2012年6月7日木曜日

Fiona Apple (Part II)


Fiona Apple Interview
By Carrie Battan
June 4, 2012
Illustration by Kareena Zerefos

Part IIをお届けします。Part Iはこちら

Pitchfork: 現時点であなたは34歳で、ステージではティーンエイジャーの時や20代当初に書いた、かなり常軌に逸した曲を歌っています。それら過去の曲にまだ共感する部分はあるのでしょうか?

Fiona Apple: このアルバムの制作時に気がついた。私が怒って傷ついていた時にああいう曲を書くことで自分をボロボロにしていたんだって。今は生活のために、毎回そういう記憶を焼き直さなければならない。曲が始まってしまうと、それはまるで酔っぱらったみたいに止めることができないの。部屋がぐるぐる回りだす。でも後から目覚めた時は大丈夫になっている。曲の外から出てしまえば、もう平気。

PF: ファンの前で再び歌うのはどのような気分ですか?観客の中にいて、ファンがとてもエモーショナルだったのには驚きました。

FA: どん底に落ち込んでいる時、私のショーに来てくれる人々のことを考えるの。まだ悲しくなったり、時々友達が一人もいないんじゃないかって感じるけど、そんな気持ちに陥る時は、私が知らない人々の顔や名前を思う。彼らは私の友達で、私のことを愛してくれるのだと。 私には彼らがいる。(そう考えることは)私を本当に救ってくれたわ。まだ気まずい気持ちになるけど、どん底の気持ちから私がしがみつくことが出来ることなの。

前よりライブは上手くなったと思う。今は曲の間の気まずい静止時間に対して大分リラックスできるから。今は、お客さんに話したり、衣装を変えたりするよりは、その静止時間を自分のために使うことにしている。他の人が何を演奏しているか聴いたり、ただ休んだり、踊ったり。どうやって踊れば良いかわかんないけどさ。もう前みたいにステージ上で恥ずかしい気持ちにならないからとても幸せよ。実生活ではそんなことがあるんだけど。いっぱいね。

PF: 何に恥ずかしくなるのですか?

FA: 私がすること言うこと全てよ、本当に。長い間私はかなりひどい酒飲みで、私は大抵一人だから周りの人もそれは気づかないんだけどね。最近8〜9ヶ月の間お酒を断ったんだけど、それでアルコールが恥ずかしい瞬間を4倍増にしてたことに気づいたのよ。酔っぱらっていて、何か言ってしまって、次の日の朝に思い出して恥ずかしくなるような事よ。今はまたお酒飲むけど。

最近、Largo (L.A.のクラブ)でWatkins Family Hour Showの撮影をして、私はもう歌う準備が出来ていた。集中して感情を吐き出すことを楽しみにしていたの。とってもシリアスだった。でも、ワンダフルなPaul F. Tompkinsがホストで、曲の間にコメディをやるなんて気づいてなかった。彼が近くにやってきて私とジョークをやろうとしたから、私は「そういうのやらないから」って言っちゃってね。なんかビッチっぽいでしょ。でも口から出ちゃったのよ。本当は「どうやったらいいかわからないし、何か面白いことやるなんて知らなかった。」と言おうと思ったのに。無礼な気持ちになっちゃって、何週間か凹んだわ。そんなにヒドくは聞こえないかもしれないけど、本当に恥ずかしかったのよ。

PF: あなたが何年か前にインタビューで言った事をよく考えます。「私に起きる全ての事に対し、私はかなり強烈に体験する。ひどく深く感じてしまう。」あなたは感情の波長を誇りする事に対し多くコメントしています。あなたはまだ同じような感じ方をしますか?それとも鈍感になりましたか?

