingerは僕らを結構長い間続いている話し合いの中へ連れて行く。僕らは、自分達のアンテナがその時起こっている全ての話し合い出ているシグナルを察知することの出来る部屋へと足を踏み入れる。そのシグナルがどれだけソフトなものかハードなものか関係なく。彼が音を繋ぎ合わせ、サンプルや違うムードを忍び込ませながら演奏している間は、僕らはより知覚を刺激されることになる。UKのマンチェスターで活動するヒップ・ホップ・プロデューサー、Darren Williamsは一陣の娯楽を紡ぎ合わせる。それは、僕らがついに我を失って、老衰し、それでも気楽に子供のようになる時と同じ気持ちを感じさせるものだ。よくあることだけど、若いときは、絶好調な身体や機敏さをほとんどフル活用できない。自意識過剰にも形だけは真似して、自分の部屋にこもって、ひっそりと酷いダンスの振り付けを踊って楽しんでいることなんか分からない。それでも、絶対に誰にもそのことは知られちゃいけないし、見られてはいけない。それって、盛りの時なのにひどい時間の無駄。でも時は遅し、僕らは大人の市民として存在し、その生き方をするに違いない。それだったら早い所我を失った方が絶対に良い。我を取り戻す方法を朝が来るまでに取り戻す場所を知っている限り。そうすりゃ僕らが心底嫌っている来週の仕事にも間に合うでしょ。

ここでWilliamsが演奏したセットは焼けるようにホットで、そこが様々な幻想が忍び込むポイントとなる。君にシアトルスーパーソニックスのショーン・ケンプ(バスケ選手)のナンバーが入ったジャージをまた引っ張り出したい気分にさせる。そう、興奮しがちな高校生の時のお古。君にバスケット・コートに行きたいと思わせる。かつて高いと思っていたジャンプ力も無くなったって分かってるけどさ。(いやみったらしいコーチは一回も僕のジャンプ力に気付いてくれなかったな。そうしたらもっとゲームに参加できてたのに。)彼の演奏は、君に小熊を売る場所を探すことの合法性を検討することも嫌と思わせない。君は小熊を大人サイズになるまで世話して、そいつを深く沈みこむ枕代わりに頭をよせて、再放送の"Deadwood"のエピソードを観る。彼の演奏は君に間違った記憶を呼び起こし、君は実際よりもかつてはたくさん首になったと信じてしまう。君はクラスの同年代のホットな女の子達に話しかけ、彼女達も君のことはまあまあ良いと思っている。その時は二人の関係ってのはうまくいかないわけで...折りよくも彼女はすでによくある束縛的で、丹念な高校時代の恋愛関係を送ってるみたいだから。

Star Slingerは君がただ全てを楽にして、彼の作り出すコラージュの恩恵により、突然自分自身や、自分が成長した姿(たとえそれが何ともなくても)を最高と思わせる熱狂の場へ巻き込んで行く。君は腰をあげて動かし始める。君は幻想を愛し、何年も手に入れようと思っていた最高の時間を楽しむのだ。
Star Slinger Official Site


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セットリスト
Welcome to Daytrotter
The Daytrotter Set

2012年1月23日月曜日

The Stepkids


White Lights, White Heats

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered and mastered by Matt Oliver, Translated by Teshi
























君も絶対、なかなか興奮が冷め止まなくて、君の体の中のもの全てにタイムス・スクエアやラス・ベガス・ブールヴァードの(大騒ぎの)血がまだ流れているような夜に詳しいはずだ。枕に頭を乗せて、目を閉じると、誰か/何かが君にプレッシャーをかけているような感覚を覚える。そして君は長い間寝そべって、目を閉じたふりをした瞼の奥では完璧に目覚めている。眠りたい、眠らなきゃ、でも、それが出来れば幸せものさ。一時的な不眠症の役を演じなきゃいけないのかな。君はただ時を紛らわせて、意識はどこかに辿り着ければと考えている。朦朧とした感覚がキックインして、サンドマン(眠りの精)がもう少し先にいる。でも気付いてみれば時はすでに午前四時をまわり、もう寝入ることなんて出来ない。コネチカットのバンド、The Stepkidsは、こういう夜が僕らの頭の中にこっそり入ってきて、神経を震わせてイライラさせるときによく頭の中に聞こえてくるサウンドだ。それは僕らを支配する感情の波を弛むことなく旋回し、転がり込む青白い光、白熱のよう。休息をとるのも嫌じゃないけど、頭に聞こえてくるサウンドも、The Stepkidsのひねくれていて、フォーキーなサイケデリアの傑作セルフ・タイトル・デビューアルバムを聞くのも悪くない。この作品は長い間頭の中で燃え続ける。

ベーシストのDan Edinberg、ギタリストのJeff Gitelman(彼はかつてアリシア・キーズのツアー・ギタリストだったが、Stepkidsでの活動だけに集中するために辞めた)、そしてドラマーのTim Walshはヒプノティックな楽曲のアレンジ、数々の折り重なった展開とセクシーな挑発のパルスを吐き出す。彼らが僕に眠れない夜を思い起こさせる理由は、彼らは時々脳内忍者(Brain Ninja)について歌っているけど、どうも女性の髪の毛がベッドの上でどう広がるかとか、彼女に凄く近づいた時に、どんなに良い香りで、塩っぽいか、これを歌っているみたいだからだ。君がまだ眠られないのは、頭の中に純情に不純な考えが浮かんでいるからで、骨までそれが響いているときに誰が寝られるっていうんだ?彼らはオールド・スクールのフィラデルフィアのソウルを放出し、それはまるでPhiladelphia International Vaults(ソウルの老舗レーベル)から登場したよう。フリーラブを提唱する60年代のマリワナ中毒の、可愛らしいヒッピー娘たちと同棲しようとする考えを持ちながら。歌は頭の中にロックされ、緑と紫の輝きを放ち強いグルーブを生み出す。それが僕らを夜の中に、パーツに、全ての中に飲み込む音のシャワーを生み出しているのだ。
The Stepkids Official Site

