Held Tight, Just Less Tightly And So Differently It Hurts Worse
Words by Sean Moeller, Illustration by Johnnie Cluney, Recording engineered by Shawn Biggs, Translated by Teshi
最悪なこと、それはゆっくりと衰えていく愛。じきに道路をならすスチームローラーのように圧力的になってしまう親密な関係。それはまるで君が高い建物、そうなかなか栄えている高層ビルを見つめているみたいに、遠い距離から疑いはじめる。それはどこかに傾いているわけではないし、バラバラになってもいない。それは高く聳え立っている。けれどすぐに倒壊するだろう。それは取り壊しがマークされていて、その日も決まっている。ビルの真下のエリアは安全のために立ち退き、カウントダウンが始まる。君はビルの支柱の足元に爆薬が仕掛けられるのを見て、爆発のかすかな連発が聞こえてくる。灰が飛び交い、コンクリートが宙を舞う。まずはビルの最上部がゆっくりと崩れていく。まるで途中でポーズするように。数秒後には、かつて誇りに思われた建物が直に倒壊する。一度に12階も、ただただ崩壊を飲み込んでいく。こういう取り壊しを見ていると、それらがなんて秩序立っていて、整頓されているか驚きだよ。
TNTがちょうど良い数仕掛けられたこういう建物は、正確に、予想通りに崩れていくんだ。どうやって始まるか分かっているし、次に何が起こるか、途中で何が起こるかも、どういう風に全て片付くのかも分かっている。屑と砂粒、そしてたっぷりのノスタルジアが溢れている。ただのビルなのに。人々にも同じことが起こる...まあゴミ収集車の中に山の様に積まれて、砕かれ、新たな石として復活し、また次のプロジェクトに使われる、なんてことはないけど。ビルは壊すことができるし、それでもう見つめる建物がなくなったわけだから、空っぽの風景やもっと違った風景に目を凝らすことができる。でもそれが人の場合だったら、「あいつらがまた帰ってきたり、思っても見なかった時に、またどこかでばったり会うかもしれない」なんていう文句ったらしい考えが常に思い浮かんでしまう。あいつらはどこにもいかないし、君も同じようにどこにもいかない。ただもう同じキッチンと家具をシェアしていないだけ。君の口はまだ去っていったあいつらの口を覚えているし、そういうことは中々忘れられないもんだ。彼らは和解できない、けれど人々はよくビルと同じように崩れていく。終わりの始まりは何か静かなもので、でもそこには、ゆっくりとした倒壊があり、感情の捌け口があり、頭はくらくらする。
The Swell Seasonのバンドメンバー、そして映画「Once」のスターであるMarketa Irglovaはそれほど納得することはない。そして、倒壊のあとがもっとも懲罰的だということも。それが人々をかなり深く痛みつける部分なのだ。彼女のデビューソロアルバム"Anar"を構成するピアノ・バラードは、煙と塵が空気中に完璧になじみ、感情が不気味なほど落ち着いたときに(特に倒壊が起こった後は)、ハートがどこにあるか感動的に指し示している。身体がゴツンと地上にぶつかった痛みをまだ感じているし、鳴り響く空しさが耳を聞こえなくしている。アルバムに収録の、一番残酷で、しかし変革の可能性を感じさせる"For Old Time's Sake"という曲でIrglovaはこう歌う、
「強く抱いて、でも今夜だけ/でも前みたいにギュッとしないで/もうそんなに親しい関係じゃないんだから/少なくともそんな関係じゃない/私達は日に日に離れていった/どうなるか知るためにただ待っていた/またカジュアルに愛し合えたら/私はいつもあなたの良い友達だった/いつもあなたのそばにいてあげたの」
切り刻み、噛み付き、それは一人の女性が闇の中で手探りに、彼女が必要な答えを探しているのだ。結論も終結も、多分絶対に来ないだろうから。それはただ前とは全く違った方法で時が過ぎて行くということ。そうこれからは。
Marketa Irglova Official Website
The Swell Season Debut Daytrotter Session
試聴・ダウンロード(有料)
セットリスト
- Welcome to Daytrotter
- For Old Time's Sake
- Go Back
- Only In Your Head
- Time
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