2012年7月11日水曜日
合理的な人のための音楽支援ガイド/合理的なバンドのための音楽販売ガイド
ここに挙げる翻訳文は、David Greenwaldという、Billboard紙、MTV、そしてLos Angeles Timesなどに寄稿するロス・アンジェリースのジャーナリストが自身のTumblrにあげた音楽消費者と制作者のためのアドヴァイスです。
Emily White Gateという、NPRでインターンを経験した21歳の女性が「私は初めから音楽を所有した事はありません。(I Never Owned Any Music To Begin With)」という記事をアップしました。「子供の頃から音楽は友達と共有するもので、ライブチケットやグッズの購入以外にお金は払った事がない。大学のラジオDJを勤めていた時は、レーベルからプロモCDが送られてくるから新しい音源には苦労しなかったし、ネットでラジオから曲をリップすることも出来た。大人になって、ファイルシェアリングがアーティストに与える影響に気づいたけれど、正直私も仲間たちもアルバムにお金を将来払うかどうかわからない。」
そこから派生して様々なディベートが引き起こされたのですが、それに対する返答とも言える記事がこの「合理的な人のための音楽支援ガイド/合理的なバンドのための音楽販売ガイド (The Reasonable Person’s Guide to Supporting Music/The Reasonable Band’s Guide to Selling It)」。です。
日本の違法ダウンロード刑罰化に対し今様々な意見が交わされています。ここでは音楽に特化してですが、アーティストをサポートするための興味深い提案が提示されているので、音楽消費者、そして制作者はぜひ読んで頂きたいです。
The Reasonable Person’s Guide to Supporting Music/The Reasonable Band’s Guide to Selling It
by David Greenwald
Emily White-gateさんのおかげで、皆さんがお金と音楽に対して意見を持ち始めた。その意見の数々を実際に、合理的な音楽ファンが振り向いて、8インチの長さのヒゲを撫でながら「あら、このバンド良いじゃないの。もっと音楽活動が出来るようにしてあげたいねえ。ちょっと投資してあげようかね」と、倫理的で、現実的なガイドラインに変化させてみようか。僕はバンドを愛し、彼らがバンド活動を続けられるようにしてあげたいと考えるただのジャーナリストだから、今から言う事は話半分に聞いてくれよ。
これは今でも続いているドキュメントなので、意見や追記などをgmail、rawblogへ。またはリブログしてくれるとありがたい。
まずは合理的な事実を認識するところからはじめよう。
・Travis Morrisonが説明したように、人々は昔から録音された音楽を盗んできた。音楽に対する「欲求」は大体自分たちが払える音楽の額を越えているから。とにかくこれは受け止めてほしい。じゃあ次。
・多くの「音楽パイレーツ」と呼ばれる人たちは実際には音楽にお金を払っている。そう、実にたくさんの額を。ヒドい違反者たちのハードドライブは、彼らが一回も聴かないような埋もれたアルバムで散らかってる。これは失われた売り上げではない。Whiteさんが例に挙げたように、問題は海賊行為ではなくて、購入の排除に対する海賊行為なのだ。もし君がそのような人を知っていたら、この記事を読ませてほしい。
・以前に増して、人々はYouTubeからSpotifyに至るまで、法で認められた別の手段に多くの時間を費やしている。これらのサイトもアーティストにお金を払っている--ほんのわずかな額を。Spotifyで無料に音楽を聴く事は(それが人類文明の歴史の中で音楽リスナーへの最高の出来事だとしても)実際にアーティストを支援する方法としては取るに足らないということを認めよう。こういうサービスはこの先少しは(現状の)解決になるかもしれないけれど、今この時点でそういう結果にはなっていないし、消費者がもっともっとお金を払うようにならなければ、何も変わらないだろう。Spotifyは消費者と投資家、そしてメジャー・レーベルの重役に対するサービスであって、バンドたちの支援ではないのだ。