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セットリスト

Welcome to Daytrotter
Suburban Dream
Brain Ninja
Shadows on Behalf
La La



2012年1月16日月曜日

Laura Marling (Part II)

















Part I

彼女はそういう戦場のどこにもいないし、彼女と、彼女の最新作の最も素晴らしい質を高めているのは闘いの蔓延を確認することなのかもしれない。彼女を消費させる狂気と孤独に対する我慢。彼女がワインを呑みながら作業している時、彼女がグラスにワインを注いで、まるで蝋燭の光のように部屋、テーブル、そして家具を優しく柔らかく包みこむ声が低く調子が保たれる時、その我慢が彼女をいつもよりちょっと顕著になる。柔らかくて黄色い光が歌声と共に空気を包み込んでいくのを見ることが出来るだろう。言葉自身に命を吹かせているのだ。彼女の歌っているものが欲しい。彼女が最初に書いた時に感じた、その時と全く同じ気持ちを感じたい。そう、彼女が初めてその言葉を口の中で転がして、最高で、飛び切り悲しい音を作り出したときのものを。

20代の若い女性も早熟になれるのかな。彼女はまるで長い人生を生きてこないとわからないような全ての感情を知っているみたいなんだから。彼女がそれぞれの思慮、そして深淵の悲しみとの厚い関連性に到達したプロセスは不道徳なものに違いない。僕らが知る必要の無い何かに決まっている。彼女はきっと腕と膝の肌を剥いで、その下に最初の層が現われる。血を綺麗にふき取ったら、その次に2番目の肌の層が現われる。それはしわしわで、肝臓が見えていて、皮膚の下で進行する「老化」をまじまじと証明している。僕らは耳を澄ます。角が立った祖母にそうするように。あの賢明な年寄りの鳥は、10,000回もディナーを準備して、8人も子供を養い、彼女が知らないこと、また痛々しいほどに親密に知っていることを僕らに話してくれる。Marlingは歌う

「私と時間、はるか昔に飛んでいく/私は子供で、いつだってそれが何でか知っていた」

まるで彼女は永遠に年寄りみたいに。まるでいつだって年寄りじゃなかったみたいに。

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プレイリスト

Welcome to Daytrotter
Don't Ask Me Why
Sophia
Flicker and Fail
Night After Night




Laura Marling (Part I)


That Known So Intimately It Hurts, It Howls

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Shawn Biggs, Translated by Teshi

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Laura Marlingは君に細心の注意を要求する。彼女はトムスシューズ、そして灰色のスキニージーンズを身につけた脚を、くるぶしの近くで交差させ、目の前に設置されたマイクスタンドに立つ。普通の人のようにカジュアルで、安心しているように見える。彼女は、彼女の歌を聴くために目の前に集まったお客さんをからかって、「この指に嵌めてる指輪は結婚指輪なんかじゃないんだから」とか、「カリフォルニアのSalinasなんて言ったこと無いわ」とか説明している。彼女は君に一言一言ちゃんと聞いてちょうだい、なんてせがむ必要はない。彼女の声色とかアクセントについてくるように何て言わない。君は彼女と旅に出る。どうもくだびれていて、驚くほど掻き乱しているみたいだけれど、苦いというよりは甘く、残酷にも検証された、人生についての物語を引き連れて。この物語に現われる人々は、感情に押しつぶされてしまった。多分彼女のことなのだろう。いや、もしそうだとしても、彼女ほどに美しく、そして完璧に感情に飲み込まれたものはいないだろう。

このイギリスの歌手--もともとはハンプシャーのEversley出身--は料理本を読み、きっと君は彼女が巨大な鍋の近くで料理していると創造するだろう。質素でコンパクトなキッチン。鍋から出る湯気とオーブンの温度が、この部屋をアロマが効いたサロナに変身させて、Marlingはお気に入りの木製のスプーンで出来上がった料理を味見している。彼女はスープを唇に運び、味見して一秒間静止する。「あと何が必要なのかしら」彼女はオレガノをもう少し加えて、その後に秘密の調味料を加えていく。"Don't Ask Me Why"という2011年の名作"Creature I Don't Know"に収録された曲でMarlingはこう差し出す。

「道を見失って凹んでいる私たち/どんな気持ちか分かるわ/間違っているってことも分かる、でもこれが現実」

彼女が見慣れた場所から生まれるこの歌詞。どこか鈍感で、おっぴろげで、答えに不足している場所。どこか多くの数の人々が夜に横たわる場所。彼女はなにか美しさを探している。何か痛みを少しでも癒すような美しさ。しかし彼女は自分が手探りしている感情が、そして彼女のことを手探りしている感情が何か決まったもので無いことを分かっている。
続く

Part II
Laura Marling Official Site

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