2012年1月2日月曜日

Nat Baldwin


Nights When The House Talks To Us

Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Mike Gentry, Translated by Teshi































今宵は家がかなり静かだ。赤ワインはグラスにちょうど良いくらい入っている。満タン過ぎず、少なすぎもしない。今朝、枯葉が芝生の濡れた毛布の上で群がっていて、片付けねばならなかったので、僕らはいくらかゴミ袋を取り出して葉っぱを一箇所に集めた。それを氷の様に冷たくて水が滴る塊にしてから、最後の休息場所へ送るのだ。まあ、少なくても厄介ごとが一つ減ったってことだ。大事なのはそこだけ。サンクスギビングの前の今日、夜がどんどん深くなるにつれて、気温は急速に下がり、それは必要以上に寒さを強調するような夜だった。充分な量の(寒さの)要因のコンビネーションと共に、口から去っていく温かい空気は、不安定な寒さを捕まえて、広大な厚さの白い雲に変わっていった。単に白い息が弱々しく、軽々と広がっていくのではない。それはまるで僕らが300ページもの言葉や文章が詰まった長編小説を吐き出しているみたいなのだ。それは濃厚で、まるで羽を構えて地上から飛び立とうと努力している巨大なカラスが、僕らの口の中から出て行くみたいだ。こんな夜に君は「家がいつ僕に話しかけてくるんだろう」と思う。君の前にここに住んでいた人はどんな人達だったのか語り始めるんだろうか。いや、多分「前の人たちは一回も料理したことがないし、君みたいに寝たこともないんだよ(だって、あの人たちはベッドを違う方向に向けていたけど、君達は同じ方向に向き合わせているだろ)。芝生は君達よりも綺麗に整えてたし、彼らだったら朝食用ヌックの絵の具の剥げたところもすぐに直しちゃうだろう。君は家の声が一回も実は聞こえてこないのに驚き、ついに家がどれほど君に失望しているか教えられる。いや、多分こいつはなんでも受け入れるのが好きなだけなのかもしれない。木はもう年をとりすぎて何も気にしなくなった。なるようになるのさ、ってね。

こんな夜に僕はもしNat Baldwinがかなり似ているような物事を考えたり、感じたりしているのかなって不思議になる。外で誰かの咳が聞こえるのかもしれないし、ベースメントで変な物音がするのかもしれない。それか狸が窓の傍にある松の木で追いかけっこをして、屋根に飛び降り、松の木の反対側に乗り移っているのかもしれない。シンプルに、僕らに乗り移させる音なのかもしれない。僕らに「君はうまくやってるよ」と言い聞かせたり、「いや全然ダメだね」と言い聞かせる音。大抵はこんな考えを理由付けて、どこか真ん中にたどり着くことが出来る。その場所で僕らはNat Baldwinが最新アルバム"People Changes"でも言及するような「激しく酔いもさめるようなトーン」を聴くことになるのだ。彼は自分と失う感覚と自分を発見する感覚を同時に君に感じさせてくれるようなアーティストだ。その過程の最後でどんな風に感じるのか知っている人間なのだ。彼のダブルベースは深く掘り下がり、僕らは努力すれば成功の可能性があると感じさせる、運命的な感情を放出する。まるで僕らを追い詰める物事に有利な一手を与えることが出来るみたいに。

彼は自分のために作り出したスペースを楽しむような人間だ。ランニング・シューズを放り投げて、全てから逃げ出そうとして、何事からも逃げ出せなくなっている。嫌でも思い浮かぶ考えに僕らはいつも悩まされて、それを止めるミュートボタンはどこにも無い。それが誰かを執筆に走らせる。今人生はどうなのか説明しながら、決まりきった「最近どうなの?」という質問に

「兄弟と遊んで、NBAの試合に夢中になって、喫煙を止めたり始めたり、二回も同じ間違いをおかして、ビールを飲んで、ベーコンを食べt、Lewis Nordanの"The Sharp-Shooter Blues"を呼んで、"Weights"のPVのアイディアを考えて、大学の舞踏会を楽しみにしていて、Cecil Taylorを聴いて、暖炉の傍に座って、オートミールを食べすぎて、毎週土曜日のJumpin' Jayで開催される牡蠣1ドルデイを懐かしく思って、毎日そのことを考えていて、おばあちゃんの80歳の誕生日を計画しているし、デクスターっていう名前の年老いた犬と遊んで、カウンターの後ろの女の事を妄想していて、きっと彼女達の事をもっと良く知ったら妄想とずれてがっかりするだろうなって恐いけど、ツアーも計画しているし、音楽が最近また楽しいし、バイクに乗りながら、走れてればいいのにって考えてて、Runner's Worldっていう雑誌を読んで、昼寝をもっととりたいし、そのあとチリももっと食べたいし、Kurt Vileを聴いたりしてる。君もうまくやってるといいけど。」

把握できる以上にとりとめがなく、徹底的。僕らってかなりおかしいのかなってまだ思っちゃうけど、それがポイントじゃない??

Nat Baldwin Official Site
試聴・ダウンロード(有料)
PitchforkのPeople Changesディスク・レビュー(対訳)


セットリスト

1Welcome to Daytrotter
2Lifted
3The Same Thing
4Let My Spirit Rise
5In The Hollows

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