FA:私はあちこちに動いて、鈍感になる事から身を防いだの。新作の中に"Left Alone"という曲があって、私は「もう悲しくなって泣く事はない」と歌う。何も感じなくなる時期もあった。ひどかったわ。時には強い皮膚を成長させることも大事なのね。プレスの時とかね、多分。でも人が「僕が犬を飼わないのは子供の時に飼っていてそれが死んでしまったから」とか「傷つくのは分かってるから愛情を芽生えさせたくない」とか言うのを聞くと、「ファック・ユー」って言いたくなるわ。

完璧に純朴でいる事や、誰か新しい人に会う時に高い気持ちを持つ事は大事だと思ってるの。私の馬鹿さやウブさをやり直したり出来るでしょ。人間は嫌な感情を押し流したり、心地悪い事はなんでも避けるべきだと考えるように出来ているって考えると最悪の気分になるの。近頃は物事が本当に最悪な方向に向かったとき、そこにある価値に気づくようになった。なぜって、それは私が自分のノルマをクリアしているということだから。喜びをあとからさらに強烈にするからよ。

この世にある最悪の痛みは「恥」ね。長い間誰も傷つけないようにトライしてきたけど、誰も傷つけずにして生きていく事なんかできない。かなり最近だけど、私は自分が全然誇りに思えない事をしたの。それにショックを感じた。考えたわ、「私ってマジで最悪なやつね」って。でもそこから良きものも生まれたことに気づいた。そのおかげで、他人に対して批判がちになっちゃいけないって学んだから。恥も使い方によっては、自分をもっと思いやりがある人間にすることが出来るのよ。

PF: アルバム制作に火をつけたのは何だったのですか?それはあなたがカタルシスを必要とする、内部からくるものでしたか?それとも誰かが強く求めていたとか?

FA: だれも私を強要しなかったわ。他の人はレコード会社がアルバムを出すかどうか気にしなかった事に怒ったりするでしょうけど、私はEpicがそれをしなかったから嬉しかった。もしそれが起きていたら嫌になって何もやりたくなくなっていただろうから。もし人々が「何か思いつかなければダメだろ」なんて言ってきたら、それって私にクソしろって言ってるようなもんよ。やれって言われても出来ないものは出来ないの。

PF: つまりあなたの言っていることは、自分の音楽はクソだと。

FA: それが本日の「メタファー」よ。これは私が本当に出さなくてはならなかったものなの。これは人生の排泄物。私の中から追い払おうと努力してきた排泄物なの。

急いで作らなくてはならなかった曲がある事は認める。誰かが私が何も書かないって馬鹿にしたから。私の友達の一人が私にこう言った。「そうそう、何も書いてないに決まってる。」だから「あんたが次に私に会うときまでに、一曲仕上げてやるから。」って言ったの。"Criminal"はみんながランチに出かけてる時に、ヒット曲が必要だからって45分で書いたのよ。私は自分に仕事を強要することが出来るのよ。誰かがすぐ後ろに立ってる時はね。

PF: 予測できないパーカッションやサンプリングなど、 新作には型破りなインストゥルメンテーションが多くありますね。何があなたをその方向に進ませたのですか?

FA: (プロデューサー/ パーカッショニストの)Charley (Drayton)とのレコーディング初夜、瓶の製作工場の近くを散歩した。ドアは開いていて、中から機械が稼働する音を聞く事ができた。二人とも手元にレコーダーがあったから、その音が"Jonathan"という曲に合うってことで同意したの。Juanという夜のシフトで働いている男性が中を見学させてくれて、そこで機械の音を録音したわ。

その瞬間「あ、これはデモを作っているんじゃないんだ---これが完成品になるんだ。私とCharleyはこれからアルバムを作るんだ。」と言ったの。それからは楽しくなっていったわ。"Anything We Want"という曲で、ライブでは私はアホみたいなパイプの楽器を演奏しているんだけど、実際は机で、ハサミと薫製の杉のチップが入ったブリキの缶とプラスチックコップの音なんだ。何でもハサミで叩いちゃったから、杉がいろんなところに飛んでいったわ。



FA: この業界には長いけど、お気に入りはドラム。本当に本当に大きい思い出があって、私って大きい思い出なんてあまり無いのだけれど、それはグレゴリー・ハインズが出演した"Tap"という映画を見に行くことだった。映画のワンシーンで彼が牢獄に入れられて、そこには水が滴っているのだけれど、そこでタップダンスを始める。ただその「私の責任下で、好きな事が出来る」という感覚が好きだった。

続く

原文:Pitchfork
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