2011年12月4日日曜日

Tallahassee


All The Smoke That Lingers Is Tarnished Gold

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi
































ある朝、みんなでフレンチトーストを作ったんだけど、上手くいった。フレンチトーストで大失敗することなんてあんまりないけど、不注意になってしまうこともあるし。火を強くしすぎて、ホットプレートにある一切れの事を忘れてしまったりする。そうするとひどい勢いで焦げてしまう。それは良く起こることで、僕らは自分達の愚かさを呪うことになる。今朝は、そんな懸念もなく上手くいった。焼き加減もほぼ完璧。両サイド金色に輝いていて、そんなにフニャフニャじゃなくて、硬すぎでもない。ちょうど良いバター加減と、最後にシナモンでフィニッシュ。それでもキッチンも家の中も何かが焦げたような臭いがしてる。朝から晩まで、ドアを開けるたびにその臭いがしていた。まるで誰かが料理を大失敗したみたいに。

僕らが我慢しなくてはならなかったあのひどい臭いは他の煙の臭いを僕に思い起こさせた。特にボストンはマサチューセッツのバンドTallahasseが持ってくるような臭い。彼らがそれに気付いているか知らないけれど、元New England Patriotsの前衛※Brian Barthelmesがフロントを仕切るこの四人組は、僕らにある特定の物事が焦げる時の臭いを考えさせる。そのほとんどは予期せず起こるものだ。彼らはその臭いを引き起こそうとは殆ど思っていなかった。それでもBarthelmesが「事態はヒマラヤスギと煙のような臭いがする」と、素晴らしくミニマルな悲しみと喪失の歌("Jealous Hands")を歌うとき、僕らはあらゆる感覚が詰め込まれた、青とグレイの熨し上がるリボンのような排気の中に嫌でも入り込んでしまう。その煙は薪や蝋燭の煙だけではなく、それ以上のものから生まれている。僕らは煙がゆっくりと歓喜の中からうねり出てくるのを想像する。そう、それがほどけて行く時、みんながそれに巻き込まれる時に、僕らは終末の瞬間を感じ始めて、噴きあがる煙を止めるものはほとんど何も無いのだと気付く。



それはきっとBarthelmesが歌っていた燃えるスギの臭いなんだろう。誰も嫌うことが出来ない香り。その香りの中に喜びを感じてしまうからなんだろう。 それはオーバーヒートしたエンジンから出る、面倒くさそうな炎なんかではない。それは僕らが切望する香りなのだ。体の中に吸い込んで、何日も鼻の奥に残る香りを楽しむ。まるで心地の良い染みのように。煙は大体炎が消えてから生まれるものだ。炎が尽きた時に生まれるもので、煙は目の前から消えるまで、限定された時間でしか動き回ることが出来ない。たとえ目に見えなくなっても、僕らに何が起こったか思い起こさせるためにちょっとの間そこに留まるんだけど。

(ギタリストのScott Thompson、ベーシストShawn CarneyとドラマーのMatt Raskpfによって完成する)Tallahasseの殆どの楽曲が伝えようとしているのは、時間の限定性だ。彼らはそれについて特に具体的で、僕らに「誰にとっても時間は友達じゃないんだ」と思い出させてくれる。もしそう思ってるんだったら、僕らってかなり間抜けだよね。これ以上に望むことが出来ない最高の友達がいて、そういう期間限定の友達なんか欲しくなかったら、時間の存在も友達だよ。でも時は僕らを裏切り、ボコボコにして去っていく。僕らを切った後、煙だけ残して去っていく。その煙は服の繊維の中に潜み続けてずっと香り続ける。まるで僕らは煙以外に何も羽織っていないかのように。人は目の前から去っていくものだし、僕らもそれは同じ。僕らはほとんど弱まることの無い煙の跡を残し、ついに永遠に消散していく。時にそれはいつの間にかなくなるし、全然なくならないこともある。

※New England PatriotsはNFL(ナショナルフットボールリーグ)のチームの一つ。彼はアメフトの選手だったということです。

Tallahasse Official Site

試聴・ダウンロード(月々$2のメンバー登録が必要です)


プレイリスト


  1. Welcome to Daytrotter
  2. Winter Trees
  3. Wooden Heart
  4. Time
  5. Jealous Hands


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