・音楽制作にはお金と時間がかかる。極限までいけば、まあKreayshawnやGrimesみたいなのは、トラックやビデオを誰かの親のパソコン上で、二時間ほどで作る事ができる。もし君が「ネクストOK Computer」ではなくこういう音楽を求めているのならば、今すぐブラウザーのタブを閉じたらいいよ。非常にロー・ファイな音楽制作でも作曲に多くの時間を費やすし、リハーサルや機材---そこから必要な資金はスタジオ費用、エンジニアやセッション・ミュージシャンの採用、グラフィックデザイン、マネジメント、製品製造、Tシャツにライブ会場のスタッフ、出演契約を交渉するエージェント、挙げれば切りがない。Fugaziだってウェブにお金をはらった。あとさ、月々の家賃は?夜飯は?アーティストも僕らと同じニーズを持ってるんだ。忘れないでおこう。
・僕らに力強い何かを感じさせ、人生のサウンドトラックとなるような素晴らしい音楽を作る制作者たちは、プロフェッショナルとして受け止められるべきで、「超クールな趣味」を持った人たちとして扱われるべきでない。
・Chris Ottが述べたように、芸術的な生産物として、音楽はプライスレスなものだ。しかしデジタル化したものは、ワースレス(worthless=価値がない)なものだ。僕たちは芸術の支援者として、それを支え、維持するための意識的な決断をしなければならない。
ここまで言ってきたけれど、ここから下が僕がしようと思っていること。一緒にどう?
■一ヶ月ごとにお気に入りのアルバムを二枚買う。一番アーティストや彼らが所属するレーベルに直接利益を与えられる方法で。(アナログ盤もいいけど、みんなが得る利益の幅は狭いってことを理解しておいて)。既に持っているアルバムはAmazonでMp3を買ってすぐに消すことにしようかな。その方がCDを捨てるよりかは最低環境に優しいし。そうすれば一年に24枚アルバムを購入することになり、一年の良作をカバーするのには充分な数だし、人が一年間で現実的にじっくり聴けるアルバムの数もカバー出来る。
■もし最高のバンドが「お好きな金額で」というオファーをしている場合は、彼らがお願いした以上の額を払う。
■2枚の内、何を買うか迷った時は、もっとお金が必要なアーティストがどちらか考える--R.Kelly、悪気があるわけじゃないんだ。(※多分R.Kellyを買わなかったんだと思います(笑))
■もし一枚のアルバムを試聴サービスや落ちているヤツで5回以上聴いたら、それを買う事にする。もし同じ曲を試聴サービスや落ちているヤツで10回以上聴いたら、それを買う事にする。聴く回数は自分の好みに調節してくれたらいい。どうやって数えるか二つの方法がある。iTunesでスマートプレイリストを作るか、SpotifyのアカウントをLast.fmに同期させるかだ。Spotifyで、リスナーが一定の再生回数をヒットし、Spotifyが購入リンクをとバンドをサポートするためのリマインダーとしてのポップアップを追加した時に、支払いが劇的に増加するってことに確信を持ったんだ。
■もし何かを「計画」して買う場合は、その日のうちに買う。(24枚の)アルバムサイクルの間は、数が重要になるからね。
■僕たち(ジャーナリスト)の多くはブロガーで、アルバムやプレス用ライブチケットをタダで手に入れる。年度末のベストに選ばれるようなアルバムや楽曲はお金を払う。招待されたライブでは(もし良いもので、Tシャツもダサくなかったら)、購買コーナーでグッズを買う。
■ブログのエントリーや、レビュー、そして口コミが有益なものだけれど、実際にバンドへの資金提供に取って変わるものではないと僕は認識している。僕らは急速に『影響力を持った人々の世界』になってしまっていて、そこにはいわゆる僕らが「情報収集したもの」を援助(そして正当化)するものはいなくなってしまった。僕らにも責任はあるんだ。
消費者への提案にあたって、バンドへの提案もいくつか。
□フェアな金額設定を。$9.99はデジタル・アルバムにしては高すぎる感じだよ。$7.99ですらお金を払うのに楽に見える。僕らも苦しんでいるんだから。「or more(もっと払う)』オプションをつけたら良い。誰かもっと払ってくれるから。
□みんながKickstarterを好きなのは、ファンが君たちをサポートしたいという気持ちと、資金が直接制作過程に流れていくのを感じたいからだ。これに恐れないで。アホみたいな報酬で利益を得たりもしないで欲しい。もし君がどこにもツアーするお金が無いのであれば、自分のファンがどこにいるか見つけるべきだ。どうやって?ネットで聞きたまえ。
□何か特典を与えなさい。ライブ、B面、デモ、アコースティック・バージョン、ラジオのパフォーマンス、僕らはなんでも欲しいんだ。その特典をお金にしてもいい、でもお願いだから君から簡単に手に入れる事が出来るように。Bradford Coxは何でも配っているけれど、彼のキャリアは永遠に続くんだ。(公平のために言えば、彼は天才でもあるし)。
□君はバンドの一員。楽しくないといけない。君たちは僕たちを楽しませてくれるはずで、お金に対して不平を言っていると、一銭もあげたく無くなる。コストについて率直になるのはまた別の話。
□もし自分の作った音楽から利益を得ていないのであれば、それは自分のせいだ。それか広報の、レーベルの、とにかく誰か君のチームの人のせい。君はこれが事実だって事を認識しているはず。だって他のバンドは(利益を得る)手段を見つけているのだから。じゃあ何が違うのだろう。多分アルバムの制作に時間を使いすぎた?もっと影響力のあるブロガーを見つけて応援してもらうべきなの?もしかしたら君はムーディーなアートを作っていて、彼らはクラブ向けのポップミュージックを作っているから?もしそれが君のやりたい事じゃないのだったら、自分の期待値をそれ相応のものに設定するんだ。世界中の誰もが君のファンベースになりえるのだから、ファンを探し続けるんだ。自分の作品を誇りに思う事も全然最悪なことじゃないし、the Walkmenの前座を努めるようになって、解散してしまうのもいい。NBAの選手だってリタイアするのだから。
□リスナーが君の音楽を聴く事が出来て、お金を支払う事ができるような、まともなウェブサイトを持ちなさい。シンプルにするんだ(BandcampやSoundcloudなどに詳しくなろう)。寄付のボタンをつけよう。PayPalがあれば出来る。2分もあればセッティング出来るし、そこから君が得るお金はどんな金額であれボーナスだ。
□収入に見合ったことをしなさい。馬鹿げたものは買わない。クレジットカードの借金を積まない。ツアーに出ているときはアパートを又貸しする。ファンに床で寝ていいか聞けば良い。きっと「いいですよ」と言ってくれるし、朝ご飯も調達してくれる。
□(売れないのは)君の音楽が「最悪」っていう確率も高い。何とかしなさい。
□もし車の会社が君のくだらない曲をライセンスしたいのであれば、やったらいい。そして次のツアーに新しい車を買ったり、ちゃんとなホテルに泊まって自分に褒美を与えるんだ。チャリティーに使ってもいい。もしその行為に対しスノッブでありたいのなら、思い出すんだ。1000以上のバンドが君が音楽監督の「模倣リスト」に流し込んだお金を喜んで手に入れたいんだと。(Beach Houseの曲をパクったとされるヴォルクス・ワーゲンの件を皮肉っているのではないかと思います)。人々が君の音楽を発見する手段を君はコントロールすることができない。もし君がスターバックスのオファーを蹴っても、彼らは君の新曲を次のプレイリストにいれてしまうだろう。(これは事実だよ)。
どうかな、これで音楽が救えたかな?rawblog@gmail.comまで意見を聞かせてください。
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